これが“5万円GPU”の性能かっ!──「Radeon HD 5870」の驚異的性能に驚くイマドキのイタモノ(1/2 ページ)

» 2009年09月23日 13時01分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]

キーワードは「40ナノ」と「DirectX 11」だが、「従来比2倍」のスペックにも驚く

40ナノメートルプロセルルールを採用した最上位モデルの「Radeon HD 5870」リファレンスカード

 AMDから「Radeon HD 5870」と「Radeon HD 5850」が発表された。どちらもDirectX 11に対応した初のGPUになる。DirectX 11も気になるところだが、パフォーマンスや先日明らかにされたATI Eyefinityなど、Radeon HD 5870の正式発表前から気になっていたユーザーも多いはずだ。

 Radeon HD 5800シリーズは、ハイエンドラインアップでは初めて40ナノメートルプロセスルールを採用した(Radeon HDシリーズとしては2009年4月に登場したRadeon HD 4770が最初のモデルになる。Radeon HD 4770の詳細は40ナノ世代に突入した「Radeon HD 4770」の“正体”を知るを参照のこと)。プロセスルールの微細化によってトランジスタ数は21億5000万個と、9億5600万個だったRadeon HD 4870と比べて実に2.25倍も詰め込まれた計算になる。それでいて、ダイサイズはわずかに大きくなっただけで、Radeon HD 4870の300平方ミリを上回る334平方ミリとなった。

GPU Radeon HD 5870 Radeon HD 5850 Radeon HD 4890 Radeon HD 4870 Radeon HD 4850
製造プロセス 40ナノメートル 40ナノメートル 55ナノメートル 55ナノメートル 55ナノメートル
トランジスタ数 21億5000万個 21億5000万個 9億5600万個 9億5600万個 9億5600万個
統合型シェーダユニット 1600 1440 800 800 800
GPUクロック 850MHz 725MHz 850MHz 750MHz 625MHz
メモリ GDDR5 GDDR5 GDDR5 GDDR5 GDDR3
メモリ接続バス幅 256ビット 256ビット 256ビット 256ビット 256ビット
メモリクロック 1200MHz 1000MHz 975MHz 900MHz 1000MHz
メモリ帯域幅 153.6GB/sec 128.0GB/sec 124.8GB/sec 115GB/sec 64GB/sec
ROPs 32 32 16 16 16
テクスチャユニット 80 72 40 40 40
最大消費電力 188W 170W 190W 160W 110W
アイドル時消費電力 27W 27W 60W 90W 30W

 統合型シェーダユニットの数はRadeon HD 4870の2倍になる1600基を実装する。これに合わせて、ROPsもテクスチャユニットもそれぞれ2倍の32基、80基を搭載している。GPUコアクロックはRadeon HD 4890と同じ850MHz、グラフィックスメモリクロックはこれまでのRadeon HD シリーズの中で最高となる1200MHz(GDDR5)となっている。

Catalyst Control Centerで表示させたRadeon HD 5870のスペック。動作クロックは定格のコア850MHz、メモリ1200MHz。グラフィックスメモリ容量は1Gバイトを示している

 Radeon HD 5870の最大消費電力は188ワットと、Radeon HD 4890の190ワットより低く、Radeon HD 4870の160ワットより高いレベルに設定されている。しかし、Radeon HD 4870で90ワット、改善されたRadeon HD 4890でも60ワットと、これまでのRadeon HD 4800シリーズでウィークポイントとされてきたアイドル時の消費電力が、Radeon HD 5870でわずか27ワットになったのは高く評価できるだろう。

Radeon HD 5870の冷却機構はフラットな形状を採用する。後部にエアインテークのようなデザインが施されている(写真=左)。補助電源コネクタはカード上部に設けられた。これまで、Radeon HDのシングルGPU搭載カードではカード後部についていたが、冷却機構の変更にともなって移動したとみられる(写真=中央)。冷却機構の内部は極太のヒートパイプ4本とシロッコファン、ヒートシンクで構成される(写真=右)

リファレンスカードは裏面にもヒートシンクを装着する(写真=左)。グラフィックスメモリは表面のみに8チップを実装するため、裏面にはない(写真=右)

リファレンススカードのレイアウトは従来とあまり変わっていない。グラフィックスメモリはSamsungの「K4G10325FE-HC04」を載せていた。5Gbps対応の製品で1チップあたり1Gビット。電源部のCPL2-4は4フェーズのパワーインダクタだ

DisplayPortを6基搭載した“限定”モデルも登場する?

 もうひとつ、Radeon HD 5800シリーズで導入された機能で注目したいのが、先行して2009年9月11日に公開された「ATI Eyefinity」だ(詳細はEverGreenで7680×3200ドットの未知なる視界がっ!──日本AMD、ATI Eyefinityライブデモを公開を参照のこと)。これは、1枚のグラフィックスカードから同時に3面までのディスプレイ出力を可能にする機能だ。Radeon HD 5870のリファレンスカードでは、DVI-I×2に加え、DisplayPortとHDMIもそれぞれ1基搭載し、このうち3基にディスプレイを接続して同時出力を可能としている。なお、AMDでは、6基のDisplayPortを備えた特別モデルも用意しており、Radeon HD 5870では、余裕のあるGPUパワーを生かして6面同時出力が可能であると説明している。

AMDでは1枚のグラフィックスカードで6画面同時表示が可能な特別モデルも用意する予定だ。6画面出力で視野を覆うほどの大迫力でゲームが楽しめる。リファレンスカードのブラケットにはDVI×2、DisplayPort、HDMIが搭載されており、最大で同時3面出力が可能となる

 Radeon HD 5870で導入されたソフトウェア機能で最も重要なのはDirectX 11への対応だ。DirectX 11で追加される機能としては、Tessellation、Shader Model 5.0、DirectCompute 11、HDR Texture Compression、そして、最適化が進んだというMulti Threadingがある。Radeon HD 5800では、これらの機能に対してハードウェアレベルで対応することが表明されている。“ハードウェアレベルでの対応”とわざわざ述べている理由は、DirectX 11で用意される機能は、DirectX 10.1対応GPUやDirectX 10対応GPUでもソフトウェアレベルで実行できるためだ。AMDでは、ハードウェアレベルでサポートされることで、ソフトウェアでサポートする場合よりパフォーマンスが向上する説明している。

AMDの資料で示された、DirectX 10からDirectX 11で追加される機能のリスト

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