“こういうものが作りたい”ソニーのDNAで誕生した──「VAIO X」製品発表会(1/2 ページ)

» 2009年10月08日 16時00分 公開
[長浜和也,ITmedia]

Windows 7とともに市場を活性化するVAIO X

 説明会に登場した、ソニーマーケティング執行役員ITビジネス担当の松原昭博氏は、「出荷台数は伸びていても売り上げ金額の減少は続いている。エコポイントの導入も家電にはプラスになったが、PCには逆風だった」と、PC市場が依然として厳しい状況にあることを示した。

 VAIOシリーズは、新しい分野として、モバイル領域にフォーカスをあてて取り組んでいるが、その取り組みの中で投入されたのが、「従来のNetbookとは一線を画する、手放せないPC」と松原氏が述べるVAIO type Pと、デザインを重視するとともにWebなどの使い勝手を向上させたことでユーザーから好評のVAIO Wだ。そして、さらなる業界活性化のチャンスとして、今月にも登場する予定のWindows 7とともに、VAIO Xシリーズを投入したと松原氏は述べている。

台数は伸びるが金額は下がる厳しいPC市場(写真=左)。モビリティに注力するVAIOはVAIO type PとVAIO Wをすでに投入している(写真=中央)。ソニーは、Windows 7の登場とともに業界活性化のためにVAIO Xを投入する(写真=右)

使い勝手を犠牲にしないバランスの取れた携帯性能

 松原氏は、VAIO Xの特徴として、約13.9ミリの薄いボディと、約655グラムという軽さ、そして大容量のXバッテリーを搭載したときに実現する約20.5時間の長時間駆動をピックアップしたが、そのほかにも、アナログRGB出力や有線LANというビジネスに必要不可欠なインタフェースを本体に搭載するなど、使い勝手を犠牲にすることなく優れた携帯性能を実現したバランスのよさを強調している。

 これは、すでにモバイル利用を重視したラインアップとして登場しているVAIO type PやVAIO Wのデザインが、コンシューマー利用を想定した小型化であったのに対して、VAIO Xが、ビジネス利用にも対応できるモバイルノートPCとして企画されたためと松原氏は説明する。

「VAIO type Pは小型化を実現するため8型ワイドの液晶ディスプレイを搭載した。そのおかげで、優れた携帯性能を実現したが、ビジネス利用では液晶ディスプレイが小さいと感じるユーザーも少なくなかった。VAIO Xは11.1型ワイドの液晶ディスプレイと搭載するなど、ビジネスでも使えるノートPCにすることで、新規需要を喚起したい」(松原氏)

 松原氏は、この秋冬モデルでVAIO CやVAIO Lに導入された「Media Gallery」についても説明した。VAIO CやVAIO Lに用意された専用の「VAIO」ボタンを押すことで起動するこのソフトウェアは、起動後に表示されるホーム画面に、ユーザーの嗜好、日付けに関連する記念日や過去のイベントといったパーソナルデータに合わせた画像や動画、インターネットでアクセスできる関連コンテンツのサムネイルが、カードのように示される。

 このようなホーム画面を持つMedia Galleryのコンセプトについて、松原氏は「PCに保存する画像や動画のデータが多くなると後から見なくなるコンテンツも多くなる。そういう状況で、ローカルのデータやインターネット上から適切なコンテンツを探してユーザーに示してくれる。そういうことができるMedia Gallerytは“気が利く”ソフトといえる」と説明した。

コンシューマー利用に特化したVAIO type Pと異なり、VAIO Xは、11.1型ワイドディスプレイを搭載してビジネス利用も意識した(写真=左)。Media Galleryはユーザーが保存した大量のデータを自動で分析し、嗜好や日付け、指定された雰囲気に合わせて、お勧めの画像や動画、音楽を教えてくれる(写真=右)

“両端”で進化するVAIOのラインアップ

 ソニーVAIO事業本部 副本部長の赤羽良介氏は、同社のPCラインアップにおけるVAIO Xの位置付けについて、「VAIOの製品展開は、VAIOのイメージを打ち出すプレミアムなラインアップと、普及価格帯で競合との競争力を打ち出すラインアップという両端で拡大していく。VAIO Xは、VAIOらしさをもった、VAIOの“ものづくり”をユーザーに感じてもらえるプレミアムなモデルだ」と説明する。

 赤羽氏は、VAIO Xの特徴について、ビジネスにも使える11.1型ワイド液晶ディスプレイと、薄くしても使い勝手は犠牲にしないという、「開発者の信念」(赤羽氏)を挙げている。その、開発者の信念に関連するエピソードとして、VAIO Xがマーケットの要求ではなく、開発者側がモックアップとともに仕様を提案して、「こういうものを作りたいという熱意」で示される“ソニーのDNA”によって誕生したモデルであることを紹介した。

 VAIO Xでは、薄くて軽いのに長時間バッテリー駆動を実現しているが、そのために求められたCPUが、Atom Zシリーズだった。赤羽氏は「Atom Zシリーズでなければこの薄さは実現しない」と語るが、その一方で「Atom Zのフォーマンスに不安をもっているユーザーもいる」とも述べている。その不安を解決するために、VAIO Xは、動作クロック2GHzのAtom Z550をVAIOオーナーメードモデルで採用するとともに、ユーザーの体感性能に大きく影響するOSとデータストレージデバイスに、それぞれWindows 7とSSDを導入することで、仕事にも使える性能を実現したと赤羽氏は説明している。また、無線接続でもWireless WANではNTTドコモのFOMA HIGH-SPEEDへの対応やVAIOオーナーメードモデルで選択できるWiMAXなどが本体に内蔵できることが紹介された。

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