携帯性重視のモバイルノートPCらしく、通信機能は充実している。標準仕様モデルは1000BASE-Tの有線LAN、IEEE802.11b/g/nの無線LAN(11nはドラフト準拠、最大受信/最大送信速度150Mbps)、FOMA HIGH-SPEED対応のワイヤレスWAN、Bluetooth 2.1+EDRを装備。VAIOオーナーメードモデルでは、Bluetoothの有無や、ワイヤレスWANとの排他でモバイルWiMAX+IEEE802.11a/b/g/nの無線LAN(11nはドラフト準拠、最大受信速度300Mbps/最大送信速度150Mbps)も選べる。
ボディは薄く、ボトム側の厚さは約9.6ミリしかないが、インタフェース類も健闘している。前面にSDメモリーカード(SDHC対応)スロットとメモリースティックデュオ(PRO-HG対応)スロット、左側面に2基のUSB 2.0とヘッドフォン出力、右側面にアナログRGB出力と有線LANを配置。液晶ディスプレイの上部に有効画素数31万画素のWebカメラ、キーボードの上部にモノラルマイク、底面にはモノラルスピーカーも内蔵する。
ちなみに、アナログRGB出力と有線LANは既存の端子をそのまま入れると、ボディの厚さからはみ出してしまうため、アナログRGB出力は上下の余白がない端子を、有線LANは開閉式の端子を新たに作った。そのため、有線LANやアナログRGB出力にケーブルを接続する場合、ケーブル側の端子がVAIO Xの底面側にはみ出してしまい、底面のツメを立てる必要がある(Xバッテリー装着時はそのまま使える)。
通常はケースに入らなければ、小型の端子を内蔵して変換アダプタを付属するところだが、外出時に変換アダプタを忘れてきてしまったり、アダプタも持ち歩くことで携帯性が損なわれることが許せなかったという。505エクストリームではこれらの端子がアダプタ経由での接続となっており、不満点の1つとして挙げられていたので、この点はクリアしたかったのだろう。細かなところだが、開発陣の熱意を感じる部分だ。
11.1型ワイド液晶ディスプレイはアスペクト比16:9のパネルで、画面解像度は1366×768ドットだ。この点は「VAIO T」と同じで、画面サイズと解像度のバランスがよく、適度に精細感がある表示となっている。ソニーが今期から「VAIOディスプレイプレミアム」と呼ぶ高グレードの液晶ディスプレイで、RGB各8ビットによる約1677万色表示、NTSC比100%の色域(u'v'色度図上)に対応するなど、モバイルノートPCの表示環境としては実にぜいたくな作りだ。VAIO Tのパネルから薄型軽量化、省電力化も進めた。
広色域で発色がよい16:9のディスプレイ環境は、映像コンテンツの視聴で威力を発揮し、Netbookなどとは一線を画した表示品質が体感できる。ブライトネスは高輝度から低輝度まで9段階に調整幅があり、モバイルノートPC向けのTNパネルにしては上下/左右の視野角が広めで、発色のよさと映り込み低減の両立を図ったハーフグレア処理の画面も見やすい。
ただし、VAIO Xの白色LEDバックライトは、青で光っているLEDに黄色の蛍光体を組み合わせた構造上、青系の色域が広く、赤系の色域がやや狭い(ディスプレイの色域がNTSCの範囲をすべてカバーするわけではなく、色域の面積比がNTSCの100%ということ)。
ひょっとしたらNTSC比100%なので、Adobe RGBモードで撮影した写真などもある程度の再現性が得られるのではないかと期待するユーザーがいるかもしれないが、色域はかなりズレているので、カラーマネジメント的な用途には向かない。もっとも、モバイルノートPCの液晶ディスプレイとしては出色のデキなので、そこまでの表示性能を求めるのは酷というもの。満足度が非常に高い液晶ディスプレイであることは間違いない。
次のページではキーボードとタッチパッドの操作性を調べる。
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