SDメモリーカードの上位規格は、下位互換性がある。exFATのSDXCカードはSDXCに準拠したホスト(機器側のSDXC対応スロット)でないと使用できないが、SDXC準拠のホスト機器であればFAT32のSDHCカードやFAT12/16のSDカードも使用できる。SDメモリーカードの種類を規格名称やロゴ表示で明確に分けているのは、この相互接続性をユーザーに明確に示し、かつ困惑させないためだという。
このほか、SDHCカード登場時よりメモリカードの最低転送速度を示す規格/マークである「スピードクラス」の表示もよく見かける。製品に「Class 6」などと記載されているのがそれだ。2009年10月現在、スピードクラス2、4、6、10の4種類が規定されており、例えばClass 6は「最低でも6Mバイト/秒以上の転送速度を持つ製品」であることを示す。ハイビジョン映像の記録・読み出しや放送の録画など、一定以上の転送速度を必要とする場合における製品選択時の指針にするための施策だ。なお、メモリカードベンダーがうたう「最大転送速度」については、SDアソシエーションでは規格化されておらず、ベンダーが任意に速度を表示できるようになっている。
今後、SDアソシエーションは、SDバススピードをより高速化(最大300Mバイト/秒)するSDメモリーカード規格Ver.4.00の策定に取り組む。HD映像の録画・再生のためより堅牢な著作権保護機能や、より安全に使用するためのデータ暗号機能を追加する規格、同時にSDIOバスを高速化する規格の策定も早期に行う。「今回のCEATECでは、東芝やソニーブースでTransferJetの展示デモも行われているが、この高速通信技術を実際に活用するには“記録する側の高速化”も必要。こういった意味でもSDXCは、今後必須になるメモリカードになると自信がある」(坂本氏)
このサイズに2Tバイトも……と期待が高まるSDXCだが、「現時点、ここ数年で256Gバイト化までのめどが立っている。ただ、これ以上の容量は、フラッシュメモリそのものの製造における技術革新が必要」(坂本氏)とし、残念ながら2Tバイトの到達は2009年10月現在のNAND型フラッシュメモリの製造技術がそこまで至っていないため、まだ相当先のようだ。
とはいえ、SDXC 64Gバイトモデル以降のロードマップは「2006年の4Gバイトから始まったSDHCが約2年で32Gバイトまでに達したように、1年ごとに64Gバイト、256Gバイトと拡張していければと期待している」(SDアソシエーション説明員)と、2011年ごろには256Gバイトに達するという予測を示す。また、東芝製の64GバイトSDXCは2010年春の発売を予定するが、SDXC対応ホスト機器も似たタイミングで登場すると思われ、PC関連機器については「本体内蔵より、まずはUSB接続型のメモリカードリーダーから普及が進むのでは」(坂本氏)と想定している。
というわけで今後、ハイビジョンデジタルカメラや高機能デジタルカメラ、PCなどの購入・買い替えにおける比較ポイントに、「SDXC対応か否か」を追加する日もそう遠くはないと言えそうだ。早期および多数のSDXC製品登場に期待したい。
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