印刷機能を中心として、主な付加機能の差異を下表にまとめた。3モデルとも数多くの機能があるが、EP-702Aはけい線印刷や仕上がりview、塗り絵印刷などの機能が省かれている。また、EP-802Aはデジカメ動画印刷をサポートしない。
エプソンならではの「ナチュラルフェイス」はさらに進化した。小顔補正と美白補正をプレビューもしくはシート印刷で確認しながら段階的に調整できることに加えて、顔だけでなく体も細く見せる「スリム補正」が可能になっている。
ここまでくると補正というよりは整形のような気もするが、ユーザーが写真を見て満足できるならば、それでよいのかもしれない。いずれの補正機能も調整用のパラメータを細かく指摘できるので、別人にならない程度に調整するのが無難だろう。
画像の輪郭線のみ抽出してモノクロ印刷する「塗り絵」機能はメモリカードからの印刷に対応し、写真に手書き文字を合成できる「新手書き合成シート」機能は飛び出すような文字飾りや最大99枚の印刷設定(従来は10枚まで)をサポートした。
付属ソフトについては、印刷ユーティリティソフト「E-Photo」のナチュラルフェイス機能から前述のスリム補正が選べるようになった。
また、iPhoneからの印刷もサポートしている。別途マイクロテックのiPhone用アプリ「ePrint」をApp Storeでダウンロードして導入することで、iPhoneを無線LANで接続して印刷が行えるようになる。ePrintは無償版と有償版(350円)があり、有償版ではさまざまな印刷設定が可能だ。
さらに、会員制サイト「MyEPSON」でユーザー登録をすれば、Webページをレイアウト印刷できる独自ソフト「カラリオ ホームページぷりんと」を無償でダウンロードできる。
そのほかの付加機能 | |||
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製品名 | EP-902A | EP-802A | EP-702A |
けい線印刷 | ○ | ○ | − |
写真の手書き合成 | ○ | ○ | ○ |
自動両面コピー | △(オプション) | △(オプション) | − |
フチなしコピー | ○ | ○ | ○ |
CD/DVD/BDレーベルコピー | ○ | ○ | ○ |
USBメモリダイレクト印刷 | ○ | ○ | ○ |
ポスターコピー | ○ | ○ | ○ |
縮小割り付けコピー | ○ | ○ | ○ |
トリミングコピー | ○ | ○ | ○ |
スキャン画像のPDF保存 | ○ | ○ | ○ |
スキャン画像のメモリ保存 | ○ | ○ | ○ |
iPhone印刷 | ○ | ○ | ○ |
テレビプリント | ○ | ○ | △(オプション) |
フィルムスキャン | − | − | − |
そのほか | マス目/写真入り便せん印刷、ナチュラルフェイス、仕上がりview、デジカメ動画印刷、塗り絵印刷、PS3印刷、手書き合成の文字飾りなど | マス目/写真入り便せん印刷、ナチュラルフェイス、仕上がりview、塗り絵印刷、PS3印刷、手書き合成の文字飾りなど | ナチュラルフェイス、PS3印刷、手書き合成の文字飾りなど |
※記事初出時、EP-902A、EP-802A、EP-702Aには高機能なWebプリント用ソフトがないような記述がありましたが、エプソンは2009年末モデル発売後にWebページをレイアウト印刷できる独自ソフト「カラリオ ホームページぷりんと」を公開しています。同社の会員制サイト「MyEPSON」でユーザー登録をすることで、ダウンロードが可能です。おわびして訂正いたします(2009年12月27日/編集部追記)
プリンタがいくら多機能になっても、重要になるのはやはり出力性能だ。ここではプリント、コピー、スキャンの3つのモードでの出力結果を見ながら、印刷品質を比較していく。
プリントの検証では、L判写真用紙に最高品位(きれい:5)で出力したもので評価を行った。メディアはエプソンの最上級写真用紙である「写真用紙クリスピア<高光沢>」を使用している。ちなみにクリスピアは2009年7月にリニューアルしており、発色性、色再現域、平滑度などが向上した。2008年モデル特集のときのクリスピアとは違っているので、注意してほしい。
以下の印刷サンプルは、出力結果をスキャンした画像データの縮小表示だ。各サンプルをクリックすると、500×750ドットの画像が表示される。スキャンした段階で、色の表現方法がCMYKからRGBに変わり、ディスプレイやソフトウェアの環境で色が違って見えるため、色再現性は正確ではない。画像はあくまで傾向を把握するための参考で、評価は各画像のキャプションと本文を確認してほしい。印刷サンプルはAdobe RGBの色域を正しく扱えるアプリケーション(カラーマネジメント対応ブラウザ)とディスプレイで表示した場合、最も色再現性が高まるようにスキャンしてある。
細かい描写力を見るための参考として、各印刷サンプルの拡大画像も掲載した。各画像をクリックすると、印刷サンプルをスキャンした画像データの一部が1024×768ドットで実寸表示される。各画像は写真上では約43×32ミリと小さな範囲で、実際はここまで細部は見えることはなく、粒状感もない。
なお、失敗写真をプリンタ側の画像補正技術で自動的に見栄えよく出力する「オートフォトファイン!EX」にも手が加えられた。顔検出率向上、シーン判定、逆光補正(覆い焼き)など、年々機能を追加・強化してきた同技術だが、2009年はノイズ除去処理を行う「イメージピュアライザ」における「ノイズ除去・美肌補正」を強化し、精度の向上とともに高画素データに対応した。
カラーコピーの画質評価は、A4カラー写真をA4普通紙に標準モード(標準)と高速モード(エコノミー)で等倍コピーした。インクの打ち込みによる普通紙のたわみについては、いずれの機種、いずれのモードも問題はなかった。
スキャン品質のテストでは、L判の印刷物を各複合機でスキャンしたデータをサンプルとして掲載した。スキャナドライバ(TWAIN)は解像度を600dpiにする以外は、デフォルト設定のままで使用している。TWAINドライバは高機能な「EPSON Scan」が用意されており、用途に応じて退色復元や逆光補正、ホコリ除去、各種色調整が可能だ。
各画像をクリックすると、600dpiでスキャンした画像の一部が1024×768ドットで実寸表示される。スキャン画像サンプルのICCプロファイルはsRGBとなっている点は留意してほしい。
次のページでは、3モデルの出力速度テストを行う。
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