すべてのレガシーを見直して2010年度を飛躍の年に――マイクロソフト新年度経営方針Window 7の市場規模は約7000万台

» 2009年07月07日 20時42分 公開
[ITmedia]

マイクロソフトにとって2010年度は飛躍の年

マイクロソフト代表執行役社長 樋口泰行氏

 7月から新年度がスタートしたマイクロソフトが記者会見を行い、経営方針や事業戦略を語った。まず、同社代表執行役社長の樋口泰行氏が2009年度の経済環境を振り返り、「サブプライムローン以降、世界的に不景気に見舞われ、これまでの成長を見直す“リセットピリオド”の時期を迎えた」と説明し、「企業は従来のビジネスモデル、経営手法や営業方針といった、すべてのレガシーについて見直しを進めていく期間に入った。これはIT分野でも同様で、低コストなシステムやソリューションが必要とされている。景気が底打ちかけたにおいだけはして、まだまだ本格的な回復には至っていないものの、コンシューマー市場では自宅からあまり出歩かない“巣ごもり現象”によってゲームやPC分野で成長を続けている」と指摘した。

 このような厳しい状況の中で樋口氏は、Windows AzureやSilverlight 3などクラウド関連製品を2010年度に展開していく予定であること、社内的にカルチャー面で組織の壁をぶち壊し、1つのマイクロソフトとして戦略を議論できる体制ができつつあることを挙げ、再び成長するだけの土台はできているとアピールし、2010年度を飛躍の年と位置づけた。

2010年度の成長に向けたベース部分
コンシューマー向けビジネスの注力分野
企業向けビジネスの注力分野

2010年度はWindows 7やOffice 2010、Bingなど続々と新しいソフトウェアやサービスが提供される予定だ
次世代コンピューティングのあるべき姿として、ソフトウェアとサービスを同時に提供していくことを挙げる
2010年度に展開予定のクラウド関連製品

まずはWindows 7を成功させる

 コンシューマー向けの施策については、「Windows 7」「Windows Mobile」「Bing」「Xbox LIVE」の4つを注力分野とした。

 樋口氏はWindowsの歴史を振り返り、「Windows XPは堅牢性、信頼性、安定性を改善したOSだったが、その後、セキュリティ対策がクローズアップされ、Vistaを開発してきたのがWindowsの経緯」とし、「Vistaで課題として残ったのは互換性とパフォーマンス面だ」と指摘した。「そこでユーザーのフィードバックを徹底的に集め、互換性、速度、すべてのバランスを取ったのがWindows 7である」と述べた。

 そして、Windows 7の国内発売日はワールドワイドと同じ10月22日に決定したと発表し、「Windows 7の市場規模は、Windows 7にアップグレードできるReady PCが一般ユーザーで約1550万台(法人は約1140万台)、潜在的な買い換え需要で約1980万台(同約2310万台)あると想定している」と語った。

Windowsの歩み
Windows 7の開発ポイント
Windows 7の国内発売は10月22日に決定

Windows 7の市場規模は約6980万台と算出(写真=左)。すべてのユーザーにWindows 7を届けたいという(写真=右)

 一方のWindows Mobileは、米国で実施しているアプリケーション配信サービス「Windows Marketplace」を日本でも実施できる環境を整え、キャリアや端末メーカーと連携を取って製品やサービスを提供していきたいとした。

 米国では正式なサービスを始めている検索エンジン「Bing」については、日本語版はまだβ段階だが、時間をかけて日本のユーザー向けに最適化していきたいとし、具体的にはショッピングや旅行、ヘルスケアやビューティといった分野に注力していくと考えているという。

 2009年4月に国内の累計販売台数が100万台を突破したXboxは、全世界で2000万人を超える会員を擁するオンラインサービスのXbox LIVEに力を入れていくとし、今後はフルバージョンのゲームのダウンロードを筆頭に、ユーザーが作った自作コンテンツの配信などを計画しているという。

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