“10倍速いUSB”を体験してきたUSB 3.0 Developer Conference

» 2009年05月20日 20時00分 公開
[ITmedia]
USB 3.0 Developer Conferenceの展示会場。19社が出展している

 USB 3.0(Super Speed)は、理論値で最大約5Gbpsのデータ転送速度を持つUSBの後継規格だ。USB 2.0(High Speed)の480Mbpsに比べて約10倍の転送速度を持ち、USB 1.1/2.0との下位互換性も備えている(ただし、USB端子のピンの数が従来の5本から9本に増えているため、Super Speedで動作させるためには、USB 3.0に対応したホストとデバイスに加えて専用ケーブルが必要になる)。また、ホストコントローラとデバイス間でトラフィックがない場合の電源効率が向上したのも特徴だ(USB 3.0の仕様はhttp://www.usb.org/に用意されており、これまで7万8500件ダウンロードされている)。

USBインプリメンターズフォーラム議長(インテル コーポレート・テクノロジー事業本部)のジェフ・ラベンクラフト(Jeff Ravencraft)氏

 基調講演の冒頭に登壇したUSBインプリメンターズフォーラム議長のジェフ・ラベンクラフト氏は、今回のカンファレンスをUSB 3.0の開発における「マイルストーンイベント」と位置付け、SuperSpeed USBを用いたインターオペラビリティ(異なるメーカーのホストとデバイスを接続した)デモンストレーションを世界で初めて実施した。また、USB 3.0のタイムラインを示しながら、2008年10月にUSB 3.0の最終仕様が確定したことで今後大幅なスケジュールの変更がないことを明言し、開発が順調に進んでいるとアピール。同氏によれば2010年の早い段階でUSB 3.0搭載製品が市場に登場する見込みだ(ちなみに、展示エリアにブースを構えていたメーカーからは、早ければ2009年中という声も聞こえた)。

USB 3.0のコントリビュータリスト(写真=左/中央)。USB 3.0のタイムライン(写真=右)

 このほか、2009年3月のCeBIT 2009でアナウンスしたSuper Speed USB Platform Interoperability Lab(PIL)が、開発ベンダーにとってUSB 3.0の相互運用性を検証できるよい機会になると紹介し、「(シリコンベンダーやサプライヤー、メーカーなど)みんなが協力してこそうまくいく」と、PILへの積極的な参加を呼びかけた。USBはその手軽さから10万種類以上のデバイスが利用されていると言われるが、ジェフ氏はこのUSB 3.0によって低迷する景気の回復に貢献したいと述べ、基調講演を結んだ。

USB 3.0のコネクタ形状。信号線は従来の4本に送信×2、受信×2、グランド×1を加えた9本になるが、下位互換性を保つためStandard-Aタイプのコネクタ形状はUSB 2.0と同じだ。一方、プリンタなどで使われるStandard-Bと携帯電話向けのmicro-Bは形状が変わっている(写真=左)。ELKAが展示していたUSB 3.0用ケーブル(写真=中央/右)

先日発表されたNECエレクトロニクスのUSB 3.0対応ホストコントローラ「μPD720200」を搭載するPCI Express/ExpressCard/34接続の拡張カード(左/中央)。μPD720200のスペック(写真=右)

展示会場ではSuper Speedによるデータ転送デモが行われていた。Serial ATAインタフェースのインテル製SSDをPCI Express×1接続のボードでUSB 3.0に変換し、転送速度を計測するデモでは、リードタイムが164Mバイト/秒だった。現状ではUSB 3.0対応デバイスがないために変換する必要があるが、環境が整ってボトルネックとなる部分が省かれ、かつドライバが最適化されれば、実測で300Mバイト/秒(2.4Gbps)くらいになりそうだという。同時に行われていたUSB 2.0のデモでは30Mバイト秒前後だったので、確かに“10倍速く”なる可能性がある(写真=左/中央)。こちらはHDDを使ったベンチマークテストの結果。赤い線がUSB 3.0、青い線がUSB 2.0を示している(写真=右)

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