待望のXP搭載「VAIO type P」を徹底検証するZ550+256GバイトSSDもテスト(2/5 ページ)

» 2009年05月26日 19時00分 公開

XPモデルは直販でもメモリの増設不可

 同時発表されたソニースタイル直販のVAIOオーナーメードモデルでは、新カラーの追加や選択できるパーツのスペックアップを図っている。価格はXPモデルが6万7800円から、Vistaモデルが7万4800円からだ。

左は新色のパイライトゴールドとシルバーキーボードの組み合わせ。右はオニキスブラックと新色のダークブラウンキーボードを合わせた例

 カラーバリエーションは、従来からある直販限定色のオニキスブラックに加えて、新たにパイライトゴールドを用意した。また、クリア層の下にあるカラー塗装層をレーザー照射で焼き付けることで、クリア層の下に浮き上がったような柄を生成できる「レーザー加飾」の天板も追加された。レーザー加飾の天板は、フローズンクリスタル(ホワイト)、メッシュガーネット(レッド)、レイヤードペリドット(グリーン)の3パターンだ。

 さらに、キーボードの配色もこれまでのシルバーに、ダークブラウンが追加され、ボディカラーとのマッチングを楽しめるようになっている。

 カラバリについての詳細はこちらの記事(金銀か黒茶か、これは悩ましい選択だ:「VAIO type P」直販モデルの新カラバリ“全16通り”を見比べる)を参照してほしい。

 基本スペックでは、CPUの最上位グレードがAtom Z540(1.86GHz)から同Z550(2.0GHz)に変更され、128Gバイトが上限だったSSDは新たに256Gバイトが選べるようになった。256GバイトのSSDは従来より高速アクセスが可能なタイプだが、VAIO type PではSSDをSerial ATA/Parallel ATA変換アダプタ経由で接続するため、パフォーマンスはあまり上がらない(パフォーマンスの検証は後述)。

今回から採用された1.8インチ/uSATAの256GバイトSSD。チップセットがSerial ATAをサポートしないため、Serial ATA/Parallel ATA変換アダプタ経由でマザーボードに接続される。デバイスマネージャの表示では、Samsungの「MMDPE56GFDXP-MVA」とあり、MLCタイプのSSDだ

 ここで注意したいのが、VistaモデルとXPモデルで選択できる仕様の違いだ。XPモデルはCPUこそAtom Z550(2.0GHz)を搭載できるが、メインメモリが1Gバイトに固定され、SSDは32Gバイトしか選べない(Vistaモデルは64Gバイト/128Gバイト/256GバイトSSDを選択可)。また、Bluetoothを省くことができず、Webカメラやノイズキャンセリングヘッドフォンを追加できないなど、Vistaモデルに比べて仕様に制限がある。

 VAIO type Pではメインメモリがオンボード実装され、SO-DIMMスロットが用意されないため、購入後にメモリを増設することはできない。したがって、2Gバイトメモリや64Gバイト以上のSSDを搭載した構成でWindows XPを動かしたい場合、Vistaモデルを購入してからユーザー自身がXPドライバを使ってダウングレードする必要がある(別途Windows XPのライセンスとディスクが必須)。欲をいえば、最初からハイスペックなXPモデルを用意してほしかったが、公式ドライバが配布されるだけでも喜ぶべきだろう。

 ボディの基本設計など、そのほかの仕様は既存のVistaモデルと同様だ。Vistaモデルのレビュー記事や分解記事は、以下を参照してほしい。

XPモデルとVistaモデルのパフォーマンスを比較する

 それでは、各種テストで新型VAIO type Pの性能を検証していこう。テストした機材は店頭販売向けのXPモデル「VGN-P50/G」、店頭販売向けのVistaモデル「VGN-P70H/R」、そしてAtom Z550(2.0GHz)、2Gバイトメモリ、128GバイトSSD、ワイヤレスWANを搭載した直販のVista(Home Basic)モデル「VGN-P91HS」だ。VGN-P91HSは、BluetoothとWebカメラ、ノイズキャンセリングヘッドフォンも追加した構成となっている。

今回テストした評価機。店頭販売向けのXPモデル「VGN-P50/G」(写真=左)。店頭販売向けのVistaモデル「VGN-P70H/R」(写真=中央)。ハイスペックな直販のVistaモデル「VGN-P91HS」(写真=右)

VGN-P50/Gのデバイスマネージャ画面。HDDは東芝の「MK8025GAL」で、1.8インチ/5ミリ厚のParallel ATA接続HDDだ。回転数は4200rpm、バッファは8Mバイト

VGN-P70H/Rのデバイスマネージャ画面。HDDは東芝の「MK6028GAL」で、1.8インチ/5ミリ厚のParallel ATA接続HDDだ。回転数は4200rpm、バッファは2Mバイト

