高速IPS液晶と超解像が光る23型フルHD液晶――三菱「RDT231WM-X(BK)」を攻略するここまでデキて5万円前後(2/3 ページ)

» 2009年11月20日 11時00分 公開
[林利明(撮影:矢野渉),ITmedia]
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超解像技術はより細かな設定が可能に

 そして、RDT231WM-X(BK)を語るうえで忘れてはならないのが、ぼやけた映像の解像感を高める超解像技術だ。RDT231WM-X(BK)が採用するのは、単一フレーム内の画像処理で超解像を行うタイプで、単純なシャープネスやアップスケーリングではなく、画面内の高周波成分(人物の髪の毛や植物など描写が込み入った部分)を重点的に分析して補正するため、自然な感じで解像感を高められる。超解像はRDT231WM-X(BK)内部の機能なので、入力系統や表示コンテンツを問わずに利用可能だ。

超解像は6段階に設定が可能。RDT231WMシリーズの設定「中」がRDT231WM-X(BK)の設定「3」に相当する強度だ

 基本的な処理内容は従来機のRDT231WMと同じだが、ユーザーが選択できる超解像の段階数が4段階から6段階(いずれもオフの設定を含む段階数)に増えたほか、暗部や明部の処理を抑えて中間階調の処理を重視するようなチューニングの改良により、本来強調すべきでない暗部ノイズなどが目立たなくなったという。

 超解像の強度はデフォルトで「3」だが、オンとオフの違いは誰が見てもおそらく一目で分かるほどだ。強度を下げると強調効果が弱まり、強度を上げると高まる。映像の種類や視聴距離にもよるが、必要以上に強度を高めるとノイズやちらつきが発生してくることがあるので、ケースバイケースで最適な設定を選択するのが正しい使い方だ。超解像の設定がピタリとはまると、輪郭や細部がキリッと引き締まり、見栄えがよくなる。

 超解像の効果は、全体的にノイズが少なく、シャープネスがきつくない映像で最も実感できる。具体的には、実写系の映像は低めの強度、アニメ系の映像は高め強度がよいと感じた。最初から高精細なBlu-ray Discタイトルやデジタル放送などのHD映像は弱めの「1」や「2」あるいはオフ、画質がよいDVDタイトルなどは「3」、SD映像やネット動画は映像自体の品質にも左右されるが「4」や「5」などの使い分けが考えられる。こんなとき、付属のカード型リモコン(詳細は後述)で強度を手軽に切り替えられるのは便利だ。

 一方、期待ほどの効果が得られないシーンとしては、映像自体の品質が低すぎる場合が挙げられる。解像度が低かったりブロックノイズが多かったりすると、超解像を強くかけても見た目の印象はよくならない。ただし、低解像度の映像はウィンドウ表示などで小さめに映すことで、超解像の効果を発揮できる場合も少なくない。映像以外の部分は不自然な表示になってしまうが、低画質の動画を見る場合は試してみるといいだろう。

超解像の強度による見え方の違い。これらの写真はビデオカメラで撮影したSD映像を画面に表示し、撮影したデータの一部分を拡大したものだ。左がオフ、中央が「1」、右が「2」の設定。1や2の設定は超解像の強度が低く、高精細な映像ソースに向いている

左が「3」、中央が「4」、右が「5」の設定。「5」はかなり強く超解像がかかることが分かる

左半分がギガクリア・エンジン適用時(超解像は設定「3」)、右半分がオフの状態。適用時は解像感やコントラストが大きく向上している

 なお、RDT231WM-X(BK)の超解像は、三菱電機独自の画像処理LSI「ギガクリア・エンジン」に含まれる高画質化技術の1つだ。ギガクリア・エンジンは超解像のほか、局所コントラスト補正、ダイナミックコントラスト補正、ノイズリダクション、階調数拡張処理、色変換といった技術で構成されている。ギガクリア・エンジンが多数の高画質化処理を行っても、映像の遅延時間は1フレーム未満で済むというので、ゲーム用途で画面の反応が鈍くなって困ることはまずないだろう。

