ThinkPad T400sのCPUには、Core 2 Duo SP9400(動作クロック2.4GHz)、もしくはCore 2 Duo SP9600(動作クロック2.53GHz)を搭載できる。今回の評価作業で用いた機材には、標準構成のCore 2 Duo SP9400を採用していたほか、メモリはPC3-8500(DDR3 1066MHz)が2Gバイト、HDDは1.8インチの250Gバイト(Serial ATA接続)が搭載されていた。ThinkPad T400sのグラフィクス機能はIntel GS45 Expressチップセットに統合されたIntel GMA 4500MHDを利用する。
なお、標準構成で導入されるOSは32ビット版 Windows Vista Businessだが、ダウングレード用のWindows XP Professional(SP3)のイメージが標準で用意されている。評価に使った機材では最初からWindows XP Professional(SP3)がインストールされていたので、この状態でどの程度の性能が発揮できるのかベンチマークテストで測定してみた。
ベンチマークテスト | 測定値 |
---|---|
PCMark05:PCMark | 4460 |
PCMark05:CPU | 6241 |
PCMark05:Memory | 5345 |
PCMark05:Graphics | 1806 |
PCMark05:HDD | 4579 |
3DMark05:3DMarks | 1537 |
3DMark05:CPU | 4136 |
FF XI Bench 3:LOW | 4797 |
FF XI Bench 3:HIGH | 2930 |
「PCMark05」の結果は、メインマシンとして十分な値といえるだろう。CPUも6000台と通常の用途で不足しないレベルだ。注目したいのがHDDの結果で、1.8インチということでかなり苦しいと予想していたが、通常の2.5インチHDDとそれほど変わらない値を出している(Atom N270と1.8インチHDDを搭載したノートPCでPCMark05のHDDを測定した結果は2000台後半程度、Atom N270と2.5インチHDDを搭載したモデルで3000後半程度になる。ただし、Core 2 Duo P8700(動作クロック2.53GHz)と2.5インチHDDを搭載したノートPCでは通常5000前後なので、それと比べると値は低いといえる)。なお、評価用機材に搭載されていたHDDは東芝の「MK2529GSG」で、1.8インチながら5400rpmのモデルだった。
3Dグラフィックスについては「3DMark05」と「FINAL FANTASY XI OFFICIAL BENCHMARK 3」(FF Bench 3)で測定してみた。さすがに“すごく速い”というほどではないものの、チップセットに統合されたグラフィックスコアとしては優れた数値といえるだろう。FF Bench 3の結果は「FINAL FANTASY XI for Windowsをデフォルト状態でとても快適に動作させることができる」レベルである4000以上に達している。
ThinkPad T400sは薄型を追求しつつもCPUやチップセットに標準電圧タイプ(ただし、TDPは抑えたSFFモデル)を採用し、HDDにも十分な速度の出る5400rpmモデルが用いられているおかげで、開発者が考える「薄型軽量のボディでもメインマシンとしても使える」だけのパフォーマンスが発揮できることを、今回のベンチマークテストの結果が示している。
ThinkPad T400sの「本題」ともいえるキーボードだが、開発者が「歴代最高」と豪語するだけあって、確かにいい。キータッチは軽いが、しっかりしたクリック感があって押し込んだ指をしっかりと受けとめてくれる打鍵感で小気味いい。1つ1つのキーはぐらつくこともなく、まっすぐに沈み込んでくれる。低価格ノートPCにありがちな、キーストロークが浅くて柔らかすぎることもない。確実にキーを押したことを意識させるキレのよさがあって力強くたたいてもたわまない。とにかく、ThinkPad T400sはキーをたたいていて気持ちいいのだ。
キーボードの改善はキータッチだけでなく、キー配列にも及んでいる。もちろん、キーピッチは十分な幅が確保されているし、変則的な配列もない。それに加えて、ThinkPad T400sでは新しい試みとして、使用頻度の高い「Deleteキー」と「Escキー」に通常キーの2段分の高さを与えている。実際に使っていても、サイズがほかのキーと明らかに異なるので、指の感触だけでDeleteキーやEscキーを触っていることが認識できる。
また、キーボード最下段と接するパームレストの部分には、なだらかなカーブがつけられており、キートップと周辺部の間に適度な段差がある。この段差がないと、親指でタイプしたときにつっかかる感じがするものだが、ThinkPad T400sではそのような使いにくさはない。
ポインティングデバイスにも工夫が施されている。ThinkPad T400sでは、スティックタイプのTrackPointとタッチパッドの両方を装備しているが、本体薄型化のため、パームレストとタッチパッドが一体化されていて段差がない。しかし、タッチパッドの表面に細かな凹凸をつけることで、パームレストとタッチパッドの感触を変え、手で触っただけでそこがタッチパッドなのかパームレストなのかを判別できるようにしている。
ほかにも、音量調整ボタン、ミュート、マイクのオン/オフボタンがそれぞれ独立したボタンとして用意されているだけでなく、その場所が直感的に認識できるようにボタン中央が光るデザインが新たに導入された。
このように、ThinkPad T400sのユーザーインタフェースには、細かな配慮が施されていて、非常に使いやすいデザインになっている。薄く軽くなったボディが注目され勝ちだが、こういう地味ながらもユーザーの使い勝手を大きく向上させた工夫も高く評価されるポイントといえるだろう。
本製品はメインマシンとして十分なスペックを搭載しつつ、持ち運びも可能な薄型軽量ボディを実現した。 バッテリー駆動時間もメーカー公称値で最大約6.3時間と長く、メインマシンとしても使える妥協のないスペックながら、持ち運びにも適した1台といえる。
実売価格はレノボダイレクト価格で15万円程度(キャンペーン価格)からと、イマドキのノートPCとしては割高に感じられるかもしれないが、歴代最高をうたう快適なキーボードなど、スペック表やベンチマークテストの値として表れてこないところで高く評価できる特徴をもつ。しっかりしたつくりとDisplayPortに代表されるような最新のインタフェースを備えて長く使えそうなモデルであることを考えれば、価格を超えた価値をもつ1台といえそうだ。
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