新たに投入されたキヤノンのA4カラーレーザー複合機「Satera MF」シリーズは、高い基本性能と省エネ性能に磨きをかけながら、新たに小型でスタイリッシュなボディを獲得したのが特徴だ。最上位の「Satera MF8350Cdn」を中心に、新モデルの魅力に迫った。
改めて指摘することでもないが、ビジネスにおける小型のレーザー複合機を導入するメリットはプリント、コピー、カラースキャン、ファクスといった複数の機能を1つにまとめられるところにある。SOHOや個人事業主の環境では、PCをはじめとして複数の周辺機器を設置するスペースの確保が難しいことも多く、そういった問題を一気に解決するのに複合機はうってつけの製品といえる。小型の複合機を導入すれば、各機器を個別に設置するスペースが不要になるだけでなく、それらの保守部品や消耗品の保存スペースも減るため、オフィスの環境もスッキリまとまる。SOHO環境に複合機を導入することは、今や必須といっても過言ではないのだ。
このジャンルに、従来から精力的に取り組んでいるキヤノン。小型レーザー複合機の「Satera MF」シリーズはその代名詞といえる存在だ。2009年8月には、新しくカラーレーザー複合機4モデルを投入した。同シリーズは、プリント、コピー、カラースキャン、ファクスの4つのファンクションに対応したコンパクトな4in1モデルを数多くラインアップしているが、いままでカラーモデルは「Satera MF8450」しかなかった。今回、Satera MF8350Cdn/MF8050Cn(ファクス機能あり)とSatera MF8330Cdn/MF8030Cn(ファクス機能なし)が加わることでカラーモデルの選択肢が一気に広がった。
これらの新モデルは、スタイリッシュなデザインを大胆に導入したほか、従来からあるモノクロモデルから引き継いだ快適な操作性に磨きをかけ、さらにエコも配慮した製品に仕上がっている。A4モノクロモデルはSOHO/小規模オフィスでビジネス機能の集約と作業効率のアップに一役買ってくれる製品だったが、これにカラー印刷機能が加わることで、その魅力はより一層増したといえるだろう。導入時の障壁となりやすい価格についても、4モデルとも手ごろな価格を実現しているのも好印象だ。
製品名 | MF8350Cdn | MF8050Cn | MF8330Cdn | MF8030Cn |
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出力速度(カラー/モノクロ、A4等倍時) | 毎分20枚/毎分20枚 | 毎分8枚/毎分12枚 | 毎分20枚/毎分20枚 | 毎分8枚/毎分12枚 |
最大印刷解像度(実解像度) | 最大9600dpi相当×600dpi(600dpi×600dpi) | |||
スキャン光学解像度(原稿台/ADF) | 600dpi×600dpi/300dpi×300dpi | |||
プリント | ○ | |||
コピー | ○ | |||
カラースキャン | ○ | |||
ファクス | ○ | − | ||
USB | ○ | |||
ADF(片面) | ○ | |||
有線LAN | ○ | |||
ネットワークプリンタ共有 | ○ | |||
ネットワークスキャン | ○ | |||
両面出力速度(カラー/モノクロ、A4等倍時) | 毎分5枚/毎分5枚 | − | 毎分5枚/毎分5枚 | − |
ADF原稿セット枚数 | 50枚 | |||
給紙容量(給紙カセット/手差し) | 250枚/50枚 | 150枚/1枚 | 250枚/50枚 | 150枚/1枚 |
250枚給紙カセット(オプション) | ○ | − | ○ | − |