 これは余談だが、超解像は映像コンテンツの表示で効果を発揮するもので、一般的なPC用途では無効で使うものだ。例えば、デスクトップ表示やWebブラウズ、メール、オフィスアプリケーションといった場面では、超解像が有効だとフォントやウィンドウの輪郭などが強調されて見にくくなる。RDT231WM-X(BK)は用途別の画質モード「DV MODE」を備えており、静止画モードではデフォルトで超解像がオフに設定されているため、このまま使ったほうが無難だ。

HDMI×2など4系統の映像入力を備え、D端子との接続もサポート

 RDT231WM-X(BK)の大きな特徴を押さえたところで、そのほかの基本スペックもまとめておこう。輝度(標準値)は300カンデラ/平方メートル、コントラスト比は1000:1(CRO動作時は5000:1)、視野角は上下/左右とも178度、表示色は約1677万色(約10億6433万色中)となっている。いわゆる広色域タイプの液晶パネルではなく、表面処理は外光反射を低減するノングレアだ。

 RDT231WM-X(BK)は三菱ディスプレイの「マルチメディアモデル」に属していることもあり、映像入力が豊富だ。PC向けのアナログRGB(D-Sub)とHDCP対応DVI-D、AV機器向けにHDMI×2の合計4系統を備えている。PCとAV機器、ゲーム機などを最大4台まで同時に接続しておけるので、個人用の液晶ディスプレイでは十分だろう。

 さらに、アナログRGB端子はAV機器やゲーム機の接続にも対応し、D端子やコンポーネントビデオ端子からの映像も入力可能だ。D端子の中継アダプタと、D端子/D-Subの変換ケーブルが付属するのも親切で、Wiiやアナログ世代のレコーダー接続などに重宝するに違いない。また、HDMI×2はPC入力にも対応するなど、接続性は優秀だ。

 音声入力はステレオミニが1系統あり、HDMI接続では映像と音声が入力される。音声出力はヘッドフォン端子を搭載するほか、PC向け液晶ディスプレイとしては比較的高出力な3ワット+3ワットのステレオスピーカーを内蔵。スピーカーは音のゆがみを補正信号で抑え、クリアな音声再生が行えるDIATONEリニアフェイズ技術もサポートする。

映像入力はHDMI×2、HDCP対応DVI-D、アナログRGBのD-Subの4系統をそろえている(写真=左)。D-Sub端子にはD端子からの信号を入力でき、D端子−D-Sub信号ケーブルとD端子中継アダプタが付属する(写真=中央)。3ワット+3ワット出力のステレオスピーカーとヘッドフォン端子も備える(写真=右)

 ボディカラーは、光沢あるブラックで統一されている。本体サイズは546(幅)×230(奥行き)×最大452(高さ)ミリ、重量は約6.2キロだ。ベーススタンドは前後に分離する構造で、後部のみ外せば、壁面に寄せて設置できる。

 スタンドは上20度/下5度のチルトに対応するほか、付属のブロックネックで高さ調節が行える。30ミリ高のブロックネック3個が付属しており、これを積み重ねて、最大4段階で高さを調節できる仕組みだ。ネックブロックの着脱を行うには、画面部分とスタンドを分離する必要がある。最初から高さ調節が可能なスタンドに比べるとスマートさに欠けるものの、価格を抑えつつ、高さ調節のニーズにも応えるための工夫として評価したい。

上20度と下5度のチルト調整に対応(写真=左/中央)。背面はすっきりしたデザインで、本体持ち運び用の取っ手が用意されている(写真=右)

高さ調整用のブロックネックが3個付属する(写真=左)。ブロックネックを1個付けた状態では高さが392ミリ(写真=中央)、3個付けた状態では高さが452ミリとなる(写真=右)。3個連結させると、さすがにネックが少しぐらつく

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