もう1つのパワーアップとして、グラフィックスカードのアップグレードを行った。本機のBTOメニューにはAMD(ATI)のRadeon HD 4850、NVIDIAのGeForce GTS 250と、AMDとNVIDIA両社のアッパーミドルレンジクラスのGPUが用意されており、これらを選ぶことで、ほとんどのゲームタイトルは十分快適にプレイすることができる。しかし、上には上があるもので、両社のグラフィックスカードのラインアップにはさらに性能の高いハイエンドモデルも用意されている。これらを使えば、さらに快適なゲームプレイを実現することが可能だ。いったいどのくらいの差があるのか、換装して試してみた。
今回はNVIDIAのシングルGPUとしては最上位モデルとなるGeForce GTX 285を搭載したMSIの「N285GTX-T2D1G-OC」(グラフィックスメモリはGDDR3 1Gバイト)を、標準のGeForce GTS 250搭載カード(同1Gバイト)と交換して利用した。前者はカードの全長が約269ミリと長いため、ケースサイズギリギリにはなるが、なんとか装着は可能だ。消費電力の公称値はGeForce GTS 250の150ワットに対し、GeForce GTX 285は185ワットに増えるが、本機の電源ユニットは+12V系3系統合計で385ワットの出力を備えるので、35ワットくらいの増加なら特に問題はないはずである。
実際に換装して起動したところ、特に何の支障もなく動作し、その効果も3DMark06のスコアにしっかりと現れた。特に1920×1200ドット、4サンプルのアンチエイリアス、8サンプルの異方性フィルタリングをかけた高負荷環境では効果が劇的に現れており、標準設定(1280×1024ドット、AAなし、トライリニアフィルタリング)では21%の性能向上だったのに対し、高負荷環境では57%にスコア差が拡大し、スコア自体も13215と10000の大台を超えた。このような高負荷環境でも快適に動作することを実証する結果となっている。
最後に、システムドライブにSSDを使用し、グラフィックスカードをアップグレードした状態で、PC USER定番のベンチマークテストを実行してみた。PCMark05は、実際のアプリケーションを使ってPCの日常作業をシミュレートする内容だ。Graphicsで11%、HDDで340%と、それぞれのスコアを順当に伸ばしており、そのぶんが総合スコアにも反映されている。HDD搭載時に比べてGraphicsのスコアがいまひとつ伸びていないのは、テストの設計時期が古く、最新GPUに使われている技術を利用していないためだろう。
一世代新しいPCMark Vantageも、実際のアプリケーションを使ってPCの日常作業をシミュレートするものだが、Windows Vista環境が前提で、ハイビジョンコンテンツを扱う処理を多く含むなど、PCMark05よりヘビーなものとなっている。そのため、結果はGamingで82%、HDDでは575%と強烈にスコアが上がっており、総合スコアも70%増とかなり効果がてきめんに現れている。各テストともストレージへの負担が大きく、SSDの効果が反映されていると思われるが、さまざまな分野で快適さが飛躍的に増しているのは間違いない。
今回は、HP Pavilion Desktop PC e9190jp/CTのポテンシャルを探るために、あえてメーカーではサポートしていないパーツ換装によるアップグレードを試した。冒頭で触れた通り、本機はもともとが非常に高い性能を備えており、購入後すぐにパフォーマンス面で不満を感じるというユーザーはまずいないと断言できる。ただ、それでも使っているうちに知識がついてきたり、よりぜいたくになって、さらなる高性能が欲しくなるということもないとはいえないだろう。そういう場合でもPC全体を買い替えることなく、部分的なアップグレードで対応できるというのはタワー型デスクトップPCならではのメリットといえる。
もちろん、これほど簡単にワンランク上のパーツが使えるのは、単にタワー型だからという理由だけではない。しっかりとした放熱構造やメンテナンスのしやすさ、高品質な電源ユニットの搭載といった要素を備えた、世界No.1PCベンダーのHPが提供しているPCだからこそといえる。それがリーズナブルな価格で手に入れられるのだから、いい時代になったものだ。
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2009年10月16日