Lynnfieldを搭載した「G-Tune」──「NEXTGEAR L600XV2」のパフォーマンスを実感する(1/2 ページ)

» 2009年10月01日 15時30分 公開
[寺崎基生,ITmedia]

LynnfieldコアのCore i7-860を搭載したG-Tune

重厚な波打つフロントパネルは印象的なミドルタワーケースを採用する「NEXTGEAR L600XV2」

 今回登場した「NEXTGEAR L600XV2」の注目点は、登場したばかりの「Core i7-860」と「Intel P55 Express」を搭載していることだ。Core i7-860は、従来のCore i7シリーズ同様、Naharemアーキテクチャを採用する。「Lynnfield」という開発コード名で呼ばれていたラインアップの1つであるCore i7-860は、それ以前に出荷されていたNehalem世代の「Bloomfield」(開発コード名)の下に位置する、メインストリーム向けモデルとして投入された。

 同じNehalem世代ながら、BloomfieldとLynnfieldとは内部構造が大きく違っている。Lynnfieldは、DDR3メモリのデュアルチャネルに対応し、Bloomfieldのトリプルチャネルより1ランク下の性能になる。Lynnfieldは、Bloomfieldと同様にメモリコントローラがCPUに統合されているほか、BloomfieldではチップセットにあったPCI ExpressインタフェースもCPUに移設している。

 また、BloomfieldではCPUとチップセットの接続にQPIを用いていたが、LynnfieldではDMIが採用された。対応するCPUソケットもLynnfieldはLGA1156で、BloomfieldのLGA1366よりピンの数が少なくなった。

NEXTGEAR L600XV2の評価機が搭載していたCore i7-860。上位モデルのCore i7-870より価格が半分程度なのに動作クロックはわずかしか違わないという、コストパフォーマンスに優れたCPUだ

 NEXTGEAR L600XV2が搭載しているCore i7-860は、2009年9月にデビューしたLynnfield世代CPUの中で中間に位置するモデルだ。下位モデルのCore i5-750は、動作クロックが2.66GHzとCore i7-860の2.80GHzより低く、ハイパースレッディング・テクノロジー(以下、HT)に対応していないという点が異なる。Core i7-860は物理コアが4つある上にHTに対応しているため、8スレッドの同時処理が可能だ。上位モデルのCore i7-870とは動作クロックが異なるのみだ(Core i7-870が2.93GHz、Core i7-860が2.80GHz)。

 Core i7シリーズの大きな特徴である「Intel Turbo Boost Technology」も忘れてはいけない。CPUの負荷や温度、スレッド数などに応じて、CPUの動作クロックを自動的に調節する機能で、定格よりも高いクロックで動作する。Core i7-860では、定格が2.80GHzのところ、最高2.93GHzに達する。

マザーボードにIntel P55 Expressチップセット搭載のMSI「P55 SD60」を採用

 Core i7-860を搭載するためには、Lynnfield対応のチップセットを採用するマザーボードが必要になる。NEXTGEAR L600XV2には、MSIの「P55-SD60」が組み込まれていた。一般に市販されるモデルではなく、MSIのWebページには記載されていないが、スペックを見る限りではP55-GD65に近い。

 DDR3用のメモリスロットは4基あるが、評価機では、そのうち2基をPC3-10600 2Gバイトが使用している(システム全体のメモリ容量は4Gバイト)。拡張スロットはPCI Express x16が2基、PCI Express x4が1基、PCI Express x1が2基、そして、PCIが2基という構成だ。2基あるPCI Express x16スロットで、SLI、およびCross FireXが構築できるが、LynnfieldとIntel P55 Expressの制約で、2枚のグラフィックスカードを組み込む場合は、PCI Expressレーンの構成は8レーン+8レーンになる。

 なお、今回評価に用いたNEXTGEAR L600XV2には、GeForce GTX 275搭載グラフィックスカードを1枚搭載するが、2スロット厚のクーラーユニットを載せているため、PCI Express x16スロットに隣接するPCI Express x1スロットは使用できない。P55-SD60にオンボードで実装するデバイスには、Realtekのギガビットイーサネットコントローラとサウンドチップ程度で、IEEE 1394やSerial ATA専用コントローラは搭載されない。

