Windows 7の登場で“元祖Netbook”はどうなった!?――「Eee PC 1005HR-WS」徹底検証7 Starterの真価を問う(1/4 ページ)

» 2009年11月27日 11時15分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]
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貝殻モチーフのEee PCがWindows 7世代へ

 「Eee PC 1005HR-WS」は、ASUSTeK Computer(ASUS)が展開するNetbook「Eee PC Seashell」シリーズの新モデルだ。プリインストールOSにWindows 7 Starterを採用しているほか、250GバイトのHDD、1366×768ドットの画面解像度に対応する液晶ディスプレイを搭載するなど、Netbookとしては上位のハードウェアスペックを備える。Windows 7時代のNetbookとして、その仕上がりが注目されるところだ。

貝殻をイメージした曲線的なボディが印象的な「Eee PC 1005HR-WS」。価格は4万9800円


 シリーズ名の由来となっている貝殻をモチーフとしたデザインのボディは、1005HR-WSでも健在だ。ベースボディと天板を奥側から手前側に向かって絞り込んだフォルムはまさしく閉じた貝殻を連想させ、思わず手に取ってみたい気分にさせられる。

 ボディカラーはパールホワイトとクリスタルブラックの2種類が用意されている。今回入手したパールホワイトのモデルは、天面とパームレストがうっすらとラメをちりばめた光沢ホワイトで、カジュアルな中にもさりげない高級感をたたえた上品な外観になっている。液晶ディスプレイのフレームはシンプルな光沢ホワイト、左右の両側面は樹脂の成形色を生かしたサラッとした梨地仕上げだ。

 ボディサイズは262(幅)×178(奥行き)×25.9〜36.5(高さ)ミリで、重量は約1.27キロに収っている。シリーズの初期モデル「Eee PC Seashell 1008HA」と比較した場合、フットプリントは同じだが、7.9〜11.1ミリ厚みがあり、重量も160グラム増している。さらに、1008HAでは左右の側面や底面まで光沢ホワイトの塗装で統一しつつ、左右の側面も底面中央部に向かって絞り込み、かつ端子類にカバーを設けるなど、より貝殻のフォルムに忠実なデザインを採用していた。

 もっとも、1008HAはデザインを重視したぶんバッテリーの着脱ができなかったり、USB 2.0ポートが2基しかなかったり、カバー内の端子が奥にあってアクセスしにくいといった弱点もあった。1005HR-WSではそのような弱点はなく、貝殻デザインと実用性の折り合いを付けたデザインといえる。現在、同シリーズの多くのモデルは1005HR-WSに似たデザインを採っており、初期に登場した1008HAはブランドイメージ定着のためのプロトタイプ的な存在と考えたほうがいいかもしれない。無論、1005HR-WSであっても携帯性は十分だ。

 標準搭載のリチウムイオンバッテリー(6セル)の容量は63ワットアワー(10.8ボルト 5800mAh)、公称の駆動時間は約8.4時間をうたう。ACアダプタは実測でのサイズが35(幅)×85(奥行き)×26(高さ)ミリ、重量が約196グラムと、従来機と同様に小型軽量で携帯性に優れる。ただし、DC入力コネクタが非常に細くて小さい点は、耐久性などの面で少し気になる。

クリスタルブラックのカラーも用意されている(写真=左)。背面に装着するバッテリーは着脱可能だ(写真=中央)。ACアダプタはコンパクトさに加えて、電源ケーブルが日本仕様の2ピンでかさばらないのがうれしい。製品にはソフトケースも付属している(写真=右)

最新Netbookとして典型的な基本スペック

背面のカバーを外すと、1基のSO-DIMMスロットにアクセスできる

 基本スペックはCPUにAtom N280(1.66GHz)、チップセットにはグラフィックス機能(Intel GMA 950)を統合したIntel 945GSE Express/ICH7-Mを採用する。メインメモリの容量は標準で1Gバイトだ。背面にはSO-DIMMのメモリスロット1基にアクセスできる小さなカバーが用意され、メモリモジュールに手軽にアクセスできる。

