キヤノンが展開するインクジェットプリンタ「PIXUS」シリーズの2009年秋冬モデルにおいて、異彩を放っているのが、ビジネス向けのA3ノビ対応機種「PIXUS iX7000」だ。普通紙への印刷を高画質化する独自技術「PgR」(Pigment Reaction)テクノロジーを搭載したモデルの第2弾となる。POPやチラシ、ビジネス向け文書など多彩なテンプレートを用意しているのも見どころだ。
「PIXUS iX7000」は、キヤノンが久々に投入した一般ビジネス向けのA3ノビ対応インクジェットプリンタだ。普通紙に高品位な印刷が行える独自技術を同社のビジネス向け複合機「PIXUS MX7600」から継承し、自動両面印刷機能や有線LAN機能を標準装備するなど、SOHO環境にマッチしたコストパフォーマンスの高いA3プリンタに仕上がっている。
現在のSOHO環境や個人商店などのビジネスシーンでは、印刷にA4プリンタを使うことが多く、B4以上の用紙を使う必要が出てきた場合、ビジネス向けの出力ショップなどに依頼することも少なくない。A3対応のプリンタを導入したいが、カラーレーザー機は割高だし、モノクロレーザー機ではカラー印刷できない点に不満が残る。かといって、割安なA3対応インクジェット機は普通紙印刷の品質がレーザー機より見劣りするので二の足を踏んでしまう。こうしたSOHO環境のユーザーは、決して少なくないと予想される。
そこで、PIXUS iX7000の出番である。PIXUS iX7000を導入すれば、カラーの大判チラシやPOPを自前で出力できたり、それまでA4サイズまでの範囲で間に合わせていた印刷物をA3ノビサイズにまで広げられ、細かな資料などをより見やすく印刷できる。しかも普通紙の印刷品質はすこぶる高い。ほかとは一味も二味も違ったA3ノビ対応のインクジェットプリンタなのだ。
今回は市場に数あるA3対応プリンタの中で、PIXUS iX7000がなぜビジネスユーザーにおすすめできるのか、その理由を詳しく追っていこう。
・「PgR」技術を採用、5色顔料+クリアインクで高品位な普通紙印刷を実現
・高密度プリントヘッド技術「FINE」が高速・高画質を両立
・ランニングコストにも配慮
冒頭でも紹介した通り、PIXUS iX7000最大のウリは独自に開発した普通紙印刷の高画質化技術にある。インクはシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、フォトブラックの全5色からなる顔料インクと透明なクリアインク(PGI-2Clear)の組み合わせ。これがキヤノン独自の「PgR(Pigment Reaction)」テクノロジーを具現化しているのだ。
PgRとは、インクジェットプリンタでカラーレーザープリンタ並みの高品位な普通紙印刷を実現する技術。普通紙を印刷する場合、クリアインクを紙全面に薄く均一に塗布した後、通常のインクジェットプリンタと同様に顔料インクを吐出することで、クリアインクの多価金属イオンとインクの顔料成分が反応し、インクは顔料と水分に分離され、顔料を紙の表面に定着させたまま、クリアインクとインクの水分は浸透しながら蒸発する。
この仕組みにより、顔料が普通紙表面に定着して、高発色かつシャープな画質が得られるのだ。また、耐水性や耐マーカー性、耐摩耗性にも優れているほか、用紙の裏側まで浸透してしまうインクの裏抜けや、用紙の途中まで浸透して用紙が波を打ったようになる紙のカール現象も極力抑えている。
さらに、各色のカラーインクとフォトブラックには、高画質なフォトプリントが身上のプロフェッショナル向けA3ノビ対応プリンタ「PIXUS Pro9500 Mark II」と同じPGI-2系のインクを採用しているのも見どころだ。
このようにPIXUS iX7000は顔料インクのメリットにPgRテクノロジーを合わせることで、ビジネスにふさわしいモデルとなっている。PgRテクノロジーはPIXUS MX7600にも採用されており、ADFやFAX搭載の複合機の導入を考えているのであれば、PIXUS MX7600もおすすめしたい。
キヤノン独自の高密度プリントヘッド技術「FINE」はPIXUS iX7000にも受け継がれており、インクの最小ドロップサイズは2ピコリットルと小さく、ノズル数はシアンとマゼンタが各1024ノズル、イエローとブラック、フォトブラックが各512ノズルで合計3584ノズルと豊富だ(印刷解像度は最大4800dpi×1200dpi)。クリアインクを使っていることで、印刷コストが気になるかもしれないが、A4普通紙カラー文書のインクコストは約7.1円(税込)と意外にリーズナブルといえる。
※測定条件等、詳しくはキヤノンのホームページ(http://cweb.canon.jp/pixus/lineup/a3/ix7000/spec.html)を参照。
さて、PgRテクノロジーによる普通紙印刷はどれくらいのクオリティなのか、実際の印刷サンプルをスキャンした画像を以下に掲載するので参考にしてほしい。印刷サンプルに使った用紙は、500枚束で数百円程度の普通紙だ。1枚が1円以下の安価な用紙だが、テキスト印刷は見た目にもクリアな出力で、デジカメ画像の印刷結果に至っては、普通紙でここまで印刷できるのなら納得の出来栄えだ。確かにPgRテクノロジーの採用によって、普通紙の印刷品質が満足できるレベルにあることが確認できた。
印刷速度に関しては、A4普通紙への文書印刷速度がカラーで約8.1ipm、モノクロテキストで約10.2ipmとなっている。これらはキヤノンが推進している印刷速度の新しい国際基準「ISO/IEC 24711」による計測値で、標準画質による実用的な印刷スピードと思っていい。
試しに、カラー図版入り文書(JEITA J9)とモノクロテキスト文書(JEITA J1)の印刷テスト用データを使い、Microsoft Word 2007から9ページのカラー印刷と11ページのテキスト印刷にかかる速度をストップウォッチで計測してみたところ、ファーストプリントを含めないカラー8ページの印刷時間が60.8秒、モノクロテキスト10ページの印刷時間が60.3秒となり、ほぼ公表値に近い数字だった。これならビジネス向けのインクジェットプリンタとして十分に使える速度といえる。
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提供: キヤノンマーケティングジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2009年12月3日