ブラザー販売は9月3日、ホームオフィス向けインクジェット複合機「マイミーオ」シリーズと、ビジネス向け複合機「ジャスティオ」の新モデルを発表した(製品ラインアップと各モデルの主な機能は「ブラザー、インクジェット複合機「マイミーオ」新モデル7機種を投入」を参照)。
同日行われた製品発表会では、ブラザー販売代表取締役社長の片山俊介氏が登壇し、国内市場におけるプリンティング事業戦略を説明した。同氏はまず、昨年9月に開催した「Brother World 2008」からこれまでを振り返り、世界的な景気低迷などに触れて「まさに激動の1年だった。しかし、この先行きが見えない中でも堅調な実績をあげている(台数ベースで前年比25%増)」と述べ、その理由として「省スペース性とコストパフォーマンスに優れたブラザーの製品が選ばれているのだろう」と分析した。
特に好調だったのは、スモールオフィスに特化した「ジャスティオ」シリーズのA3対応カラー複合機だ。同社は2008年に“A3のライトユーザー”の市場を開拓するべく、A3対応で世界最小の「MFC-6490CN」を投入しているが、これが建築や不動産業界などのニーズにマッチしたという。また、全国の事業所数と規模の構成比を見ると、その8割は10人以下のSOHOであるとし、ここにターゲットを絞ることで「まだまだ市場を開拓できる。ラインアップを拡充してSOHOユーザーの多彩なニーズに対応していく」と今後の方針を説明した。
今回発表されたジャスティオの新モデルはA4対応のカラー/モノクロ機で、新エンジンの採用によりさらなる小型化を追求しているのが特徴だ。例えば、カラー複合機の「MFC-9120CN」(実売9万円前後)は高さ401ミリ、カラープリンタ「HL-3040CN」(実売4万5000円前後)は高さ250ミリと、国内最薄の小型ボディを実現した。また、前者は16枚/分の高速印刷や250枚の給紙トレイを備えるなど、コンパクトな筐体ながら性能や機能にもこだわったという。「設置が難しかった机の脇やカウンターにも置けるので店舗のカラー印刷のニーズに対応できる。コンパクトと高性能を武器にターゲット市場へ強力に展開する」(同社)。このほか、新たに自動両面印刷機能を搭載した高耐久モデル「MFC-9450CDN」(実売11万円前後)や、横幅390ミリのモノクロ複合機「MFC-8380DN」(実売5万円前後)など、新モデル計6機種で年間3万台の販売をめざす。
一方、ホーム・ホームオフィス向けのインクジェット複合機「マイミーオ」は、新たに7機種(子機2台付属モデルを含めると11機種)を用意した。このうち5機種は、有線LAN/無線LAN機能を標準で備え、「ツナガル、ツカエル、コンパクト」をコンセプトに拡販を図る。また、上位モデルの「MFC-935CDN」(実売4万5000円前後)と「MFC-735CD」(実売3万3000円前後)には、従来の4.2型よりも一回り大きな5型の液晶ディスプレイを搭載し、タッチパネルからの操作がより簡単になった。このほか、インクコストが高いというユーザーからの声に応えて、インク使用量を20〜80%ほど低減する「インク節約モード」や、原稿台に乗せた複数の素材をまとめてデータ化する「おまかせ一括スキャン」機能を備えたのも見どころだ。
同社は「現在プリンタ市場は単体機の150万台に対して複合機が440万台と3倍以上になっており、複合機化の流れが顕著だが、ファックスでは複合機化が進んでおらず、2008年度は“ファックスの複合機化”を軸にブランドの拡大を図ってきた。2009年度はマイミーオのネットワーク機能を拡充し、プリンタの多機能化という切り口でブランドを拡大していく」(同社)と述べ、「プリンタでもブラザーの地位を確立していきたい」と今後の抱負を語った。販売目標台数は年間50万台。
なお、発表会には2007年からマイミーオのCMキャラクターに起用されている小林麻央さんも登場。2010年版の年賀状のデザインを披露したり、「液晶画面が大きくて見やすい。無線LANということで、ケーブルにつながなくても使えるので、とってもおしゃれにプリント生活ができそう」と新製品の特徴をアピールした。
現在同社の基幹事業は、4800億円超の売り上げのうち76.9%を占めるプリンティング&ソリューションズ事業だが、次世代コンテンツ配信システムや電子ペーパーといった新事業の展開も行っている。発表会場となった東京国際フォーラムでは、別ホールで「Brother World JAPAN 2009」も開催され、マイミーオとジャスティオの新製品とともに、同社のさまざまな取り組みが紹介されていた。
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