AMDからメインストリーム向け統合チップセットの新モデル「AMD 785G」が登場した。AMD 780Gからは型番が「5」上がっただけのマイナーバージョンアップにも見えるが、統合されたグラフィックスコアの開発コード名が「RV620」であることが示すように、新世代のチップセットとしての機能が盛り込まれている。
その典型的な例がDirectXの対応だ。AMD 780GがDirectX 10対応だったのに対し、AMD 785GではDirectX 10.1までサポートが広がった。ほかにも、UVDでバージョン2がサポートされるほか、GPGPUを利用する機能を含む「ATI Stream」にも対応することになった。このように、型番の違いはわずかでも、実際には多くのアップデートが行われている。すでに登場しているAMD 780GとAMD 790GXと機能を比較してみると次のようになる。
ノースブリッジ | AMD 785G | AMD 790GX | AMD 780G |
---|---|---|---|
サウスブリッジ | SB7x0 | SB7x0 | SB7x0 |
統合GPU | Radeon HD 4200 | Radeon HD 3300 | Radeon HD 3200 |
DirectXサポート | 10.1 | 10 | 10 |
GPU開発コード名 | RV620 | RV610 | RV610 |
シェーダ数 | 40 | 40 | 40 |
プロセスルール | 55ナノメートル | 55ナノメートル | 55ナノメートル |
SidePortMemory | ○ | ○ | ○ |
UVD | UVD2 | UVD | UVD |
CrossFireX | × | x8+x8 | × |
HybridCrossFireX | ○ | ○ | ○ |
DisplayPort | ○ | ○ | ○ |
HDMI | 1.3 | 1.2 | 1.2 |
AMD 785Gに統合されたグラフィックスコア「Radeon HD 4200」の製造プロセスは、AMD 780GのRadeon HD 3200やAMD 790GXのRadeon HD 3300から変更していない。搭載するシェーダユニットの数も同じだ。また、(Catalyst Control Centerで確認できる情報によると)コアクロックはRadeon HD 3200と同じ500MHzとなっている。ちなみにRadeon HD 3300は700MHzであるので、コアクロックを並べると、Radeon HD 3300>Radeon HD 4200=Radeon HD 3200という序列になる。この並びはチップセット型番の大小に等しい。
今回の評価作業で使用したAMD 785G搭載マザーボードはASUSの「M4A785TD-V EVO」だ。同社ではAMD 785G搭載マザーボードを3製品ラインアップしているが、そのなかで唯一となるATXフォームファクタ対応のモデルだ。サウスブリッジはSB710を載せている。
M4A785TD-V EVOはSocket AM3対応でDDR3メモリスロットを4基搭載する。コネクタやヒートシンクの青いカラーリングが印象的だ。CPU電源供給回路は8+2フェーズ構成で、ASUSが独自に開発した省電力制御エンジン「EPU」に対応する。サポートするCPUのTDPは最大140ワットとメインストリームモデルより高い。
バックパネルにはアナログRGB出力とDVIに加えて、HDMI出力も備えている。また、統合されたグラフィックスコアが使えるDDR3-1333 128Mバイトの「サイドポートメモリ」を実装しており、メインメモリの共有利用時よりも3D性能の向上が期待できる。
拡張スロットの構成は、PCI Express x16が2基(x16、x4)、PCI Express x1が1基、PCIが3基となる。また、SB710がサポートする6ポートのSerial ATAのうち、1ポートをeSATAとして使えるようにデザインされているのも特徴だ。
今回の性能評価では、比較対象としてAMD 790GXとSB750を搭載したマザーボードを用意した。こちらもSocket AM3に対応したモデルで、DDR3-1333 128Mバイトのサイドポートメモリを搭載するなどM4A785TD-V EVOと構成をそろえている。そのほかのシステムを構成するパーツでも、メモリ、HDDなど、両者で共通にした。
なお、「M4A785TD-V EVO」では統合されたRadeon HD 4200のコアクロックを設定できる機能がBIOSに用意されている。そこで、この機能を使って700MHzと750MHzで動作させてみたので、その結果も合わせて比較してみよう。なお、コア700MHzは定格電圧でテストが完走したが、750MHz時はチップセット電圧を0.6ボルトほど昇圧しなければ完走しなかったことを付記しておく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.