9月12日、ベルサール秋葉原でインテルのユーザーイベント「Intel Technology Day in Akiba 2009」が開かれた。主役は9月8日に登場したばかりの新型Core i7とCore i5、Intel P55 Expressチップセットだ。会場内にはP55マザーを販売するベンダーやショップブランドPCのブースが並び、オーバークロック世界記録保持者であるduck氏によるオーバークロックデモを見せるコーナーも設けていた。
イベントは12時から開始予定だったものの、会場の可動壁がうまく開かないトラブルが発生したため、10分遅れてスタート。オープニングセッションでは、インテル社長の吉田氏と、米Intel社のセールス&マーケティング本部副社長兼インテル・リセラー・チャネル統括部部長のスティーブ・ダルマン氏が登壇した。吉田氏は「今回の新製品は、発売から現在までのところ、日本が一番売れていました」とうれしそうに語る。同社スタッフも「深夜販売で盛り上がることもそうですが、秋葉原は世界でも特殊な街なんですよね。発売時からこれだけ好調に売れるというのはありがたいですよ。もうすぐWindows 7も登場しますし、今後も期待したいですね」と話していた。
ただ、ベンダー各社はさらなるヒットを期待している様子で、某ベンダーは「どのラインアップもまだヒットと呼ぶには目立った動きがありませんね。インテル系でも中間的なラインアップなのでスタートダッシュは厳しいですが、Windows 7時代の定番になってくれたらと思っています。先行投資的な意味合いが強いかもしれません」と、新OS登場までは準備段階といった旨のコメントを残していた。
そのほかのベンダーも、手放しで好調という声は聞かれなかった。それでも、「ブースに集まる観衆の多さや、ユーザーやショップから届く問い合わせは多く、潜在的なニーズの多さを感じています」(MSI)。
深夜販売でもライターの高橋氏と飛び入りでトークセッションを行った天野氏は、CPUとSSDをテーマにした2回のセッションで登壇。CPUに関しては、Core i5/i7の新機能を中心に解説していった。まずはユーザーの買い換えニーズを考慮して、2万円前後で買える同社のCPU「Core 2 Duo E8500」と「Core 2 Quad Q9550」、そして「Core i5-750」の性能を比較。「コア数が多くてクロック数が高いほうが喜ばれると思います。クアッドコアにするとデュアルコアよりどうしてもクロックが低くなってしまいますが、Core i5-750ならTurbo Boostを使ってより高い周波数で動かすこともできますよ」と、新CPUの優位性をアピールした。
乗り換えのボリュームゾーンと想定されるCore 2シリーズからの変更点については、「DDR3対応のメモリコントローラーをCPUに内蔵したことと、Turbo Boostが使える点。そしてアイドル時の省電力化が挙げられます」と説明。Turbo Boostは空いているコアのリソースを使用中のコアに充ててクロック数を引き上げる機能で、LGA 1366型のCore i7から搭載しているが、LGA 1156タイプはクロック上昇幅が向上しているという。
例として挙げられたLGA 1366タイプのCore i7-950(3.06GHz)は、ブーストできる段階が1コア使用時の2段階で、実クロックは最大3.33GHz程度となるのに対し、Core i5-750(2.66GHz)は4段階で3.2GHzまで上昇し、Core i7-860(2.8GHz)は5段階で最高3.46GHz、Core i7-870(2.93GHz)も5段階で最高3.6GHz程度まで高まるという。Turbo Boostの性能向上により、「シングルで動作するアプリケーションだけを使っているときでも、より高いパフォーマンスが得られます」と語った。
また、SSDをテーマにしたセッションでは、「だれにも聞けないSSDの質問」とタイトルのもとに、同社製SSDのマニアックな10の質問に回答するスタイルでスピーチ。汎用的なところでは、「ドライブの空き容量のよって、ドライブ性能って変わるんですか?」の問いに関して、「ええ、変わるんですと。特にランダムアクセス時の性能は影響を受けますね」と率直に答え、観衆をうならせていた。
盛り上がるメインステージとは無関係に、常に大勢の観衆を集めていたのがオーバークロックコーナーだ。オーバークロック世界記録保持者のduck氏が空冷と液体窒素を使ったCore i7 870(2.93GHz)のオーバークロックイベントを実施。液体窒素を使った実験では、同CPUで世界新となる5.721MHzを記録したという。ただし、記録用の写真撮影前にPCがダウンしたため、幻のレコードとなってしまった。
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