新モデルの基本構造は、最下部の給紙カセットの上にプリンタ部、その上にスキャナと操作パネル部を載せている点に変わりはないが、全体のデザインが一新された。スクエアを基調としながら、角に丸みを持たせることで、これまでよりもスタイリッシュでありながら、親しみやすいボディになった。カラーリングも明るいホワイトを大胆に取り入れ、ブラックをワンポイントに使うことでオフィス機器には珍しい洗練されたイメージにまとまっている。排紙口にブラックカラーを用いることで、排紙された時の視認性がよいのも見逃せない。これなら、店舗内や事務所などで人の目につく場所に置いても違和感なくフィットするだろう。これまでのSOHO向け製品とは一線を画した、人に見せたくなるデザインといってもよいかもしれない。
一般的に、カラーレーザー複合機はトナー1本で済むモノクロ機に比べ、シアン/マゼンタ/イエロー/ブラックのトナーが必要なため内部機構が複雑になり、モノクロ機と比較するとどうしても本体が大きくなってしまいがちだ。それでも、Satera MF8350Cdn/MF8330Cdnはボディサイズが430(幅)×484(奥行き)×479(高さ)ミリと、同クラスの小型カラー複合機と比較してコンパクトに仕上がっている。
もちろん、ただ小型なだけでなく、モノクロ機と同様の優れたメンテナンス性を継承する。トナーへのアクセスは、本体前面上部の手差しトレイと一体化しているメンテナンスパネルを手前に開くだけで済む。両側面に開口部がないためトナーカートリッジの交換や給紙といった各種メンテナンス作業は、前面だけで完結できる。また、本機は4D(タンデム)方式なのでトナーは一直線に並んでおり、手前からブラック、シアン、マゼンタ、イエローの順にワンタッチで着脱可能だ。トナーはモノクロモデルと同じく、トナーと感光ドラムまでが一体になったカートリッジ型なので感光ドラムや廃トナーボックス、ベルトユニットなどの交換が不要な点もうれしい。
本体上部の右手前側に設けられた操作パネルは、人間工学に基づき使いやすさを重視してボタンを配置していることに加え、白色LCDバックライトの液晶モニタが5ケタ表示へ大型化されたことで、格段に見やすくなっている。また、漢字表示や流れ文字表示、アニメーションにまで対応している。大型化によって、モニタ上に表示される情報量が圧倒的に多くなったのも見逃せない。文字が見やすいだけでなく、状況の確認や設定変更の操作が簡単に行え、表示される情報量が多くなると、ここまで操作の簡便性を高めてくれるのかと感心してしまうほど。初めて本機に触れる人でも操作で迷う部分は少ないはずだ。細かいところでは、前述のように排紙部分の色がブラックになっていることで用紙の排出の有無が確認しやすくなっていたり、主電源スイッチが操作パネルに近い場所に移動していたりと、使いやすさへのこだわりは徹底している。
本シリーズの特徴の1つに、他社製品と比べて圧倒的な省エネ性能が挙げられる。カラーモデルもモノクロモデルと共通で、用紙が通過する間だけ定着器を瞬時に加熱する同社の誇るオンデマンド定着技術の採用により、ファーストプリントやスリープからの復帰が高速なのだ。電源投入からわずか23秒で印刷が可能になり、カラー原稿のファーストコピー時間はスキャン時間まで含めわずか17秒程度で済む。このオンデマンド定着技術は省エネにも有効で、スリープ時の消費電力はモノクロ機と同じ3ワット以下という、低消費電力の仕様となっている。
こうした省エネ性能を示す新たな基準である「TEC値」はSatera MF8350Cdn/MF8330Cdnで「0.93kWh」、下位のSatera MF8050Cn/MF8030Cnで「0.59kWh」と競合モデルより格段に低い。全国平均の電気使用量を1kWhが22円としてTEC値を具体的な金額に換算すると、Satera MF8350Cdnを1年間利用しても電気代はわずか1064円(基本料金などは含まず)と、群を抜いている。環境負荷の低減に開発段階から取り組んでいるSateraシリーズだけに、購入の前段階から実際の利用、そして廃棄までトータルにサポートしてくれるのも心強い。
次のページでは、新モデルのパフォーマンスやユーティリティ関連を見ていこう。
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