Radeon HD 5700シリーズの“2万円級”な性能を知るイマドキのイタモノ(1/2 ページ)

» 2009年10月13日 13時01分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]

期待の5000シリーズにメインストリームが登場

AMDが示したGPUのロードマップ

 AMDは10月13日に、GPUの新モデル「Radeon HD 5770」「Radeon HD 5750」を発表した。すでにAMDの新世代GPUとなるRadeon HD 5800シリーズを発表しているが、その概要とパフォーマンスは「これが“5万円GPU”の性能かっ!──「Radeon HD 5870」の驚異的性能に驚く」と「待ちきれないっ!Radeon HD 5850のパフォーマンスを楽しむ」で紹介したとおり、ハイエンドラインアップに属するモデルだった。今回登場したRadeon HD 5700シリーズは、その下位となるメインストリームクラスがターゲットだ。

 AMDがRadeon HD 5800シリーズ登場時に明らかにしたロードマップで、Radeon HD 5800は「Cypress」、Radeon HD 5700シリーズは「Juniper」という開発コード名でそれぞれ紹介されていた。ロードマップに記載されている流れによると、Radeon HD 5700シリーズは、Cypressをベースにメインストリーム向けに再構成されたモデルで、Cypressより小さなダイサイズになっている。

 Radeon HD 5700シリーズで上位モデルになるのがRadeon HD 5770で、下位モデルがRadeon HD 5750であるが、Radeon HD 5770は、コア、メモリともにRadeon HD 5870と同等の動作クロックながら、統合型シェーダーユニット、テクスチャユニット、ROPsのそれぞれの実装数、メモリ接続バス幅など、主な仕様は半分に設定されている。また、従来の(55ナノメートルプロセスルール世代の)メインストリーム向けモデル「Radeon HD 4670」と比べると、およそ2倍のスペックアップになる。

 なお、Radeon HD 5770とRadeon HD 5750は、動作クロックが異なるほか、統合型シェーダーユニットの数も80基の違いがある。ただ、グラフィックスメモリではRadeon HD 5750でもGDDR5が採用された。

GPU Radeon HD 5870 Radeon HD 5850 Radeon HD 5770 Radeon HD 5750 Radeon HD 4770 Radeon HD 4670
プロセスルール 40ナノメートル 40ナノメートル 40ナノメートル 40ナノメートル 40ナノメートル 55ナノメートル
構成トランジスタ数 21億5000万個 21億5000万個 10億4000万個 10億4000万個 8億2600万個 5億1400万個
統合型シェーダユニット 1600 1440 800 720 640 320
コアクロック 850MHz 725MHz 850MHz 700MHz 750MHz 750MHz
メモリ GDDR5 GDDR5 GDDR5 GDDR5 GDDR5 GDDR3
メモリ接続バス幅 256ビット 256ビット 128ビット 128ビット 128ビット 128ビット
メモリクロック 1200MHz 1000MHz 1200MHz 1000MHz 800MHz 1000MHz
メモリバス幅 153.6GB/sec 128.0GB/sec 76.8GB/sec 73.6GB/sec 51.2GB/sec 32GB/sec
ROPs 32 32 16 16 16 8
テクスチャユニット 80 72 40 40 32 32
最大消費電力 188W 170W 108W 86W 80W 75W

5800シリーズより短くなったが、従来よりまだ長いカード

 Radeon HD 5770、および、Radeon HD 5750をそれぞれ搭載したリファレンスカードを、すでにレビューしているRadeon HD 5800シリーズと並べてみると、Radeon HD 5770は、同5850より短く、同5750より長い。そして、Radeon HD 5750であっても、Radeon HD 4670より長くなる。サイズが小さいPCケースを利用しているユーザーは留意しておきたい。

 リファレンスカードのクーラーユニットは、Radeon HD 5770がRadeon HD 5800シリーズに近いデザインで、Radeon HD 5750はRadeon HD 4770と同様だ。Radeon HD 5700シリーズはどちらも2スロット厚のクーラーユニットを採用する。また、画像出力のインタフェースはATI Eyefinityにも対応するためか、Radeon HD 5800シリーズ同様にDVI×2、HDMI、DisplayPortと豊富だ。そのため、ブラケットデザインも同じで排気用のスリットが狭くなっている。

Radeon HD 5000シリーズのリファレンスカードを並べてみた。左からRadeon HD 5870、同5850、同5770、同5750。Radeon HD 5750を除けば基本デザインは同じだ(写真=左)。ブラケットのデザインはRadeon HD 5800シリーズと同様だ(写真=右)

 リファレンスカードを裏返してみると、Radeon HD 5700シリーズのGPUダイサイズが、Radeon HD 5800シリーズよりひと回り小さいことがうかがえる。おそらく、面積は半分ほどだろう。また、Radeon HD 5700シリーズは裏面に4枚、表面に4枚のグラフィックスメモリチップを実装しており、表面のみに8枚を実装していたRadoen HD 5800シリーズのレイアウトと異なっている。搭載されていたグラフィックスメモリチップは、Radeon HD 5770、Radeon HD 5750のどちらも、5Gbpsの性能を持つHynixの「H5GQ1H24AFR-T2C」(容量1Gビット)だ。

リファレンスカードの裏面を見る。こちらも左からRadeon HD 5870、同5850、同5770、同5750と並ぶ(写真=左)。Radeon HD 5850とRadeon HD 5770を並べる。リテンションのサイズからGPUのダイサイズが違うことがうかがえる(写真=右)

Radeon HD 5750を斜めから見る。表面に4枚のグラフィックスメモリチップが実装されている(写真=左)。搭載するグラフィックスメモリはRadeon HD 5770もRadeon HD 5750も、5GbpsのHynix「H5GQ1H24AFR-T2C」だ。1Gビットチップで8枚実装され、カード全体で1Gバイトになる(写真=右)

 PCI Express補助電源コネクタは、Radeon HD 5770もRadeon HD 5750も、6ピンコネクタを1基搭載している。場所はともにカード後部で、Radeon HD 5770では“エアインテーク風デザイン”のやや奥まったところに配置されている。奥まっているため、コードの装着がやや面倒だった。これは、Radeon HD 5770で基板後部からクーラーユニットがはみ出すほど長く、その結果、コネクタが奥まってしまったのが原因だ。

PCI Express補助電源コネクタは、どちらも後部に配置される。Radeon HD 5770ではエアインテーク風デザインのやや奥まったところにある

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