VGN-P91HSのデバイスマネージャ画面。SSDはSerial ATAタイプ(Parallel ATA変換で接続)でSamsungの「MMCQE28GFMUP-MVA」とあり、MLCタイプだ

CPU-Z 1.51で、新たに追加されたAtom Z550(2.0GHz)の情報を確認した

・総合ベンチマークテストの結果

 まずは総合ベンチマークテストのPCMark05と、CrystalMark 2004R3(ひよひよ氏作)を実行し、システム全体のパフォーマンスをチェックした。Atom Z550(2.0GHz)を搭載した直販モデルのVGN-P91HSについては、SSDを256Gバイトに変更したハイエンドの構成でもテストしている。

 なお、Intel SCH US15WチップセットのWindows XP用ドライバは3D描画の処理などに難があるため、ほかの同チップセット搭載機と同様に、3Dグラフィックステストの3DMark05と、ゲームベンチのFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3が実行できない。したがって、これらのテスト結果は割愛した。また、XPモデルではPCMark05のGraphicsスコアと総合スコアも算出されない。

左がPCMark05の結果、右がCrystalMark 2004R3の結果

 OSが異なるため、厳密に横並びの比較とはいえないが、テスト結果はXPモデルの健闘が目立った。同じCPUのAtom Z520(1.33GHz)を搭載し、メモリ容量が2倍になる店頭向けVistaモデルのVGN-P70H/Rと比べて、PCMark05ではCPUとメモリのスコアが同等、HDDのスコアが少し上回っている。CrystalMark 2004R3のスコアについては、HDDとGDIのテストで差が付き、総合スコアで店頭向けVistaモデルのVGN-P70H/Rに勝った。

 直販のVistaモデルはさすがに高速だ。過去にテストしたAtom Z540(1.86GHz)の評価機は、PCMark05のCPUスコアが1678だったが、Atom Z550(2.0GHz)の搭載により1774までスコアが伸びた。さらにSSDを新メニューの256Gバイトに変更すると、両方のテストでHDDのスコアが上昇した。

・データストレージテストの結果

 データストレージの性能を詳しく調べるため、PCMark05のHDD関連テストと「CrystalDiskMark 2.2」(ひよひよ氏作)も実行した。PCMark05のHDD関連テストは、XP Startup(Windows XPの起動をトレース/データのリードが中心)、Application Loading(アプリケーション6種類の起動をトレース/リードが中心)、General Usage(WordやIEなど標準的なアプリケーションの使用をトレース/リード60%、ライト40%)、Virus Scan(600Mバイトのウイルススキャン/データのリードが中心)、File Write(680Mバイトのファイル書き込み/ライト100%)の5つだ。CrystalDiskMark 2.2はシーケンシャル/ランダムのリード/ライト性能を計測できる。

左から、PCMark05のHDD関連テスト、CrystalDiskMark 2.2のリード/ライトの結果

 結果はSSD搭載モデルが60GバイトHDD/80GバイトHDD搭載モデルを大きく上回った。PCMark05のHDD関連テストの結果は順当だが、CrystalDiskMark 2.2の結果に限っては、高速タイプの256GバイトSSDと従来型の128GバイトSSDに差がつかず、128GバイトSSDのほうが高速なテスト項目も見られた。何度テストし直しても傾向は変わらず、Serial ATA/Parallel ATA変換がボトルネックになっていると思われる。HDD搭載機同士の比較では、やはり80GバイトHDDを備えたXPモデルのVGN-P50/Gがリードした。

・Windowsエクスペリエンスインデックスの結果

 Vista搭載モデルについては、Vista標準の性能評価機能であるWindowsエクスペリエンスインデックスも実施した。各モデルのスコアは以下の通りだ。

Windowsエクスペリエンスインデックスのスコア。左から、Atom Z520(1.33GHz)と60GバイトHDD搭載のVGN-P70H/R、Atom Z550(2.0GHz)と128GバイトSSD搭載の直販モデルVGN-P91HS、Atom Z550(2.0GHz)と256GバイトSSD搭載の直販モデルVGN-P91HSの結果

 Windows Aeroのグラフィックスパフォーマンスを示すグラフィックスのスコアは、3台とも5.9と最高点をマークする一方、ゲーム用グラフィックスの値は2.8〜3.0とばらついている。これらはWindowsエクスペリエンスインデックスがIntel GMA 500のグラフィックススコアを正しく表示できない問題によるものだ。そのほかはスペックの応じて、順当にスコアが上がっている。

 次のページでは、XPモデルが実際にどれくらいOSの基本動作を快適に行えるのかについて検証する。

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