GoogleやAppleにどう対抗 MicrosoftバルマーCEOが語る

» 2009年11月05日 14時51分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 PC向けOSやWebブラウザなど、米Microsoftがトップシェアを維持してきた分野で、ライバルが存在感を増している。スティーブ・バルマーCEOは11月5日に、来日して都内で会見し、Mac OSやFirefox、Googleの検索サービスなど各分野でのライバルについて、評価や対抗策を話した。

「WindowsはMacより優れているから選ばれる」

画像 バルマーCEO

 OSはこれまで、Microsoftが独占的なシェアを持っていたが、AppleがMac OSのシェアを高め、GoogleもChrome OSの開発を表明している。

 バルマーCEOは「消費者はOSを買うのではなく、OSの入ったPCを買う。GoogleのOSはPCがまだ出ていないので競争に加わっていない」と前置きした上で、Mac OSを搭載したマシンに対するWindows PCの優位性を語った。

 「Macは数機種しかないが、Windowsはフォームファクターが多様だ。デスクトップやノートPC、ディスプレイ一体型PC、高価なもの、低価格なものなどさまざまにある。アプリケーションも、ビジネスからクリエイティブユースまで数多い。Windowsのエコシステムが強いからこそ選んでもらえる」

 さらに、「Windows PCはスピードやパフォーマンス、バッテリー駆動時間、スリープからの立ち上げ速度も優れている」と自賛。「顧客もそう思っているからこそ、100人中85人がMacよりWindowsを選ぶ」と胸を張った。

 ただ、Macを選んだ残りの15人には「なぜWindowsが選ばれなかったかを考える必要がある」とし、今後も改善を続けていくと話した。

Firefox対抗は 検索は「Googleが王様」だが……

 Webブラウザの分野ではFirefoxやGoogle Chromeがシェアを伸ばし、Internet Explorer(IE)がシェアを落としている。バルマーCEOは、「確かにシェアは下がっている。FirefoxもChromeもいい競合だ」と認めながらも、「今後リリースするIE 9、10、11では、Webサイト開発者に働きかけ、メリットを訴えていく」と話し、「IEのシェアは今後、上がるだろう」と強気の姿勢を示した。

 検索分野では、5月に米国で「Bing」をリリース。Yahoo!との提携も発表しているほか、Twitter検索機能を付けるなど強化を続けてきた。Yahoo!との提携は、日本国内に広げる可能性もあるという。

 米国での検索シェアはいまだにGoogleが圧倒的で、Bingはシェア低下も伝えられている。「Googleは検索の世界のリーダーで、検索の王様だ。われわれは小さなプレーヤーとしてイノベーションを発揮する」とチャレンジャーの姿勢だ。

Windows Mobile、どう普及させる

画像 東芝のWindows Mobile端末「TG01」を、「大好きな製品」と紹介

 国内スマートフォンでは、Windows MobileがiPhoneに押され、存在感を打ち出せないでいる。「Windows Mobileは端末メーカーなどと連携してもっと良くしていく」とバルマーCEOは話し、東芝のWindows Mobile端末「TG01」を、「大好きな製品」として紹介した。

 Microsoft日本法人の樋口泰行社長は、「Windows Mobileは携帯市場で後発。PCはまずオフィス向けからコンシューマーに浸透していったため、標準化されていたが、携帯は逆なので、国ごとに仕様やユーザーインタフェースが異なる」と指摘した。

 今後はコンシューマー向けに注力する方針だ。Windows Mobile 6.5を搭載した「Windows Phone」を11月にリリース。「コンシューマーフレーバーを入れていきたい」と樋口社長は話していた。

クラウドは「AmazonとSalesforceがライバル」

 Microsoftは今後の注力分野としてクラウドサービスを挙げており、11月にはクラウドプラットフォーム「Windows Azure」をリリースした。この分野でのライバルはAmazonやSalesforceだと、バルマーCEOは話す。

 「Microsoftはメールやインスタントメッセンジャーの世界シェア1位。何万もの企業がExchange Onlineを使うなど、クラウドコンピューティングの分野ではリーダーだ。ビジネスクラウドでのライバルは、GoogleではなくSalesforceやAmazonだろう」

 Web版Officeを開発するなど、これまでクライアントソフトとして提供してきたサービスのオンライン化も進めている。ただオンライン化の推進は、PC向けOSやクライアントソフトなど、同社の屋台骨を支えてきたビジネスと食い合う恐れもある。

 「リッチクラウドとリッチクライアントの組み合わせが重要だ。クライアントOSの裏にクラウドがあることで、例えば、Windows Mobile搭載機器で写真を撮ると、クラウド上にコピーして共有する、という機能も実現できる」とバルマーCEOは話し、リッチな機能を持つOSやクライアントソフトがあるからこそクラウドが生きる、という考え方を示しつつ、「企業向けにはリッチな“クラウドOffice”を提供することも可能だろう」と、クラウド向けリッチサービスを新たな収益の源と位置付けていることも示唆した。

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