それでも「データレスキュー」ならきっと何とかしてくれる「タイムマシンは使われていない」(2/2 ページ)

» 2009年11月10日 18時00分 公開
[後藤治,ITmedia]
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ユーザーの声を反映してUIを大幅に改良

新しく採用された「アリーナビュー」

――データレスキュー3ではユーザーインタフェース(UI)も大きく変わりましたね。「Drive Genius 2」に似ていますが。

ベル まさに今回採用したアリーナビューと呼ばれるUIはDrive Genius 2に似せています。アイコンを見れば直感的にやりたい操作が分かるこのUIは非常に評価が高く、データレスキュー3でも採用しました。言葉にしてしまうと単純ですが、性能はもちろん、使いやすさも非常に重要な要素です。特にデータリカバリー系のソフトウェアは毎日起動するものではないので、ユーザーはそもそも使い方を覚えません。久しぶりに利用してもマニュアルの助けを借りずにすむよう、使いやすさに注力しました。

 特にこの部分に関してはユーザーの声を大きく反映させています。例えば代表的なものでは、“復旧作業中にフリーズしているのではないかとても不安だ”“状況をリアルタイムに知りたい”という声があり、アニメーションとともにファイルの復元状況を確認できるようにしています。また、作業完了までにかかるおおよその時間も表示しました。ユニークなアニメーションもユーザーが途中で作業を止めてしまわないことに一役買っています。

 また、復元に時間がかかる、復元先のドライブに空き容量がないことに気付いた、といった理由でいったん停止した場合、“また最初からスキャンするのがイヤだ”という声もあったので、スキャンログを保持し再開できるようにしました。復元できるファイルが探しているものかどうか中身を確認したいというニーズに対しては、復元前のプレビュー機能も用意しています。

スミス 日本語版のリリースにあたってローカライズをしたときに気付いたのはテキストの量が非常に多かったことなのですが、ユーザーはアニメーションで直感的に操作できるため、ほとんど意識する必要はありません。このUIは非常に分かりやすいでしょう。

復元先のHDD容量が足りないといった理由で復元作業を一時中断した場合でも、スキャンログを保持しているため、作業を途中から再開できるようになった
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ディスクの読み取りにかかる時間からダメージの状態を分析できる。正常なディスクへクローンイメージを作成し、そこから復元することも可能だ
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――Drive Genius 2のときも少し気になっていたのですが、対象メディアがメモリカードやSSDでもドライブが回るイメージですよね……

ベル 内部でもそういう意見は出ていますし、いずれそういうイメージにスイッチすることを考えています(笑)。ただし重要なのは、作業がきちんと進んでいるということを見せて、データ損失でパニック状態のユーザーを落ち着かせることです。もしかしたら次のバージョンではビーチでくつろぎながらさざ波を眺めているようなイメージを採用するかもしれません(笑)。

 とにかく、現在実行している作業をビジュアルで見せるというのは、Time Machineもそうですが、非常にMac的です。また、私たちはアップルの後を行くのではなく、1つ先を行ったUIを提供したいと考えているので、ただすばらしいアニメーションというだけでなく、実際に復元したファイルが何か、といったような意味も持たせようとしています。

バックアップは二日酔いになってから胃腸薬を飲むようなもの

――いきなり初歩的な質問ですが、バックアップを取っていればデータレスキュー3を買う必要はありませんか?

ベル そうですね。必要ありません。バックアップをスケジュールしていれば。

スミス ただ、資料でお見せしたようにバックアップをきちんと取っているユーザーが非常に少ないのは事実です。このグラフ以外にも何人かの著名なMacユーザーにヒヤリングをしたのですが、彼らはバックアップの重要性をきちんと認識していて、お金も十分にありハードウェアをすでに持っているにも関わらず、あえてバックアップをしないという選択をしていました。彼らの主張には、バックアップ(によるパフォーマンスの低下)は創造性を妨げる、というものまでありました。Macユーザーなら知っているウォズニアック氏でさえData Rescueの使用者です。

――アップルがLeopardでTime Machineを実装したとき、バックアップやデータ復元のソフトウェアベンダーに大きな影響を及ぼすだろうという予想もありましたが。

4000人を対象に行ったMac上級者向けのアンケートではバックアップをしているユーザーは15%だっという

ベル 確かに私たちもある程度は覚悟していました。しかし実際にフタを開けてみると、Data Rescueの売り上げはさらに上がっています。もちろん、好調なアップルによってMacユーザー自体が増えていることもありますが、バックアップをしない人や、かつてバックアップをしていたがパフォーマンスなどの理由からやめてしまったという人は非常に多いのです。Macの上級者を対象にした調査では、バックアップをとっていたユーザーはTime Machineを含めた数字で15%。Time Machineだけでみたらもっと少ないはずです。人間の心理として、やはり何かのトラブルには対処療法になってしまうのでしょう。みな二日酔いになってから胃腸薬を飲むのです。

――Data Rescueの顧客にアップルの名前が並んでいるのは非常に象徴的ですね。アップルの社内ではData Rescueが使われている、裏を返せばTime Machineが利用されていない、ということでしょうか(笑)

ブリューワー アップルは私たちの非常に大切な顧客ですので、実際に何が行われているのかは明言を避けさせてください(笑)。ただ、アップル社内でニーズがあるのは確かのようです。

 ともあれ、これまではバックアップの認知度が低いのだと予想していたところ、実はその重要性を分かっていながら意図的にバックアップしていないということが分かってきました。PCが日常の道具になった現在は、個人的な写真や動画といった大切なデータをデジタルで保存する傾向にあるので、もしそれらが突然失われて、仮にバックアップを取っていなくても、データを取り戻せる可能性があるということを知っていてほしいのです。

 特にMacユーザーは、仕事で仕方なくPCを使っているという人よりは、自分の意志でMacを選ぶ人が多いので、個人的なデータを多く保存していることが多いでしょう。万が一のトラブルの時に、時間やコストもかかる企業向けのデータサルベージ以外にも、プロソフトのデータ復元という方法があるのだということを改めて強調したいと思います。

――ありがとうございました。

左からグレッグ・ブリューワー氏、ゴードン・ベル氏、デイビッド L.スミス氏

 なお、Mac向けデータ復元ソフトウェア「データレスキュー3」日本語版はすでにダウンロード版の提供が開始されており、今週末の11月13日からは全国の主要量販店でパッケージ版の販売も始まる。価格はダウンロード版が9975円、パッケージ版が1万5750円だ(このほか法人向けのITライセンス版も用意される)。アイギークのWebサイトには実際に復元可能かどうかをテストできる無料のトライアル版も用意されているので、万が一の時は是非試してみてほしい。

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