NEXTGEAR L600XV2に組み込まれていたマザーボードはMSIのOEM向けモデル「P55 SD60」だ。PCI Express x16スロットを2基備えてマルチGPUの構築に対応する(写真=左)。評価機にはGeForce GTX 275搭載グラフィックスカードが1枚組み込まれていた(写真=右)

G-Tuneなら、重厚なPCケースと周辺機器に注目

 NEXTGEAR L600XV2は、フロントドアを備えたサーマルテイクのスチール製ミドルタワーPCケースを使っている。拡張カードやデータストレージの増設に十分対応できる余裕があるサイズで、5インチのオープンベイは4基、3.5インチのシャドウベイは5基用意されている(評価機の構成では、5インチベイが3基、3.5インチベイが4基空いていた)。なお、3.5インチシャドウベイの前面には、12センチのケースファンが設置されているため、3.5インチシャドウベイのすべてにHDDを搭載しても、熱対策は問題ない。

 電源投入でケースのフロントドアを開ける必要があるが、ケース前面に用意されたUSBやヘッドフォン端子などは、ドアを閉めたままで使用できる。大きく曲線を描くフロントドアは存在感があるものの、それだけに、ドアの開閉にある程度の空間が必要になる。PCを置くスペースに苦労しているユーザーは、PCの前にあまり物を置かないように気を使う必要があるだろう。

 ケース内部から熱を排出するのは、主にリアパネルに搭載された12センチ径ファンが担当する。フロントパネルに配置された吸気用の12センチ径ファンとの組み合わせで、NEXTGEAR L600XV2の冷却効率は高い。さらに、低速回転のファンを使っているので、風切り音がほとんど気にならない。CPUクーラーユニットは、Core i7-860のリテールが装着されている。こちらも、あまり回転数は上がらないようで、動作音は気にならないレベルだ。

波打つフロントパネルが、重厚な印象をユーザーに与える。電源を入れるときにドアを開けなければならないので、PCの前には物を置かないようにしたい。USB 2.0などのインタフェースはドアを開けなくても利用できる(写真=左)。背面で目立つのが12センチという大口径のリアファンだ。この排気ファンと、前面に設けられた同じサイズの吸気ファンで、ボディ内部を効率よく冷却する(写真=右)

サーマルテイクのミドルタワーケース内部には、4基の5インチドライブベイと5基の3.5インチドライブベイが用意されている。フロントとリアには12センチ径の大口径ファンが設置されて静かな低速回転で内部の冷却を行うほか、サイドパネルにはCPUと拡張カードの場所にスリットを設けて外気を取り入れるようにしている

 逆に気になるのが、グラフィックスカードの動作音だ。2D描画で使用しているレベルではまったく気にならないが、3D性能を測定するベンチマークテストを実行して重い負荷をかけると、ファンが高速で回り始め、風切り音が気になってしまう。

 NEXTGEAR L600XV2に付属する周辺機器として、キーボードとマウスが用意される。といっても、ホワイトボックス系デスクトップPCでよくある、“低価格だけがとりえです”という代物ではない。キーボードは、ダイヤル式のボリュームコントロールが目を引く、ロジクールの「Access Keyboard 600」、マウスは、マイクロソフトがゲーマー向けに開発し、キーボードマクロをボタンに割り当てられるなどのゲーマー向け機能が注目されている「SideWinder X3 Mouse」と、ゲームユーザーを意識したモデルがピックアップされている。どちらも、付属品としてはかなり豪華な装備といえる(掲載当初、評価機に付属していた別なマウスを紹介しましたが、2009年10月時点で、標準で付属するマウスは「SideWinder X3 Mouse」に変更されています)。

標準で付属するロジクールの「Access Keyboard 600」とマイクロソフトの「SideWinder X3 Mouse」。ゲームユーザーが喜ぶモデルをチョイスするあたり、マウスコンピューターはえらいっ

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