──個人的には、Windows 7の登場を間近に控えて、導入されているOSがWindows XPということが気がかりです。
伊勢 国内市場では、VAIOシリーズのNetbookに対する要望が早くから強くありました。今回投入した時期は確かにOSの世代交代という意味では微妙ですが、待っているユーザーに少しでも早く渡したいということで2009年8月の出荷に決定したのです。
武上 本当に一刻も早く出したかったんです。ですからWindows 7を待っているわけにもいかず、Windows XPの導入を決めました。
伊勢 幸い、ユーザーもWindows 7のことはよく知っているので、OSの世代交代のタイミングを把握したうえでVAIO Wを選んでいます。彼らは、VAIO Wを使う目的も正しく理解していて、店頭で実物を試してから購入することもできます。自分がVAIO Wでやりたいことが実際にできるかどうかを調べたうえで、このタイミングでもWindows XPで問題ないと判断してもらえるんじゃないでしょうか。
武上 企画を進めているときに、いろんな人から自分のPCに入っているOSの種類を聞いたんですが、Windows XPかWindows Vistaかを知らないユーザーがかなりいることが分かりました。普通のユーザーは、OSの種類をあまり気にしていないんですね。やりたいことができればOSはなんだっていいんです。VAIO Wにマッチするのは、そのくらいOSを気にしないユーザーです。そこに大きな手付かずの市場が隠れているのではないでしょうか。
VAIOを名乗るためには、所有する喜び(VAIO Wの開発者達は“プライド・オブ・オーナーシップ”と表現していた)をユーザーに感じてもらわなければならない。その意気込みで完成させたVAIO Wは、構成パーツが各社のNetbookと同じでも、VAIOを称するのにふさわしい姿をしている。手に持ったときの感触もいい。
Netbookが果たした功績は、今まで欲しくても手が届かなかった個人専用のPC、あるいは、気軽に別の場所で使える2台目のPCの市場が、本当にあったことを証明したことだ。2台目のPCを阻む要因は、価格にあったことを、すべてのPCベンダーに突きつけたのだ。
携帯電話以上、フルスペックPC未満。Netbookがカバーするその領域は、まだまだ広がっていくのか。それとも、まったく新しい領域がさらに出現するのか。VAIOシリーズのNetbookとして出現したVAIO Wが、その可能性を示そうとしている。
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