次世代スリムPCのスタンダードとなるか──「HP Pavilion Desktop PC s5250jp」Core i5搭載で6万円台(1/2 ページ)

» 2009年10月23日 11時11分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

新世代のLGA1156版Core i7/Core i5を採用

新型Core i7/i5を搭載可能な「HP Pavilion Desktop PC s5250jp/CT」

 HPからコンシューマー向けデスクトップPC「HP Pavilion」シリーズの冬モデルが発表され、新ラインアップが投入された。「HP Pavilion Desktop PC s5000シリーズ」は、秋モデルのe5000シリーズの後継にあたる、新しいスリムタワー型デスクトップPCだ。22日から販売された店頭モデルに加え、同社直販サイトの「HP Directplus」モデルでは、インテルとAMD、両方のプラットフォームを採用したベースモデルを用意しており、BTOによりスペックをカスタマイズして注文できる。今回は基本システムを一新したインテルプラットフォームの「HP Pavilion Desktop PC s5250jp」を取り上げる。

 新モデルのs5250jpでは、従来のCore 2 Quad/Core 2 Duoに代わり、インテルの新世代クアッドコアCPUであるLGA1156版Core i7/Core i5を採用している。このLGA1156版Core i7/Core i5は開発コード名「Lynnfield」の名で呼ばれ、これまでのCore 2 Quad/Core 2 Duoの後継となる主力CPUとして開発されたものだ。従来からあるLGA1366版Core i7をベースにPCI Expressコントローラ(グラフィックスインタフェース)の内蔵や電力管理の最適化などの改良を施し、LGA1366版Core i7に匹敵する性能を備えながらも、従来のCore 2 Quadと同等レベル以下の低消費電力を両立している。

 LGA1156版CPUとしては、Core i7-870(2.93GHz)、Core i7-860(2.80GHz)、Core i5-750(2.66GHz)と現行では3モデルが存在するが、本機はBTOメニューでそれらすべてが選べ、評価機ではCore i5-750を搭載していた。シリーズ中の最廉価モデルながら、その実力はCore 2 Quadの最上位モデル(Q9650)と互角以上だ。基本動作クロックは2.66GHzだが、CPUの電力などに余裕がある場合にはIntel Turbo Boost Technology(TB)によって自動的に最大3.46GHzまで動作クロックを上昇させるため、マルチスレッドに最適化されていない旧来のシングルスレッドアプリケーションでも高い性能が期待できる。

 Core i7/Core i5は、負荷状況に応じたきめ細かい電力管理により、CPU負荷に応じてダイナミックに動作クロックを変化させてパフォーマンスと消費電力を最適に保つ。評価機が搭載するCore i5-750(基本動作クロック2.66GHz)の動作クロックをCPU-Zで見てみると、アイドル時にはEIST(Enhanced Intel SpeedStep Technology)によって動作クロックを最低1.2GHzまで下げていることが分かる。一方、負荷時にはIntel Turbo Boost Technologyにより、動作クロックを上昇させている。

SuperPI/Mod実行時のCPU-Z画面。3.2GHzで動作している
4コアをフルに使うCINEBENCH R10のレンダリング(xCPU)中は約2.8GHzだった
逆にアイドル時は1.2GHzまでクロックが下がった

評価機が搭載していたCore i5-750(写真=左)。評価機には2GバイトのDDR3メモリが2枚装着されていた(写真=右)

最新のIntel P55 Express搭載マザーボードを採用

microATXフォームファクタを採用したIntel P55 Expressチップセット搭載マザーボード。PCI Express x1スロットが3本あるが、ケース形状の関係で1本しか利用できない

 最新のCPUにあわせて、マザーボードもLGA1156版Core i7/Core i5に対応した最新のIntel P55 Expressチップセットを搭載する製品にリニューアルされている。メモリスロットは4本あり、拡張スロットの構成は、PCI Express x16スロットが1本、PCI Express x1スロットが3本、そしてPCI Express Mini Cardスロットも用意する。ただ、ケースの設計上、3本あるPCI Express x1スロットのうち、利用できるのは1本のみとなっているのが惜しい。オンボードの機能としては、インテル製のギガビットLAN(P55チップセット内蔵+PHY)、IEEE1394a、HDオーディオ機能を搭載し、背面には6基のUSB 2.0ポート、IEEE1394a(6ピン)、有線LAN、2基のPS/2ポート、サウンド関連のコネクタ(角形の光デジタル音声出力/アナログ8ch出力対応)を装備している。

