インテルは、最新のCPUに実装された機能説明会を11月26日に行った。同社 マーケティング本部 ダイレクト・マーケティング部 コンシューマー・プログラム・マネージャーの梶原武志氏は、従来モデルのCore 2シリーズについて、「マーケティング的には大ヒット。一般のユーザーに指名買いをしてもらえた珍しいCPU」と、好調だった実績を紹介した。
インテルは、2009年にNehalem世代のCore i7とCore i5を投入し、2010年には、Westmere世代のClarkdaleとArrandaleが登場する予定だ。梶原氏によると、すでにPCパーツショップなどの自作PC市場では、Nehalem世代の新しいCPUが普及しているが、量販店などで展開するデスクトップPCやノートPCでは、2010年に登場するClarkdaleやArrandaleでCore 2から新しい世代のCPUへの移行を目指すとしている。
新世代のCPUを採用したPCをエンドユーザーに購入してもらうためには、ユーザーが納得できる理由が必要だ。梶原氏はその理由として、個人ユーザーでHDコンテンツの利用が増えてきていることを挙げている。Blu-ray Discドライブの低価格化やホームビデオカメラ、デジタルカメラのHD対応など、ホームユースでもHD動画を扱う環境が整いつつあるが、このような重いデータを再生、または、編集する場合、PCの性能が重要になる。梶原氏は、「これ以上の性能はいらないと持っているユーザーも多いが、HDクラスの動画や静止画を扱うなら、PCのパワーはもっと必要だ。Celeron、Atomでは足りない」と述べ、新しいCPUがもたらす強力な性能が、HD動画の利用が加速していくこれからのホームユースでも必要になると訴える。
さらに、リプレース時期に差し掛かっている購入から3〜4年が経過したPCについても、梶原氏は、「周辺機器の接続規格やインターネットで利用できるサービス、そして、Windows 7の登場など、この4年間でPCを取り巻く環境は大きく変化した」と述べたうえで、「購入するなら、(中古などの)古いPCではなく、この4年間で登場した新しいサービスや規格、新しいOSの機能を十分に利用できる性能と機能を持ったPCが望ましい」と、ここでも新世代CPUの必要性をアピールした。
梶原氏によると、インテルの社内では、Bloomfield、Lynnfield、そして、これから登場するClarkdaleにArrandaleといったNehalem世代、Westmere世代を「新しいコア」、従来のCore 2シリーズを「以前のコア」と呼んでいるという。「Core 2 Duo、Core 2 Quadは古いんですよ、とエンドユーザーに訴求していく」(梶原氏)
インテルのCPUラインアップは、「松竹梅」(梶原氏)で構成するCore iシリーズに集約される。Celeronは低価格帯向けに、Atomは省電力利用と、それぞれ限定モデル向けに残ることになる。
「上位モデルのCPUを採用すればユーザーができることも広がっていく。HD動画の編集でもプロユースのアプリケーションが個人ユーザーでも使えるようになる。AtomやCeleronでは、HD動画の録画やエンコードに時間がかかりすぎる」(梶原氏)
新しいCPUやプラットフォームがインテルから登場するたびに、ユーザーから「もうこれ以上の性能はいらないよ」という意見が出てくるが、インテルが考えるPCの利用シーンにおいて、CPUのパワーが“無駄に余る”ことはなさそうだ。
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