「昔々あるところに、1台のパソコンがありました」PC USER'z Park(1/3 ページ)

» 2009年10月25日 15時00分 公開
[瓜生聖,ITmedia]

(※企画は終了しました)

PC USER 創刊15周年特別企画「PC USER'z Park」

 2009年9月に創刊15周年を迎えたPC USERでは、動画共有サイトの「zoome」と連携して「PC USER'z Park」を開設し、Hello!PC/PC USERの“失われた表紙”や、思わず遠くを見つめてしまうような懐かしいPC、化石パーツなどの動画と写真を募集していました。

 開設当初はあまりの盛り上がらなさにどうなることかと思いましたが、動画投稿は全26クリップ、静止画は414枚と、本当にたくさんの懐かしい“思い出”が集まりました。編集部一同、お礼申し上げます。特に、欠番となっていた表紙は、kysnさんをはじめ、みなさんの多大なご尽力により無事すべてを補完することができました。本当にありがとうございました。

 投稿された作品はどれも貴重で懐かしいものばかりですが、特に編集部員の琴線に触れたものを紹介していきたいと思います。なお今回は、酒の席でPCの思い出を語ると本気でうっとうしい ライターの瓜生聖氏に特別審査員として参加してもらい、総評を頂きました。

「パソコン創世記の一翼を担ったPC-6001」

投稿者:SkylineHNRさん

 業界標準が存在しなかったDOS/V以前――。メーカー各社が投入するPCはどれもこれも「とんがった」ものばかり。今は「性能」と「価格」が決め手になることが多いですが、当時は「機能」もかなりばらつきがあり、一言で「こちらが上」と言えないような個性的な製品であふれていました。

 ところがそのさらに昔、あふれるほどの機種が出回っていないころ、すでにマニア向けではない「ホビーパソコン」として登場していたのが「パピコン」ことPC-6001です。8万9800円という、当時としては安価な価格設定であるにも関わらず、高級機種にも搭載されていないことの多いカラーグラフィックス、3重和音のPSGをサポートし、ひらがな表示も可能というユニークなマシンでした。

 そうした環境の中、「勉強のため」などと親を説得し、その実「カセットビジョンよりもたくさんのゲームが遊べる」ことを期待してPCを手に入れた子供たちはたくさんいました。しかし、インターネットはおろかパソコン通信すらない時代。フリーソフトといえば雑誌に掲載されるプログラムリストくらいでした。

 お金のない子供たちはゲームをしたいがために雑誌のプログラムリストを自分で打ち込み、動かしたい一心でデバッグの腕を磨きました。そして自分で改造したり、アーケードゲームの雰囲気だけを真似したようなゲームを作り始めるようになります。BASICの処理速度の遅さにがく然とし、逆スクロールやグラフィックス表示の高速化のためにマシン語を学び、目標をベーマガ掲載からアイオー掲載にステップアップ(?)し、マシン語プログラミングの面倒くささにうんざりとしていたころにC言語が登場して「なんて簡単な言語なんだ!」と感動する――そんな黄金ルートをたどったプログラマは多いはずです。

 そういった意味で、PCとしての独自色もさることながら、現在のパソコン業界を支える多くの先人、ご同輩を輩出したこの「パピコン」をグランプリとして選出させていただきました(瓜生聖)。


 「パピコンへの“愛”が感じられる動画でした。オーナーに恵まれたPC-6001ですね」(編集長)

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