新しい300万画素のオートフォーカスカメラは、iPhone 3G Sの画面に映し出された映像をタッチすると、その部分にピントと露出(明るさ)、そして色調(ホワイトバランス)もあう。ほぼ全自動の操作が快適だ。
指でタッチをすると、タッチした部分の周囲に点線で描かれた四角い枠が表示され、どこにピントをあわせたかが分かるようになっている。ピントあわせは一瞬というわけにはいかないが、それほど待たされる感じはしない十分なスピードだった。
撮影した300万画素の写真は、日本の画素数をウリにした最新携帯電話のカメラの画質には負けるものの、iPhoneの画面上で楽しむにはちょうどいい解像度で、この解像度ゆえに快適なスピードで写真の操作ができるのだろう。また、A4の紙に印刷してもそれほどあらが目立たない画質であり、日常用途に使っても問題を感じないレベルだ。
ちなみにiPhone 3G Sのカメラは静止画だけでなく、VGA品質の動画の撮影にも対応しているが、切り替えは画面左下のスイッチをタッチするだけ。動画でのピント合わせも、タッチ操作で行なうようになっている。
動画はVGA画質(640×480ドット)で30fpsの撮影ができるというが、必ずしも30fpsで録画できることが保証されているわけではなく、最大30fpsであり、これよりフレームレートが落ちることもある。ただし、15fpsは切らないような設計になっているという。サウンドはモノラル録音だ。
内蔵カメラで撮影した動画は、なんとiPhone 3G S上で編集ができる。映像をタップすると、フィルムロールのようにして動画のサムネイルが表示され、これをタップして好きなところから再生したり、範囲を選択して不要部分をカットしたりできる。
簡易編集した後の動画はYouTuneやMobileMeで共有できるほか、MMSや電子メールでも送信できる。MMSで送る際には、キャリアの要求にあわせて個別に転送速度を設定する、ということだ。ちなみに動画の圧縮方式はH.264形式だ。
最後に、今回行われたグループインタビューにて、iPhone 3G S関係で判明したそのほかの情報を以下に書き連ねる。
「iPhone 3G Sの“S”はSpeedの“S”です。iPhone 3G Sでは、すべての動作が速くなり、反応も速くなっています。アプリケーションの起動も、電子メールの受信や表示も、複雑なWebページの表示も速くなります。JavaScriptの命令や、多数のリンクなどが張られたWebページでも、短時間で表示できるようになっています。iPhoneで行なうほとんどすべての操作が速くなったと実感できます。だいたいiPhone 3Gと比べ、平均で2倍ほど速くなっています」(担当者談)。また、OpenGL ESに対応し、3Dを活用したゲームなどもより高速に動作することが可能になる。
iPhone 3G Sでは、本体に新たに追加された電子コンパスによって、方位も認識してくれるようになった。コンパスというアプリケーションが付属しているので、これを起動すると、まるで本物の方位磁石のように針が北を指してくれる。また、磁北に加えて正北も調べることもできる(磁石が指す北は必ずしも正しい北とは限らないが、iPhone 3G Sは磁石が指す北も、本当の北も選んで表示できる)。
ちなみにコンパスアプリケーションは、ただ方位を指す以外の機能はない。マップアプリケーションを起動すると、現在地を表す青い点の横に光のビームのような「V」字型に光線が発射されているような表示がされるため、どちらの方向を向いているかが分かる。測位の状態によって、向き認識の精度が変わるため、このビームの幅によって、どの程度の精度で認識しているかが把握できるようになっている(ビームの幅が広ければ、精度が落ちている)。また、左下の現在地ボタンは、1度タップするとコンパスボタンに切り替わる。これをタップすると、地図がグルっと回転して、いま向いている方向にあわせた表示になる。
企業ユーザーからの声で採用された暗号化技術だが、これはハードウェアを使った暗号化のようだ。iPhone 3G S上のメモリ上の情報をすべて暗号化して、万が一、端末が盗まれても情報を不正に盗まれないようにできる。
また、端末を紛失した場合に、遠隔操作ですべての情報を抹消できる。実はこのremote wipeの機能は、これまでのiPhone 3Gにもあったが、ソフトウェアで行なっていたため、処理に時間がかかっていた。iPhone 3G Sでは、これをハードウェアで行なうことにより一瞬で情報を消せるようになった。
iPhone 3G Sでは、iPhone 3.0 OSが標準となっている。このためカット、コピー、ペーストをはじめとするiPhone 3.0の機能がすべて享受できる。基調講演ではサーチとSpotlight機能が別々に紹介されていたが、両者の違いを聞いてみた。
まず、サーチはメールやメモなど個別のアプリケーション内のデータを検索する機能だ。これに対してSpotlightはすべてのアプリケーション上の情報を横断的に検索してくれる。ちなみにSpotlightは呼び出し方が面白い。ホーム画面の1ページ目を表示した状態で、画面を右方向にフリックすると、ホーム画面の1ページ目の左側からSpotlight検索用のページが現れるのだ。
iPhone 3.0では、対戦ゲームなどを簡単に楽しめるPeer-to-Peer機能が搭載されたが、これは無線LAN環境がない場所でも楽しめるのだろうか。
基本的には同じ無線LANネットワークに接続されていることが必要だが、そうでない場合には、Bluetoothを使って相互接続できるようだ。なお、特別な操作をせずとも、アップルのBonjour(ボンジュール)技術を使って端末同士が自動的にお互いを見つけることができる。
以上、iPhone 3G Sを実際に触ってみて、すでに製品は十分に完成しているという印象を受けた。日本国内での発売は6月26日とまだ先だが、今からこの新しいiPhoneを手にする日がとても待ち遠しい。
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