業界初の“超解像”を装備、しかもバリュープライスな23型フルHD液晶――三菱電機「RDT231WM」とは何者か?本田雅一が開発者に聞く(1/2 ページ)

「RDT231WM」シリーズは、PCディスプレイ業界初(2009年4月現在)となる超解像技術を採用した23型ワイド液晶ディスプレイ。ボンヤリした映像を鮮明に表示できるのが特徴だ。超解像を含む専用の映像処理LSIやフルHD解像度の液晶パネル、2系統のHDMI入力を備えていながら、求めやすい価格を実現しているのも見逃せない。その数々のこだわりを開発者に聞いた。

» 2009年06月15日 10時00分 公開
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VISEOの流れをくむ業界初“超解像”PCディスプレイとは?

 PCディスプレイにデジタル放送3波対応テレビやビデオ/ゲーム用モニターとしての機能を盛り込んだ三菱電機の「VISEO」(ヴィセオ)シリーズ、中でも「MDT221WTF(BK)」は“PCディスプレイとテレビの融合”を単なるチューナーや入力端子の追加だけで済まそうとする短絡的な企画モノではなく、商品の作り込みによって“2つの目的を1つで実現できる”ということを証明して見せた。

 今回、新たに発売した「Diamondcrysta WIDE RDT231WM」シリーズも、基本的なコンセプトはVISEOと同じだ。PCディスプレイとして満足できる仕様を実現しつつ、HDMI端子から入力したテレビやDVD、Blu-ray Discの映像を見るモニターとしてもきちんと作り込まれた、PCディスプレイと映像用モニターの融合製品である。

 しかも、家電量販店の実売価格で3万円台というエントリークラスの価格設定ながら、フルHD解像度(1920×1080ドット/アスペクト比16:9)の23型ワイド液晶パネルを採用し、ダイナミックコントラスト補正、局所コントラスト補正、階調数拡張処理、色変換、ノイズリダクション、それに超解像といった、最新のハイビジョンテレビにも導入されている適応型の画質エンハンス機能を持つ画像処理LSI「ギガクリア・エンジン」まで搭載している。特に超解像技術は、単体の液晶ディスプレイ製品においては業界初の試みだ。

「Diamondcrysta WIDE RDT231WM」シリーズの製品ラインアップは全4モデル。ノングレアパネルの「RDT231WM」(左上)と「RDT231WM(BK)」(右上)、グレアパネルの「RDT231WM-S」(左下)と「RDT231WM-S(BK)」(右下)を用意する。モデル名の最後に(BK)が付くものは黒色、付かないものは白色のボディカラーだ

 いかにしてRDT231WMは生まれたのか、その企画意図や画作りについて、三菱電機デジタルメディア事業部 モニタ事業センター営業部 業務課 担当課長の山内浩氏、同事業センター技術部 技術第一グループ 専任の白崎義之氏の2人に話を聞いた。

求めやすい価格帯を実現しつつ、弱点はきちっとフォロー

デジタルメディア事業部 モニタ事業センター営業部 業務課 担当課長の山内浩氏

 RDT231WMは、1920×1080ドット表示の23型ワイド液晶パネルを採用しているが、パネルの方式はTN型を用いている。周知の通り、TN型は液晶テレビで主流のVA型やIPS型に比べて、視野角が狭い。まずは、この点に懸念を持つ読者もいるかもしれない。

 しかし、現在のTN型は視野角を補う光学補償フィルムの改良などもあって、左右方向の視野角は問題ないレベルにまで達しており、むしろ応答速度が速い面がゲームユーザーなどには評価されている。もちろん、コストが安いことはいうまでもない。三菱電機もこうしたメリットとデメリットを知ったうえで、あえてTN型を採用している。

