ブルレー(BRULE)が日本語版Windows搭載モデルを国内販売している「Viliv X70」は、韓国Yukyung Technologiesが開発したAtom Z搭載のミニPCだ。先行して発売された「Viliv S5」の上位モデルに相当し、画面サイズを大型化しつつ、いくつかの機能強化も行っている。
製品の概要はすでに別記事(「Viliv S5」とはドコが違う!?:Atom/7型ワイド液晶/660グラムで6万円切りのミニPC――「Viliv X70」に触れる)でお伝えしているので、ここでは使い勝手やパフォーマンス、バッテリー駆動時間にフォーカスして見ていこう。
Viliv X70は、CPUや搭載するデータストレージ、プリインストールOSの違いによって3モデルが用意されているが、今回はミドルレンジモデル「X70-P-32」の試作機を使い込んだ。なお、今回使用した試作機は、実際の製品と一部仕様が異なる可能性がある。
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まずは基本スペックのおさらいから。CPUにはAtom Z520(1.33GHz)を採用し、チップセットとしてグラフィックス機能統合型のIntel System Controller Hub(SCH) US15Wを搭載する。メインメモリは1Gバイト(DDR2-4200)がオンボードで実装され、増設はできない。データストレージは32GバイトのSSDを内蔵する。通信機能はIEEE802.11b/g対応の無線LANとBluetooth 2.1+EDRを標準装備し、有線LANは非搭載だ。プリインストールOSはWindows XP Home Edition(SP2)の日本語版となっている。
こうした仕様はViliv S5のミドルレンジモデル(V-S5-32)と共通であり、パフォーマンス面では特に目立つ部分はない。スペックの違いは、液晶ディスプレイのサイズや操作ボタン、SDメモリーカードスロット、Webカメラといった機能面となる。
ボディのサイズは、210(幅)×117(奥行き)×22.5(高さ)ミリで、重量は約660グラムだ。一般的なモバイルノートPCよりはかなりコンパクトだが、Viliv S5に比べるとディスプレイサイズが大型化したぶん、かなり大柄になっている。両手でグリップする部分のデザインは特に考慮されておらず、ボタンやスティックの位置との兼ね合いもあって、本体だけだとやや持ちづらく、長い時間の使用ではやや疲れを感じた。
ただし、側面のインタフェース類はボディの一段くぼんだ場所にあり、上方に近い位置に集まっているため、本体を両手で持った際にケーブル類が手にぶつかりにくいのは好印象だ。また、余計な膨らみなどがないデザインは小さなバッグにもすっきり収まるため、持ち運びが非常にしやすい。
ちなみに、オプションのレザーケースを装着して使うと、厚みが増してクッションもよくなるためか、だいぶ持ちやすくなる印象を受けた。加えて、オプションの純正カーキットは通常使用時のスタンド代わりにもなるので、机上でメディアプレーヤーとして利用する場合などでは、これを使うのもいいだろう。これらのオプション類はすべて背面のカギ穴状マウンタに装着して使えるようになっており、ネジいらずでカッチリ固定できる。デザイン的にも機能的にも、実にクールだ。
底面の下部に装着するバッテリーパックは、リチウムポリマーを利用したスティック型だ。出力が7.4ボルトとしか記載されていないため、詳しいバッテリー容量は不明だが、公称の駆動時間は通常利用時で最大5.5時間、スタンバイ時で最大150時間をうたう。これだけ小型・軽量でフルのWindowsが動作するマシンとしては、バッテリー駆動時間はかなり健闘しているといえる(バッテリー駆動時間のテストは後述)。
ACアダプタは、突起部を除く実測でのサイズが47(幅)×49(奥行き)×93(高さ)ミリ、重量が197グラムで、Viliv S5のACアダプタ(実測値はサイズが43×46×82ミリ、重量が168グラム)ほど小さくはないが、持ち運びが苦にならない大きさだ。
タッチパネルを搭載した液晶ディスプレイは、Viliv S5の4.8型ワイドから7型ワイドへと大型化した。画面解像度は1024×600ドットと変わっていないが、そのぶんアイコンなどの表示が大きくなり、特に文字の表示はかなり見やすくなった印象を受ける。Viliv X70のほうが最大輝度も高いため、映像コンテンツの視聴にも向く。ただし、ディスプレイ表面は光沢処理されているため、表示は鮮やかだが、相応に映り込みはある。
Viliv S5もアイコンやウインドウのボタン、メニューのフォントサイズなどがうまくカスタマイズされていて、小さな画面を感じさせない使いやすさがあるが、Viliv X70ではさらに使いやすくなって、たいていの操作は本体に収納されたスタイラスを取り出さなくても、指で行えるくらいの画面サイズになっている(指の先を立てるように操作する必要はあるが)。
Viliv S5と同様にキーボードを搭載していないため、入力操作はタッチパネル搭載の液晶ディスプレイと、画面の周囲に配置されたボタンによって行う。文字入力用には、画面に透過表示されるソフトウェアキーボードが用意されている。
画面の大型化にともない、透過表示されるソフトウェアキーボードのキーサイズも大きくなった。キーピッチは上下/左右とも約7.5ミリ(キーサイズは約7×約6.5ミリ、上下のキーとの間が2ミリ弱ある)と、キーピッチが約6.5ミリのViliv S5より少し広がり、指でもタイピングしやすくなっている。
画面サイズに比べると意外にキーサイズは大きくなっていないが、そのぶんキーボードの表示が画面全体に占める割合が小さくなっていて、Viliv S5より視認性はよい。Viliv S5ではキーボードが画面の3分の2近くを占めていたが、Viliv X70では画面の上半分と中央部がキーボード表示とかぶらず、はっきり見える。透過表示とはいえ、やはりキーボードが画面表示に重なっていると見にくい面はあるので、キーサイズをギリギリまで大きくしていないのは、視認性と入力のしやすさのバランスから正解だろう。
キーに指やスタイラスが触れると、キー自体が青く表示されると同時に、ボディが軽く振動するバイブレーション機能も備わっている。これはViliv S5も搭載する機能だが、タイプしたことが視覚的にも触覚的にも分かるようになっているのはありがたい。
なお、バイブレーション機能はタッチパネルの操作全般で有効だが、デスクトップ上のアイコンからアクセスできる管理ツールの「viliv Manager」でソフトウェアキーボード利用時のみ有効にしたり、無効にすることもできる。個人的には、キーボード利用時のみ有効にするのが使いやすかった。
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