AMDから6月2日に発表された“AM3”対応CPUは4モデル。TDPが65ワットに抑えられた「Phenom II X4 905e」、Phenom II X3のTDP 65ワット版となる「Phenom II X3 705e」、そして、Phenom IIのデュアルコア版になる「Phenom II X2 550 Black Edition」、さらに、AM3プラットフォームのバリューモデルとなる「Athlon II X2 250」だ。すでに登場しているPhenom II X4 955や945、810、そしてPhenom II X3 720と合わせ、AM3対応CPUは4製品から8製品へと倍増したことになる。
モデルナンバー | Phenom II X4 905e | Phenom II X3 705e | Phenom II X2 550 Black Edition | Athlon II X2 250 |
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動作クロック | 2.5GHz | 2.5GHz | 3.1GHz | 3.0GHz |
CPUソケット | AM3 | AM3 | AM3 | AM3 |
対応メモリ | up to DDR3-1333/DDR2-1066 | up to DDR3-1333/DDR2-1066 | up to DDR3-1333/DDR2-1066 | up to DDR3-1066/DDR2-800 |
1次キャッシュ | (命令64K+データ64K)/コア | (命令64K+データ64K)/コア | (命令64K+データ64K)/コア | (命令64K+データ64K)/コア |
2次キャッシュ | 512KB/コア(計2MB) | 512KB/コア(計2MB) | 512KB/コア(計1MB) | 1MB/コア(計2MB) |
3次キャッシュ | 6MB(共有) | 6MB(共有) | 6MB(共有) | − |
HT Link クロック | 4.0GHz | 4.0GHz | 4.0GHz | 4.0GHz |
プロセスルール | 45ナノメートル | 45ナノメートル | 45ナノメートル | 45ナノメートル |
構成トランジスタ数 | 7億5800万個 | 7億5800万個 | 7億5800万個 | 2億3400万個 |
コア電圧 | 0.825〜1.25ボルト | 0.825〜1.25ボルト | 0.850〜1.425ボルト | 0.850〜1.425ボルト |
消費電力 | 65ワット | 65ワット | 80ワット | 65ワット |
価格 | 約2万1000円 | 約1万3000円 | 約1万1000円 | 約9500円 |
今回登場したモデルは、Phenom IIが3製品に「Athlon II」という新ブランドの製品が1つ登場している。Phenom IIは、4コア、3コア、2コアと1製品ずつ並ぶが、Phenom II X4 905eとPhenom II X3 705eは末尾に「e」の付く低消費電力版だ。動作クロックはともに2.5GHzと低く設定されている代わりに、TDPを65ワットに抑えている。一方、Phenom II世代で初めてのデュアルコアとなるPhenom II X2 550のTDPは80ワットとX4、X3の“e”モデルより高い。Phenom II X2 550の位置づけは、コアを2つに減らした高クロック動作のモデルとなる。なお、これらは、2次キャッシュメモリがコア専用に512Kバイト、3次キャッシュメモリが共有で6Mバイトと、従来の「Phenom IIシリーズ」と共通だ。
Athlon II X2 250は、「Regor」という開発コード名で呼ばれていた45ナノプロセスルール採用したAM3対応のデュアルコアAthlonだ。その仕様は興味深く、2次キャッシュメモリこそコア専用の1MバイトとPhenom IIの2倍となっている代わりに3次キャッシュメモリを持たず、また、動作クロックが3GHzとPhenom IIシリーズのハイエンドモデル(具体的にはPhenom II X4 945 Black Edition)と肩を並べるほどに高い。2つの物理コアと少ないキャッシュメモリ容量、高い動作クロックといった仕様のバランスが、パフォーマンスにどのように反映されるのか興味深いところだ。
なお、メモリの仕様もDDR3で1066MHzまで、DDR2なら800MHzまでと、Phenom IIと比べて1ランク低く抑えられている。しかし、いま主流なのはDDR3が1066MHz、DDR2なら800MHzなので、「致命的な弱点」と考えることはないだろう。
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