 「おっしゃるようにTN型にも応答速度などの利点があります。それに何より安い。TN型でも十分な性能が出せるなら、コストフォーバリューの点でそれが一番いい。一方でTN型の一番の弱点は視野角ですが、PCディスプレイの場合、通常はユーザーが同じ位置に座ってディスプレイを見ますから、左右方向の視野角が十分に広ければ満足していただけると思います」(山内氏)

 「動画を見るためのディスプレイとしても使っていただく場合、ゆっくりと寝そべってDVDを見たいというお客様もいますから、VISEOのTN型モデルと同様にルックアップモードという機能を設けています。TN型の場合、上下方向の視線がずれるとモニターガンマが変化して映像が白飛びしたり黒つぶれして見えますが、ルックアップモードを使えば、下方向から見たときに正常なガンマカーブになるように調整し、正面からと同じように見ていただけます」(白崎氏)

 このように、TN型の液晶パネルを載せただけでなく、弱点となる視野角をカバーするために独自の工夫まで施している。

PCが扱う多様な動画に適した超解像処理を

デジタルメディア事業部モニタ事業センター技術部 技術第一グループ 専任の白崎義之氏

 では三菱電機の研究所が開発した、新しい超解像技術を盛り込んだ最新の映像信号処理LSI(ギガクリア・エンジン)を、テレビチューナー内蔵のVISEOではなく、RDT231WMに最初に投入した意図とは何だろう。

 「PCでは実に多彩な解像度、品位の動画を表示する機会があります。YouTubeに代表されるネット動画、DVD、デジタルハイビジョン放送、それにBlu-ray Discのソフトなどです。フルHD解像度のディスプレイでハイビジョンをキレイに見せるのは、ある意味当然のことですが、同時にPCならではのネット動画などでも最適な映像を見せたい、という思いがありました」(山内氏)

 RDT231WMに搭載されている超解像技術は、複数フレームを蓄積して処理するのではなく、1枚のフレームからより高い解像度のフレームを取り出すタイプだ。詳しい説明は割愛するが、このタイプの超解像処理では、デジタル符号化の際に再現できる限界周波数(ナイキスト周波数)に向けて減衰する高周波数成分(精細な画像成分)を拡大処理時に復元するとともに、輪郭部のスルーレート(輝度変化の速度)を上げることで精細感を引き出すものが多い。

 「三菱電機の超解像処理は、オリジナル画像を拡大して、オリジナル画像、拡大画像などから高周波成分を検出・分析することで、解像度補正情報を独自のアルゴリズムで推定します。この解像度補正情報をもとにして、拡大画像に含まれたぼやけた部分の補正を行い、解像感のある映像を表示します。これにより、引き伸ばし処理が行われた動画像に対して、元画像のナイキスト周波数を超える情報を復元できます。詳しい処理のアプローチは企業秘密の部分が多く紹介できませんが、DVDやYouTubeの画像を見ると、確実に精細感が増して見えることを確認していただけるはずです」(白崎氏)

 RDT231WMの超解像処理は、OSDメニューからの設定により効き具合を「大」「中」「小」「オフ」と変更できるが、「大」設定では主に低解像度のネット動画、「中」設定(規定値)では比較的品質の高いネット動画やDVD、「小」設定ではやや解像度が甘い地上デジタル放送の映像にマッチしていた。市販のBlu-ray Discソフトでは解像感の低いタイトルの場合に、超解像を「小」にしたほうが良好な結果を得られる場合もある。

 表示する映像の種類に合わせて適切な設定を行う必要はあるが、それさえ行ってやれば、ボンヤリとした質の低いネット画像でもメリハリのある像が得られる。それがRDT231WMの超解像技術だ。

超解像のレベルは、オフを含めて4段階に設定できる(写真=左)。入力端子および画質モード(DV MODE)の静止画/動画モードにおいて、個別にレベル設定が可能だ。メニューの操作は、液晶パネル部の底面に並ぶボタンで行う(写真=右)。正面からボタン類が見えないデザインは、液晶テレビに通じるものがある

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2009年7月14日