デザインとバランス重視のASUS初“CULV”ノート――「U20A」を駆るついに日本でも販売開始(1/3 ページ)

» 2009年08月24日 16時50分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]
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2009年後半のトレンドとして期待される新型ノートPCとは?

ASUSのCULVノートPC「U20A」

 ASUSTeK Computer(ASUS)が6月に発表した「Uシリーズ」は、インテルのCULV(Comsumer Ultra Low Voltage=コンシューマ向け超低電圧)版プロセッサを搭載した低価格な薄型軽量ノートPCだ。今回取り上げる「U20A」はその第1弾製品で、12.1型ワイド液晶ディスプレイと光学ドライブを搭載したモデルとなっている。2009年8月22日に発売されたばかりだ。

 インテルが推し進める「CULV」は、超低電圧版プロセッサを採用する薄型軽量ノートPC向けのプラットフォームだ。Atom搭載のNetbookより少し高めの価格帯を担い、リーズナブルな価格でNetbookよりも高性能かつ高機能を提供することで、NetbookからノートPCへとユーザーを誘導したいという狙いがある。

 CULV向けプロセッサとしては、Core 2 SoloやデュアルコアCeleronの超低電圧版などが新たに発表されているが、従来からあるCore 2 Duoの超低電圧版モデルもまたCULV向けとして含まれているように、CULVといっても技術面でのエポックメイキングな裏付けがあるわけではない。従来は高価なモバイルノートPCでしか採用されていなかった超低電圧版プロセッサを、戦略的な価格を設定しつつ低価格帯へもラインアップを拡充することで、より多くのユーザーに身近な存在として位置付け、多くの製品に採用を促していこうというマーケティング的な意図がある。そのアイコン的なものとして「CULV」という言葉が使われているという解釈でいいだろう。

 もっとも、現状では「CULV」といわれてもピンとこないユーザーのほうが多いだろうし、アイコンとしての役割も果たしているとはいい難い。インテルは最近になり、Netbookのような総称として、CULV搭載ノートPCを「モバイル・サブノート PC」と呼び始めたようだが(日本だけでの呼称らしい)、一般ユーザーには既存のモバイルノートPCとどう違うのかが分かりにくいかもしれない。今後、CULVを象徴するような製品群が続々と登場してくれば、自然とイメージが固まっていくことだろう。本製品の仕様や実力のほども、その一環として注目される。

デザイン性の高いA4ジャストサイズノートPC

ボディはブラックで統一されており、天板やパームレスト、液晶フレーム部は光沢塗装となっている

 前置きが少々長くなったが、U20Aはどのような製品かというと、12.1型ワイド液晶ディスプレイを備え、光学ドライブを内蔵した2スピンドルタイプのスリムノートPCとなっている。価格は9万9800円(Office Personal 2007搭載モデルが11万9800円)だ。確かに、Netbook以上で一般的なモバイルノートPC以下の価格帯にある。

 ボディのサイズは、298(幅)×230(奥行き)×22〜29.6(高さ)ミリ。フットプリントはA4サイズよりやや大きい程度で、重量は6セルバッテリーを含めて約1.8キロだ。光学ドライブを内蔵したノートPCとしてはスリムで軽量なほうではあるが、特に目立つほど薄型軽量というわけではない。あくまでもリーズナブルな価格が前提だけに、20万円クラスのモバイルノートPCと比べるのは酷というものだろう。

 それでもデザイン面では凝っている。ラメ入りの光沢ブラック塗装を採用したボディや、円柱状の液晶ヒンジ部、キートップに格子状のパネルをはめ込んだキーボードなど、独自のセンスに加えてソニーのVAIOシリーズを意識したと思われる部分も見られ、全体としては上品で洗練されたフォルムに仕上がっている。キーボードにバックライトが仕込まれているほか、タッチパッドには手の触れたラインが光る演出も施されている。

 液晶ヒンジ部に搭載するリチウムイオンバッテリーの容量は60ワットアワー(11.25ボルト 5600mAh)、公称の駆動時間は約8.3時間となっている。ACアダプタはEee PCシリーズに使われているものと同じく小型軽量(実測で86×35×26ミリ/電源ケーブル抜きで約145グラム)であり、本体と一緒に持ち運びもしやすい。携帯に便利なターガス製の専用キャリングバッグも標準で付属する。

背面に棒状のリチウムイオンバッテリーを装備する(写真=左)。ACアダプタは小型軽量だ。ターガス製の専用キャリングバッグも標準で付属する(写真=中央/右)。クッション性の高いノートPC収納部のほか、書類などを入れるスペースも余裕をもって用意されている

Netbookとは一線を画す基本スペック

 基本スペックは、CPUにCore 2 Solo SU3500を採用する。シングルコアで動作クロック1.4GHz、2次キャッシュ3Mバイトというスペックだ。ベンチマークテストの結果に関しては後ほど見ていくが、動作クロックこそAtom N270(1.6GHz)/N280(1.66GHz)などより低いものの、実際の性能はワンランク上のものがある。消費電力の目安となるTDP(熱設計電力)も5.5ワットと低く、Atom N270/N280の2.5ワットに迫る。

 チップセットにはIntel GS45 Express+ICH9MEを採用している。内蔵グラフィックスコアのIntel GMA 4500MHDはHD動画の再生支援機能を備えており、AVCHDムービーなどを少ないCPU負荷でスムースに再生可能だ。メインメモリはPC2-6400に対応し、標準で4Gバイト(2Gバイト×2)と十分な容量を搭載する。データストレージは2.5インチのHDD(回転速度5400rpm)を採用し、容量は320Gバイトと余裕がある。右側面に内蔵される光学ドライブは、DVD±R DL対応のDVDスーパーマルチドライブだ。この辺りのスペックは、CPUやOSの供給を安価に受けるための条件として、機能の制約があるNetbookとは一線を画している。

底面のカバーを外せば、メモリスロットとHDDにアクセスできる(写真=左)。装着されていた320GバイトHDDは、シーゲイトのMomentus 5400.6 ST9320325ASだった(写真=中央)。CPU-Z 1.52の情報表示画面(写真=右)。今回試用したU20Aは動作クロックが定格クロックよりも上昇しており、駆動電圧もインテルのスペックシート上の数値(1.050〜1.150ボルト)と食い違っていた。原因は不明だが、正常に情報が取得できていないと思われる

 通信機能は、1000BASET-T対応の有線LAN、IEEE802.11b/g/n(nはドラフト2.0)準拠の無線LAN、Bluetooth 2.1+EDRも装備。有線LANは100BASE-TXまで、無線LANはIEEE802.11b/gまでという製品が少なくないNetbookに対して、アドバンテージがある。

 ボディのインタフェースも同様で、3ポートのUSB 2.0、ExpressCard/34スロット、マルチメモリカードリーダー(SD/SDHC/MMC/メモリースティックPRO/xDピクチャーカード対応)、HDMI出力にアナログRGB出力、サウンド関連など、フルスペックのノートPCと同等の内容だ。

前面(写真=左)と背面(写真=右)のデザインはすっきりとしており、インタフェース類は一切搭載していない

左側面には2基のUSB 2.0ポート、アナログRGB出力、HDMI出力、メモリカードスロット、ヘッドフォン、マイク、通風口、ロック用ホールを備えている(写真=左)。右側面は1基のUSB 2.0ポート、有線LAN、ExpressCard/34スロット、光学ドライブ、ACアダプタ接続用のDC入力が並ぶ(写真=右)。3基のUSBポートは左右に分かれて搭載されており、使い勝手がいい

U20Aのデバイスマネージャ画面

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