 主要パーツはBTOによって柔軟な構成が可能だ。メモリはPC3-10600 DIMM(DDR3-1333)に対応し、容量は2Gバイト(2Gバイト×1枚)から8Gバイト(2Gバイト×4枚)まで選べる。LGA1156版Core i7/Core i5は2枚1組のメモリに同時にアクセスするデュアルチャンネルアクセスで最大の性能を発揮するため、メモリ2枚あるいは4枚の構成がお勧めだ。HDDはSerial ATA(3Gbps)に対応し、容量は1.5Tバイトを筆頭に、1Tバイト、640Gバイト、320Gバイトの4種類が用意されている。回転速度はいずれも標準的な7200rpmだ。これに加えて、同社独自の着脱式ベイ「HPポケット・メディア・ドライブ」用の2.5インチ外付けHDDがオプションとして用意されている。容量は500Gバイトと250Gバイトで、回転速度はいずれも5400rpmとなっている。光学ドライブは最大2倍速でのBD-RE書き換え、最大6倍速でのBD-R書き込みなどに対応したBlu-ray Discドライブのほか、BD-ROM(ブルーレイコンボ)ドライブ、DVDスーパーマルチドライブが選択できる。

 ロープロファイル対応のグラフィックスカードは、NVIDIAのGeForce GT 220(グラフィックスメモリは1Gバイト)のほか、AMDのATI Radeon HD 4350(同512Mバイト)を搭載したカードが選択可能だ。どちらもH.264/VC-1/MPEG-2のハードウェアデコードを含むHD動画再生支援機能を備えており、Blu-ray DiscタイトルやAVCHDムービーをCPUに負担をかけずに再生できる。なお今回の評価機は、店頭モデルで採用されているGeForce G210(同512Mバイト)が搭載されていた。

 そのほか、BTOのオプションとしては、3.5インチの外付けポータブルHDD、ダブル地デジチューナーカード、IEEE802.11b/g/n(nはドラフト2.0)対応の無線LANカードなどが用意されている。

 プリインストールOSは、最新のWindows 7だ。エディションは、Home Premium、Professional、Ultimateの3種類が用意されており、ぞれぞれ32ビット版と64ビット版が選択できる(メモリが6Gバイト以上は64ビット版のみ選択可)。

評価機はGeForce G210搭載のグラフィックスカードを採用。HDMI端子を装備する
GPU-Z 0.3.6の画面
USB接続のキーボードとマウスのほか、無線タイプやWindows Media Center用リモコンがBTOで選べる

容積が約12.6リットルのスリムタワー型ボディ

 スリムタワー型ボディは先代のe5000シリーズから採用された「ID09シャシー」を引き継いでいる。縦置き時のサイズは105(幅)×389(奥行き)×308(高さ)ミリで、着脱が煩わしく面積を取る縦置き用のスタンドは不要だ。スリムなだけでなく背も低いため、机の上に置いても威圧感が少なく、重量も約6.9キロ(構成により多少前後する)と軽くて扱いやすい。

 光沢のあるピアノブラックをメインに、アクセントでコスミックシルバーを組み合わせたフロントマスクは、シンプルながら上部に青色LEDのパワーランプを設けるなどさりげない装飾が施されている。エッジの処理など細かい部分もしっかりデザインされ、上品な仕上がりだ。前面端子には、ヘッドフォン、マイク、2基のUSB 2.0、6 in 1メモリカードスロット(SDメモリーカード/メモリースティックPRO/xDピクチャーカード/MMC対応)を標準で装備する。前面の最下部には2.5インチサイズのポータブルHDD(別売り)を着脱できる「ポケット・メディア・ドライブベイ」(USB接続)を装備している。

 コンパクトなボディだが、手回しネジで固定されているサイドカバーを外して内部にアクセスすると、各パーツが合理的に配置されており、冷却面への配慮もよく行き届いていることが分かる。冷却ファンとしては、側面側に9センチ角のシステムファンを用意するほか、電源ユニットの8センチ角ファン、CPUクーラーの8センチ角ファンが配置されており、またサイドカバーと天板にも効果的な通気口が用意され、ボディ全体を効率よく冷却できるようになっている。

 ただ、出力270ワット(+12V系は2系統で12A+9A)の電源ユニットがマザーボードの拡張スロットの部分に被さるように配置されているため、PCI Express x1スロットが2本使えなくなっているが、ボディのコンパクト化と出力、冷却効率のバランスをうまく実現したレイアウトといえるだろう。

容積が約12.6リットルのスリムケースを採用。無線LANのアンテナが上部にある
サイドカバーは手回しネジ1本で着脱できる。小型ボディゆえ内部は窮屈だ
前面にメモリカードスロットや2基のUSB 2.0端子、ポケット・メディア・ドライブベイが並ぶ

 次のページでは、ベンチマークテストを実施して評価機の性能をチェックする。

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