SoloかDuoか、それが問題だ――6万円台の「Aspire Timeline」を試すNetbook+2万円でもっと快適

» 2009年08月19日 19時06分 公開
[後藤治,ITmedia]

「Aspire Timeline」に実売6万9800円のモデルが登場

「Aspire Timeline AS3810T-S22」。6万9800円前後

 ASUSの「U」シリーズやMSIの「X340 Super」など、Netbookで名を馳せた台湾ベンダー各社は、10万円を切る価格帯に向けてCPUにCULV(Consumer Ultra Low Voltage)プロセッサを採用したスリムノートPCを相次いで投入している。5万円前後で販売されるモデルが多いNetbookと、10万円台前半の価格帯に位置する一般的なノートPCの間を埋めるのが狙いだ。

 いずれもAtomより高いCPU処理性能や、13.3型ワイド(1280×768ドット)の広い液晶ディスプレイ、長時間のバッテリー駆動をアドバンテージにうたう製品が多いが、同じく台湾勢のAcerは、超低電圧版のCore 2 Duoを搭載する「Aspire Timeline(AS3810T-H22)」の下位モデルとして、CULV Core 2 Solo SU3500を採用した「AS3810T-S22」を追加することで競合メーカーに対抗している。ほぼ同じ仕様のASUS「U20A」やMSI「X340 Super」が実売9万9800円前後であるのに対し、AS3810T-S22は実売6万9800円前後と、圧倒的なコストパフォーマンスを誇る。

アルミニウム合金製の天板やブラッシュド・アルミニウムのパームレストなど、ガンメタリックのシンプルなデザインながら高級感もある

 もっとも、ただ安いだけではない。ボディは13.3型のAspire Timelineをそのまま流用しており、以前レビューしたように、安っぽさを感じさせないどころか、むしろ高級感さえあるデザインだ。重量が約1.6キロと、モバイル用途には少し重い印象があるものの、使い勝手もよく、低価格スリムノートPCの中では最右翼の製品と言っていい。

 スペック面でも、AS3810T-H22との大きな違いは、搭載CPUがULV Core 2 Duo SU9400(1.4GHz)からCULV Core 2 Solo SU3500(1.4GHz)のシングルコアになった点だけであり、2万円の価格でどれくらいの性能差があるかは気になるところだろう。ここではパフォーマンスに注目して定番ベンチマークテストを行った。なお、詳細なレビューについては、関連記事を参照して欲しい。

Core 2 SoloとCore 2 Duoでどれだけ違う?

 まずWindowsエクスペリエンスインデックスのスコアだが、最も低いサブスコアがグラフィックスの3.2で、AS3810T-H22の3.1をわずかに上回った。ただし、ともにグラフィックス機能は、HD動画コンテンツのハードウェア支援機能をサポートしたIntel GMA 4500MHDを統合するIntel GS45 Expressを利用しており、このスコアの差は誤差の範囲だ。サブスコアを個別に見ていくと、やはりCPUでAS3810T-H22(Core 2 Duo SU9400)の4.6に対し、AS3810T-S22(Core 2 Solo SU3500)の3.5と、大きく差がついている。

Windowsエクスペリエンスインデックスのスコア。左がAS3810T-S22、右がAS3810T-H22の結果

 PCMark 05の結果も同様で、CPUのスコアはAS3810T-H22の3624に対して、AS3810T-S22が2129と、1.5倍ほどの差がある。もっとも、同社製Netbook「Aspire one D150」は、PCMark05のCPUスコアが1500を切る程度だったので、Atom N270(1.6GHz)に比べれば、AS3810T-S22のCore 2 Solo SU3500(1.4GHz)も悪くない結果と言えるだろう。実際、本機のOSにはWindows Vista Home Premiumが採用されているが、通常の試用で重いと感じることはほとんどなかった。

 一方、グラフィックス性能を測る「3DMark06」ではCPUスコアが足を引っ張ってAS3810T-H22に比べるとやや落ちた。もっとも、こちらもそれほど大きな差があるわけではない。「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」の結果も同様で、Atom N270+Intel GMA 950のAspire one D150と比較すれば少しいいという程度だ。いずれにせよ、軽めの3Dゲームなら動作するレベルだが、期待はしないほうがいいだろう。

PCMark05(画面=左)、3DMark06(画面=中央)、FFベンチ(画面=右)

標準で公称8時間、実際のバッテリー性能は?

 Aspire Timelineの特徴として、標準バッテリー(6セル)による駆動時間の長さも大きなポイントだ。実際、前回レビューしたAS3810T-H22では6時間21分と好成績を残している。今回も同様に「BBench 1.01」(海人氏作)を用いてバッテリー駆動時間を計測した。設定は、10秒ごとにキーボード入力、60秒ごとに無線LANによるWebサイト巡回を行う条件で、電源オプションは「バランス」、輝度は最高に設定している。なお、今回は、Acer独自の省電力化技術「Acer PowerSmart Manager」を有効にした場合も計測している。

 結果はAcer PowerSmart Managerの有効/無効の両方で、7時間をゆうに超える長時間バッテリー性能を証明した。公称値の8時間には届かなかったものの、これだけバッテリーが持つなら通常のモバイル用途でバッテリー残量を気にする場面はかなり減るはずだ。なお、AS3810T-H22の6時間20分に対して、AS3810T-S22では約1時間ほど延びているが、これはコア数が減りTDPが10ワットから5.5ワットに下げられていることも要因の1つだろう。

バッテリー駆動ベンチマーク(BBench 1.01)


 以上、Core 2 Soloを採用した「Aspire Timeline AS3810T-S22」を見てきた。デュアルコアのSU9400(1.4GHz)とシングルコアのSU3500(1.4GHz)を比較すると、処理性能ではやはり劣っているものの、Atomと比べた場合はこちらもはっきりと優位に立っており、価格帯もちょうどAS3810T-H22と一般的なNetbookの中間に位置している。

 デュアルコアの上位モデルを選ぶか、シングルコアでも2万円安い下位モデルにするか、あるいはもっと安価なAspire oneにするか――これはなかなか難しい問題だが、CULV Core 2 Soloを搭載する競合機に比べてコストパフォーマンスが高いのは事実だ。「使い勝手のいい低価格スリムノートの購入を検討しているけれど、基本的にWebの閲覧とモバイル用途がメイン」、そんな人には実売6万9800円で買えるAspire Timeline AS3810T-S22は、最も有力な選択肢の1つになるだろう。

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