 データストレージは2.5インチSerial ATA HDDを用いており、標準で250Gバイトを搭載する。HDDの可視領域は、標準で約100Gバイトのシステム領域と約123Gバイトのデータ領域に分割されている。このほか、リカバリ領域(約10Gバイト)と起動を高速化するBoot Booster用(約16Mバイト)の不可視領域がある。また、ユーザーが自由に使えるデータ領域としては、「ASUSTeK WebStorage」サービスによる500Gバイトの大容量Webストレージを1年間無料で利用できる権利が付いてくる。

 HDDとWebストレージ以外の仕様は、1008HAと共通化されており、光学ドライブは内蔵していない。この秋冬は1005HR-WS以外にも250GバイトのHDDを搭載したNetbookが多く発表されており、(Webストレージを除けば)最新型のNetbookとして標準的な基本スペックにまとまっている。

CPUにはAtom N280を採用。CPU-Z 1.52.2の画面では、1.66GHzの定格動作クロックなどの情報を確認できる。アイドル時にはEIST(Enhanced Intel Speedstep Technology)により1GHzで動作する

注意

製品を分解/改造すると、メーカー保証は受けられなくなります。内部で使用されている部品などは編集部が使用した製品のものであり、すべての個体にあてはまるものではありません。



HDDにアクセスするには分解が必要だ。F1、F6、F10、Insertの各キーの上にあるツメ4本を押し上げ、キーボードユニットを取り出す(写真=左)。背面に露出しているネジ4本を外し、メモリスロットのカバーを開け、メモリスロット隣のネジ1本も取る(写真=中央)。さらに、キーボードを開けたところにあるネジ6本(うち1本は保証シールの下にある)を外すと、パームレストごとトップカバーをはがすことができ、HDDが現れる(写真=右)

 通信機能は、100BASE-TXまでの有線LAN、IEEE802.11b/g/n準拠の無線LAN、Bluetooth 2.1+EDRに対応する。ワイヤレス通信のオン/オフを切り替えるハードウェアスイッチは設けられていないが、無線LANとBluetoothの機能はFnキーとF2キーの同時押しで別々に有効/無効を選択できる。

 本体装備の端子類は左右の側面にまとめて配置されており、3基のUSB 2.0ポート、有線LAN、ヘッドフォン、マイク、アナログRGB出力、SDメモリーカード(SDHC対応)スロットと、これもNetbookとしては標準的な内容となっている。

 3基のUSB 2.0ポートを左右に分けて配置し、頻繁に利用することの多そうなSDメモリーカードスロットを手前側に、DC入力や有線LAN、アナログRGB出力などケーブルを一度接続したら長時間そのままの状態が多い端子を後方に置いている点はよいが、左側面の盗難防止ワイヤー用ロック穴(通称ケンジントンロック)がUSB 2.0ポートのすぐ手前側にあり、両者の間隔も実測で約4ミリしかない。ケンジントンロックを利用すると干渉する可能性が高そうだ。

 さらに、液晶フレームの上部には30万画素のWebカメラとデジタルマイク、底面の前方にはスピーカーを内蔵している。内蔵スピーカーはステレオ対応だが、音質はあまりいいとはいい難い。Altec Lansing Technologies製のスピーカーを内蔵したり、「SRS Premium Sound」に対応したりする同社のCULVノートとは差が付けられている部分だ。

前面にインタフェース類はないが、底面側にステレオスピーカーが内蔵されている(写真=左)。背面はバッテリーで占有されている(写真=右)

左側面にはACアダプタ接続用のDC入力、USB 2.0、盗難防止ワイヤー用ロック穴、通風口が並ぶ(写真=左)。右側面にはSDメモリーカード(SDHC対応)スロット、ヘッドフォン、マイク、2基のUSB 2.0、有線LANを搭載する(写真=右)

1005HR-WSのデバイスマネージャ画面。搭載されていたSerial ATA HDDはシーゲイトの「ST9250315AS」(5400rpm)だった

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