マイクロソフトは米国時間の7月22日、Windows 7の開発工程が完了し、生産部門向けにリリース(RTM:Release To Manufacturing)されたことを発表した。数日以内にOEMパートナーへ提供を開始し、8月6日には英語版のMSDNやTechNet、Microsoft Connectの会員向けに配布を行うという。日本では米国と同様、10月22日に一般販売が開始される予定だが、これに向けて順調に準備が進んでいるようだ。
さて、本連載ではいち早くWindows 7の中身を把握すべく、Windows 7 RC版(製品候補版)を利用し、各種機能をXP/Vistaと比較しながら解説していく。RC版のダウンロード期限は2009年8月20日までなので注意してほしい。ちなみにRTM版のビルド番号は7600となり、RC版(ビルド番号は7100)から大きな変更はないとされている。
前回はWindows 7のスタートメニューと通知領域における変更点を見てきたが、今回はユーザー用フォルダの変遷と新機能の「ライブラリ」をチェックする。
第3回 Windows 7のスタートメニューと通知領域はこう進化した
第2回 Windows 7のタスクバーとガジェットは一味違う
第1回 Windows 7のデスクトップはVista/XPと何が違うのか
Windows XP/Vista/7には、ユーザーのデータを格納するための特別なフォルダが設けられている。多くのユーザーが、こうしたWindowsにあらかじめ用意されたユーザー用フォルダを利用していることだろう。
XPの場合、各ユーザーのファイルを保存する「マイドキュメント」フォルダがあり、その中に写真用の「マイピクチャ」や動画用の「マイビデオ」、音楽用の「マイミュージック」が用意される。マイドキュメントのフォルダには、デスクトップ上のアイコンやスタートメニューから手軽にアクセス可能だが、その実体は「C:\Documents and Settings\<ユーザー名>\My Documents」にある。
Vistaの場合、「ドキュメント」「ピクチャ」「ビデオ」「ミュージック」といった名前のフォルダが用意され、“マイ”の文字が省かれた簡素な表示となった。また、ユーザープロファイルの場所も「Documents and Settings」から「Users」というシンプルなフォルダ名に変更され、ユーザー名の付いたホームディレクトリの下に「ドキュメント」「ピクチャ」「ビデオ」「ミュージック」などの各フォルダが同じ階層で並んでいる。ここに、「デスクトップ」「お気に入り」「アドレス帳」「ダウンロード」などのフォルダも加わり、個人用のファイルを一括管理しやすくなった。
さらにVistaでは、これらの特殊なフォルダがファイルの検索を高速化するインデックス作成の対象となっているのがポイントだ。これにより、ファイルが大量にある場合も目的のものを探す手間が減っている。また、「ピクチャ」フォルダを開くと、サムネイル画像を表示するなど、格納されたファイルにふさわしいテンプレートを利用して表示するようになっている。
Windows 7のユーザー用フォルダは、基本的にVistaと同じような構成になっている。ユーザー名の付いたホームディレクトリの下に「マイドキュメント」「マイピクチャ」「マイビデオ」「マイミュージック」などの各フォルダが同じ階層で並ぶ仕組みだ。用意されるフォルダの種類もVistaと変わらない。ただし、フォルダ名を見ると、XPの時代と同じ“マイ”の文字が復活している。
XP/Vista/Windows 7ともに、ユーザー用フォルダの場所は任意のフォルダに変更できる。デフォルトではシステムドライブ(通常はCドライブ)に設定されているが、システムドライブの容量が少ない場合は、別のドライブに移動可能だ。
このようにユーザー用フォルダは、名前や保存場所、用意されているフォルダの種類などが異なっているが、基本的にXPの時代から大きく進化していない。しかし、Windows 7ではこれとは別に新しいユーザー用フォルダの概念が追加されている。次のページで解説しよう。
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