2009年7月に登場したインテル製SSD「Intel X25-M」の新モデルで導入された最大の変更点は、フラッシュメモリのプロセスルールが従来モデルの50ナノメートルから34ナノメートルへと微細化した点だ。フラッシュメモリもCPUと同様にプロセスルールがシュリンクすると製造コストが下がる。新モデルの初期出荷時における価格は初代モデルの6割程度に設定されている(80Gバイトモデルで2万6000円前後)ことからも、プロセスルールの微細化が価格に影響することが分かるだろう。
新モデルはマイナーチェンジレベルであるため、シーケンシャルの転送速度はリードが250Mバイト/秒、ライトが70Mバイト/秒、MTBF(平均故障間隔)が120万時間など、スペック表に示される値はほとんど変更されていない。ただし、体感速度に影響しやすいランダムライトのIOPSやリード、ライトのレイテンシは向上している。
IOPSとは、1秒間に行なわれるデータの読み出しと書き込みの回数を表わす単位で、WindowsではWindowsフォルダの4割がサイズ4Kバイト以下のdllファイルで占められていることもあって、4KBリードやライトのIOPS値が体感速度に大きく影響する。この数値が高いほど体感的にも高性能なストレージということになる。レイテンシは、データの要求命令を発行してからデータが返ってくるまでに要した時間のことだ。こちらは値が小さければ小さいほど高性能ということになる。今回登場した新モデルのIntel X25-Mは、価格以外でも実用性が向上したといえるだろう。
新型X25-M | 初代X25-M | |
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容量 | 80Gバイト、160Gバイト | 80Gバイト、160Gバイト |
フラッシュコンポーネント | MLC | |
シーケンシャル(読み出し) | 250Mバイト/秒 | :250Mバイト/秒 |
シーケンシャル(書き込み) | 70Mバイト/秒 | 70Mバイト/秒 |
レイテンシ(読み出し) | 65ミリ秒 | 85ミリ秒 |
レイテンシ(書き込み) | 85ミリ秒 | 115ミリ秒 |
4KBランダムIO IOPS(読み出し) | 35000 | 35000 |
4KBランダムIO IOPS(書き込み) | 80GB(6600)、160GB(8600) | 80GB、160GB(3300) |
新モデルでは外観も変更されている。今回の評価作業で用いた初代モデル「SSDA2MH080G1GN」は、ボディが黒く塗装されていたのに対し、同じく評価作業で使った新モデルの「SSDSA2MH160G2GC」はシルバーベースに変更された。また、今回入手したSSDSA2MH160G2GCには、2.5インチHDDとサイズの互換性を保つための厚み調整用フレームが本体の周囲に標準で取り付けられている。初代モデルの厚さが実測で約6.4ミリであるのに対し、新モデルでは9.3ミリと厚くなっている。ただし、フレームを除いた本体の厚みは両製品とも同じだ。
なお、フレームの有無で固定に必要なネジの長さが異なることとネジを外した時点でメーカー保証が切れてしまうことなどから、エンドユーザーがこのフレームを外して使うのは難しい。ただ、初代モデルでもフレームが取り付けられていたモデルがあったことから、新モデルでもフレームなしモデルが登場する可能性は考えられる。フレームの有無が気になるユーザーは、事前に仕様の確認が必要だろう。
ボディの内部には、初代モデルと同様にネジを外すだけで簡単にアクセスできる。システム基板で初代と新モデルで大きく異なるのは、メモリチップの種類と搭載されているチップの数だ。今回評価用として用意した初代モデルの容量は80Gバイトで、SSDSA2MH160G2GCの容量は160Gバイトであったが、初代モデルのシステム基板には、表と裏に合計20個のメモリチップが載っていたのに対し、容量が多いSSDSA2MH160G2GCは表面の10個のみで裏側は空きスペースになっている。新モデルは現段階で160Gバイトモデルまでしかラインアップされていないが、基板に載っているメモリチップの状況から、将来的には320Gバイトモデルも期待できるだろう。
もう1つ大きく変わったのがキャッシュメモリだ。初代モデルがサムソンの「K4S281632I-UC60」(容量16Mバイト)であったのに対し、SSDSA2MH160G2GCではマイクロンの「MT48LC16M16A2P-75IT」(容量32Mバイト)に変更されている。キャッシュ容量が2倍になったわけで、こちらも性能向上に貢献すると思われる。
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