2008年末の大ヒットモデル「EP-801A」にさらなる付加価値を追加したのが、このEP-802Aだ。2009年末のエプソンが一番の売れ筋に位置付けている製品で、カタログでも「まよったらコレ!」と記載し、幅広いユーザー層にアピールしている。
高さをぐっと抑えたフラットなボディデザインをはじめ、基本的な部分はEP-801Aから継承しているが、従来はオプションだった有線LAN/無線LAN機能を標準で装備し、EP-902Aとの機能差を縮めているのが目立つ。EP-902と同様、天面は光沢処理からドットパターンテクスチャーに変更され、傷や指紋が付きにくくなった。EP-902Aとの機能差は、タッチパネルとADF、動画プリントくらいだ。
プリントエンジンは従来と変わらず、EP-902Aと同一の6色独立インクカートリッジと高速MACHヘッドを採用する。インクを5つのドットサイズで制御する「Advanced-MSDT」(アドバンスド・マルチ・サイズ・ドットテクノロジー)も健在で、インク滴の最小サイズは1.5ピコリットルだ。給紙と排紙の機構にも変更はなく、2段式前面カセットにより、2種類の用紙を手軽に使い分けることができる。
操作パネルは、2.5型液晶モニタと多数のボタンを組み合わせたスタンダードな構成だ。EP-902Aに比べると、ボタンの機能や項目を把握しにくく感じるのは仕方ない。しかし、EP-801Aからメニューを改め、メニューのトップ画面に8つのアイコンを表示するようになったので、各機能にアクセスしやすくなっている。今後はメニュー構造をさらに工夫して、ボタンの数を絞ってもよいかもしれない。
ネットワーク機能の追加により、EP-802AはEP-902Aの廉価版という立ち位置になった。タッチパネルとADFは利便性を高めてくれるが、すべてのユーザーにとって必須の機能ではない。2008年のベストセラーモデルに有線LANと無線LANが付いて、実売価格はほぼ変わらないので、導入コストを抑えつつ、省スペース&多機能が欲しいならば、よい選択肢だろう。
EP-702Aは、2009年末モデルから登場したフラットボディのミドルレンジ機だ。2008年末モデル「PM-A840S」のプリントエンジンをEPシリーズのフラットなボディに載せ替えることで、デザイン面を強化した製品といえる。
プリントエンジンは上位機と同じ染料インク6色構成だが、ヘッドのノズル数は各色90と半分だ。このため、プリントスピードは遅くなるが、ストレスを感じるほどの出力速度ではない。このことは後述のベンチマークテストの結果を見れば分かるだろう。スキャナは光学解像度1200×2400dpiのCISセンサーを採用しており、こちらもEP-802Aよりワンランク下になる。
給紙機構は上位機が採用する前面カセットではなく、後部トレイから行う。当然ながら2段式トレイではない1系統給紙なので、印刷する用紙ごとに入れ替える必要がある。また、自動両面印刷ユニットには対応していない。ただし、上位機が対応しないカードサイズに印刷ができる点は、人によっては大きなメリットとなるかもしれない。
操作パネルは2.5型の液晶モニタを搭載するが、メニュー画面の構成はEP-802Aとは異なる。作業の進行に応じて、操作パネルの左から右へと各種のボタンを順々に押していく昔ながらのマルチフォトカラリオの操作系を受け継いでいるのだ。個人的にはEP-802Aよりも、こちらのほうがなじみやすい。
ネットワーク機能はオプションで対応する。ただし、ネットワークアダプタを別途購入するならば、素直にEP-802Aを購入したほうが買い得といえるだろう。プリンタはたまにしか使わないが、デザインと機能は上位機に近いものが欲しいというユーザーにマッチしている。
ここで紹介した3モデルの主な仕様を下表にまとめた。
カラリオ複合機新モデルの主な仕様 | |||
---|---|---|---|
モデル名 | EP-902A | EP-802A | EP-702A |
Epson Direct Shop価格 | 3万9980円 | 2万9980円 | 2万2980円 |
量販店実売価格 | 3万5000円前後 | 2万5000円前後 | 2万2000円前後 |
液晶モニタ | 3.5型(タッチパネル7.8型、チルト対応) | 2.5型(チルト対応) | 2.5型(チルト対応) |
インク | 染料6色(独立) | 染料6色(独立) | 染料6色(独立) |
ノズル数 | C/M/Y/Bk/LC/LM×各180ノズル | C/M/Y/Bk/LC/LM×各180ノズル | C/M/Y/Bk/LC/LM×各90ノズル |
印刷最高解像度 | 5760×1440dpi | 5760×1440dpi | 5760×1440dpi |
最小インク滴 | 1.5ピコリットル | 1.5ピコリットル | 1.5ピコリットル |
スキャナ | 4800×4800dpi(CIS) | 2400×4800dpi(CIS) | 1200×2400dpi(CIS) |
フィルムスキャン | − | − | − |
メモリカードリーダー | CF、MS、SD、xD | CF、MS、SD、xD | CF、MS、SD、xD |
PictBridge | ○ | ○ | ○ |
赤外線 | ○ | ○ | ○ |
PC接続インタフェース | 100BASE-TX有線LAN、802.11b/g無線LAN、USB 2.0、Bluetooth(オプション) | 100BASE-TX有線LAN、802.11b/g無線LAN、USB 2.0、Bluetooth(オプション) | USB 2.0、有線/無線LAN/Bluetooth(オプション) |
給紙機構 | 2段式前面カセット、ADF | 2段式前面カセット | 後部トレイ |
排紙機構 | 前面トレイ | 前面トレイ | 前面トレイ |
給紙容量 | 前面カセット下段120枚(はがき50枚)、上段20枚、ADF30枚 | 前面カセット下段120枚(はがき50枚)、上段20枚 | 120枚(はがき50枚) |
自動両面印刷 | △(オプション) | △(オプション) | − |
CD/DVD/BDレーベル印刷 | ○(トレイ内蔵) | ○(トレイ内蔵) | ○(トレイ外付け) |
L判フチなし印刷速度(公称値) | 約14秒 | 約14秒 | 約22秒 |
L判フチなし印刷コスト(公称値) | 約20.8円 | 約20.8円 | 約19.9円 |
サイズ(幅×奥行き×高さ) | 466×385×198ミリ | 446×385×150ミリ | 450×386×195ミリ |
重量 | 約10.5キロ | 約9.0キロ | 約8.4キロ |
※L判印刷速度/コストは「写真用紙<光沢>」使用時。コストはインク代+用紙代の合計 |
次のページでは、3モデルの操作性や機能をより詳しく見ていく。
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