CULV搭載ノートは「モバイル・サブノート PC」へ

» 2009年08月20日 02時56分 公開
[長浜和也,ITmedia]

レノボのコンシューマービジネスは3段階で拡大する

 8月19日に日本で行われたIdeaPadの新製品説明会では、中国本社のIdeaPadグループ上級副社長のウェイ・ジュン氏がレノボのコンシューマー市場戦略を紹介した。ジュン氏は、IdeaPadの開発体制において、中国の北京、日本の大和事業所、米国のラーレー研究所が連携することで、ThinkPadと同様の高い技術力を使ってIdeaPadの開発が進められていることをアピールし、Ideaシリーズ(ノートPCのIdeaPadとデスクトップPCのIdeaCentre)の事業拡大が「中国市場におけるトップシェアの確立」→「インド、ロシアなどの主要新興国市場への進出とシェア拡大」→「米欧日などの成熟市場でのシェア拡大」といった3段階で進められていると説明した。

 すでに中国市場ではノートPCでもデスクトップPCでも4分の1に近いシェアを確保しており、アセアン、ロシアなどでは2008年第3四半期で4%台のシェアを確保したことがIDCのデータとともに紹介された。

北京、大和、ラーレーが連携して高い技術力でIdeaPadを開発している(写真=左)。レノボのグローバル成長は3つの段階を経て実行された(写真=中央)。中国で出荷されるPCの4分の1はレノボ製(写真=右)

ThinkPad相当の機能と使い勝手をIdeaPadにも

 レノボ・ジャパンのConsumer製品ビジネスマネージャーの櫛田弘之氏は、IdeaPadのそれぞれのシリーズで導入された機能について具体的に説明を行った。IdeaPadの全モデルでは、ThinkPadのキータッチに近づけたキーボードが搭載されたほか、システムのバックアップやレストア、ウイルスチェックを自動で行う「OneKey Rescue System」、ThinkPadシリーズでも採用されたAccess Connectionsに相当する機能を持った「Ready Comm」、電力管理ユーティリティの「Lenovo Energy Management」などを導入したと述べた。

 また、モバイル利用を重視するIdeaPad Uシリーズでは、加速度センサーを利用して落下や衝撃を検知したときにHDDのヘッドを退避させる「アクティブ・プロテクション・システム」や、光センサーで検知した周りの明るさに合わせて液晶ディスプレイの輝度を自動で調整する「アンビエント・ライトセンサー」が実装されたほか、エンターテイメント利用を意識したIdeaPad Yシリーズには、ワンタッチで液晶ディスプレイの表示モードとサウンド再生条件を映画再生に適した設定に切り替える「OneKey Theater」を採用した。

 レノボ・ジャパンの資料によると、OneKey Theaterで映画再生モードに切り替わると、ディスプレイの表示では、彩度、コントラスト、アンチエイリアス、異方性フィルタリングの設定が切り替わって、画像を鮮明で滑らかに再生するようになり、サウンドの設定ではドラム音や高音域を可聴域で再生するほか、大音量でも音のひずみを低減すると説明されている。

説明会で紹介されたIdeaPad各シリーズの特徴

 櫛田氏は、レノボが海外のコンシューマー市場に投入しているデスクトップPCとして、2009 Internarional CESでも展示していた「IdeaCentre A600」と(詳しい情報は「将来はトリプルディスプレイも──Lenovoブースで“DS”なThinkPadに迫る」を参照のこと)、NettopのIdeaCentre C300も紹介した。櫛田氏によると、IdeaCentreの日本投入時期は未定としている。

参考情報として紹介された“くの字”型デザインが目立つ「IdeaCentre A600」(写真=左)とボード型Nettopの「IdeaCentre C300」(写真=右)

高性能、軽量小型、省電力を低価格で実現する「モバイル・サブノート PC」

 説明会には、ゲストスピーカーとしてインテルの技術本部技術部長の土岐英秋氏が登場し、超低電圧版CPUの必要性について語った。

 土岐氏は、1家1台から1人1台の時代を間もなく迎えようとしているノートPCでは、高い性能と小型軽量の本体、長いバッテリー駆動時間を普及価格帯の製品で実現しなければならず、そのために、インテルでは超低電圧で駆動し、実装面積も従来の半分程度に抑えたSFF向けのCPUとチップセットを用意していると説明した。

 土岐氏は、従来「CULV」(Consumer Ultra Low Voltage。コンシューマー向け超低電圧)と呼ばれてきたCPUを搭載したノートPCのカテゴリー名として、インテルが定義した「モバイル・サブノート PC」という呼称を初めて紹介した(サブノートとPCの間は“半角スペース”で区切られる)。土岐氏によると、この呼称は日本独自のもので、ワールドワイドでは「Ultra Thin Laptop」という名称が使われるという。

 当日示されたスライドには、モバイル・サブノート PCの条件として、ディスプレイのサイズが10.3〜13.3型であることや、持ち運んで使うことを想定したノートPCであること、マルチタスクへの対応や、HD再生が可能であることなどの性能面の条件に加えて、薄く軽く、そして「スタイリッシュなデザイン」といった主観的な内容も含まれていた。

インテルがCULVタイプのCPUを搭載したノートPCのカテゴリーを示す名称として提唱する「モバイル・サブノート PC」は、今回の説明会で初めて紹介されたものだ。土岐氏によると、この名称が決定されたのはレノボの発表会当日のことで、ワールドワイドで使う“Laptop”という単語に抵抗を感じた日本インテルが独自に“サブノート”という言葉を採用したとのこと。ただ、別の関係者からは「いまどきサブノートってどうかな?」という声もあったとかなかったとか

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