ITmediaでも「中国政府、PCへのフィルタリングソフト搭載義務付け」で伝えられたこのニュースは、中国でも大々的に報じられている。中国のニュース系Webサイトはもちろんのこと、紙媒体でも、6月10日付けの新聞が取り上げている。多くのニュースでは「強制インストール」、または「インストール必須」と表現しているが、北京の地方紙「北京晩報」や上海の地方紙「新民晩報」では、フィルタリングソフトをインストールしても、その後「アンインストールしてもよい」ということを紹介している。
ここで、中国の新聞事情について説明しておきたい。中国では政治色の強い「〜日報」と呼ばれる共産党系全国紙と地方紙よりも、「〜晩報」という名の地方紙が市民から圧倒的に支持されている。また、ニュース系のWebサイト読者は、10代後半から30代前半までの都市住民に極端に片寄っている。都市部に住んでいても、中高年層は紙新聞をじっくり読むことを日課としている人々が多い。
政府系の「〜日報」でも、下野系の「〜晩報」でもこのニュースは掲載されているが、「〜晩報」でこのニュースをより大きく取り上げているケースが多いようだ。紙新聞に掲載されているので、PCを普段触らない多くの中高年の人々でも、「中国でフィルタリングソフトのインストールが義務化される」ことは知っていると思うが、その多くはそのことが何を意味し、PCを使ううえでどのような影響を及ぼすのか「よく分からない」ため、記事そのものが無視されてしまい、中高年層が形成する世論的にも重要視されていないのが実情だ。
しかし、ニュース系Webサイトでこのことを知った多くのインターネット利用者は、ことの重要性を認識している。そのうえで、この政策に賛成する、というより、甘んじて妥協するグループと、反対するグループ、それに「なんだか、よく分からない」という、3通りの反応に大きく分かれている。どのグループが最も多いかというと、(日本的な感覚としては意外なことに)甘んじて妥協する派で、その次に「よく分からない」派、そして、反対するグループは少数派となっているように感じる。
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