今回登場した「NEXTGEAR L600XV2」の注目点は、登場したばかりの「Core i7-860」と「Intel P55 Express」を搭載していることだ。Core i7-860は、従来のCore i7シリーズ同様、Naharemアーキテクチャを採用する。「Lynnfield」という開発コード名で呼ばれていたラインアップの1つであるCore i7-860は、それ以前に出荷されていたNehalem世代の「Bloomfield」(開発コード名)の下に位置する、メインストリーム向けモデルとして投入された。
同じNehalem世代ながら、BloomfieldとLynnfieldとは内部構造が大きく違っている。Lynnfieldは、DDR3メモリのデュアルチャネルに対応し、Bloomfieldのトリプルチャネルより1ランク下の性能になる。Lynnfieldは、Bloomfieldと同様にメモリコントローラがCPUに統合されているほか、BloomfieldではチップセットにあったPCI ExpressインタフェースもCPUに移設している。
また、BloomfieldではCPUとチップセットの接続にQPIを用いていたが、LynnfieldではDMIが採用された。対応するCPUソケットもLynnfieldはLGA1156で、BloomfieldのLGA1366よりピンの数が少なくなった。
NEXTGEAR L600XV2が搭載しているCore i7-860は、2009年9月にデビューしたLynnfield世代CPUの中で中間に位置するモデルだ。下位モデルのCore i5-750は、動作クロックが2.66GHzとCore i7-860の2.80GHzより低く、ハイパースレッディング・テクノロジー(以下、HT)に対応していないという点が異なる。Core i7-860は物理コアが4つある上にHTに対応しているため、8スレッドの同時処理が可能だ。上位モデルのCore i7-870とは動作クロックが異なるのみだ(Core i7-870が2.93GHz、Core i7-860が2.80GHz)。
Core i7シリーズの大きな特徴である「Intel Turbo Boost Technology」も忘れてはいけない。CPUの負荷や温度、スレッド数などに応じて、CPUの動作クロックを自動的に調節する機能で、定格よりも高いクロックで動作する。Core i7-860では、定格が2.80GHzのところ、最高2.93GHzに達する。
Core i7-860を搭載するためには、Lynnfield対応のチップセットを採用するマザーボードが必要になる。NEXTGEAR L600XV2には、MSIの「P55-SD60」が組み込まれていた。一般に市販されるモデルではなく、MSIのWebページには記載されていないが、スペックを見る限りではP55-GD65に近い。
DDR3用のメモリスロットは4基あるが、評価機では、そのうち2基をPC3-10600 2Gバイトが使用している(システム全体のメモリ容量は4Gバイト)。拡張スロットはPCI Express x16が2基、PCI Express x4が1基、PCI Express x1が2基、そして、PCIが2基という構成だ。2基あるPCI Express x16スロットで、SLI、およびCross FireXが構築できるが、LynnfieldとIntel P55 Expressの制約で、2枚のグラフィックスカードを組み込む場合は、PCI Expressレーンの構成は8レーン+8レーンになる。
なお、今回評価に用いたNEXTGEAR L600XV2には、GeForce GTX 275搭載グラフィックスカードを1枚搭載するが、2スロット厚のクーラーユニットを載せているため、PCI Express x16スロットに隣接するPCI Express x1スロットは使用できない。P55-SD60にオンボードで実装するデバイスには、Realtekのギガビットイーサネットコントローラとサウンドチップ程度で、IEEE 1394やSerial ATA専用コントローラは搭載されない。
NEXTGEAR L600XV2は、フロントドアを備えたサーマルテイクのスチール製ミドルタワーPCケースを使っている。拡張カードやデータストレージの増設に十分対応できる余裕があるサイズで、5インチのオープンベイは4基、3.5インチのシャドウベイは5基用意されている(評価機の構成では、5インチベイが3基、3.5インチベイが4基空いていた)。なお、3.5インチシャドウベイの前面には、12センチのケースファンが設置されているため、3.5インチシャドウベイのすべてにHDDを搭載しても、熱対策は問題ない。
電源投入でケースのフロントドアを開ける必要があるが、ケース前面に用意されたUSBやヘッドフォン端子などは、ドアを閉めたままで使用できる。大きく曲線を描くフロントドアは存在感があるものの、それだけに、ドアの開閉にある程度の空間が必要になる。PCを置くスペースに苦労しているユーザーは、PCの前にあまり物を置かないように気を使う必要があるだろう。
ケース内部から熱を排出するのは、主にリアパネルに搭載された12センチ径ファンが担当する。フロントパネルに配置された吸気用の12センチ径ファンとの組み合わせで、NEXTGEAR L600XV2の冷却効率は高い。さらに、低速回転のファンを使っているので、風切り音がほとんど気にならない。CPUクーラーユニットは、Core i7-860のリテールが装着されている。こちらも、あまり回転数は上がらないようで、動作音は気にならないレベルだ。
逆に気になるのが、グラフィックスカードの動作音だ。2D描画で使用しているレベルではまったく気にならないが、3D性能を測定するベンチマークテストを実行して重い負荷をかけると、ファンが高速で回り始め、風切り音が気になってしまう。
NEXTGEAR L600XV2に付属する周辺機器として、キーボードとマウスが用意される。といっても、ホワイトボックス系デスクトップPCでよくある、“低価格だけがとりえです”という代物ではない。キーボードは、ダイヤル式のボリュームコントロールが目を引く、ロジクールの「Access Keyboard 600」、マウスは、マイクロソフトがゲーマー向けに開発し、キーボードマクロをボタンに割り当てられるなどのゲーマー向け機能が注目されている「SideWinder X3 Mouse」と、ゲームユーザーを意識したモデルがピックアップされている。どちらも、付属品としてはかなり豪華な装備といえる(掲載当初、評価機に付属していた別なマウスを紹介しましたが、2009年10月時点で、標準で付属するマウスは「SideWinder X3 Mouse」に変更されています)。
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