いつしか合い言葉が「希望は7」になっていた日々2009年のアキバ事情(Windows 7以前)(1/2 ページ)

» 2009年12月30日 21時11分 公開
[古田雄介,ITmedia]

1〜3月:迷走しながら受け入れられていったPhenom IIと、ハイペースに値下がりした2TバイトHDD

1月初旬に登場したSocket AM2+対応の「Phenom II X4 940 Black Edition」

 2009年のアキバは、AMDの新CPU「Phenom II」の誕生で幕開けした。インテルのCore i7やCore 2シリーズにPhenomのみで対応していた劣勢さを覆すCPUとして注目を集めたが、1月10日に登場したのはSocket AM2+対応の「Phenom II X4 940 Black Edition」などで、新しいプラットフォーム「AM3」対応モデルを望むショップからは「なんでそんな中途半端なものを先に出すの? まずはフラッグシップからというのが基本でしょ……」(T-ZONE.PC DIY SHOP)といった声が聞かれた。

 その後も、Core 2 Quadの価格改定に対抗すべく発売から2週間でPhenom IIの値下げを実行するなどの迷走が続いたが、2月に入るとすぐにSocket AM3対応の「Phenom II X3 720 Black Edition」や「Phenom II X4 810」が登場。4月以降にクアッドコア上位モデル「Phenom II X4 955 Black Edition」を投入し、夏ごろには「Phenom時代に乗せ替えをためらっていたAMDユーザーがこぞって購入するようになりました。Core 2に対抗するにはまだシェアが足りませんが、Core i7と拮抗するくらいには人気が復活していますね」(ドスパラ秋葉原本店)と評価されるまでになった。

 そのほか、GeForceの最上位モデルとして、デュアルGPU構成の「GeForce GTX 295」搭載カードが登場したのも1月初旬。5〜6万円の高価なカードながら、当時の最強GPUとして人気を得て、2月ごろまで品薄な状態が続いた。

 パソコンショップ・アークは「発熱量は非常に高いですが、最強カードとして不動の人気があります。これまではシングルGPUで最強のものが人気を集めていましたが、GeForce GTX 295はフル性能の活躍の場が限られるデュアルGPUでも普通に受け入れられていますね」と話していた。

 2月にはHDDの最大容量を更新する2Tバイトモデルが登場した。ウェスタンデジタルの「WD Caviar Green WD20EADS」で、初回の価格は3万5000円前後。当時は、通常売価で8000円前後の1TバイトHDDが注目を集めており、容量単価の高い2Tバイトモデルの売れ行きは芳しくなかった。それでも、クレバリー1号店が「いつかは値下がりして、売れ筋の中心になっていくでしょう。それが半年後になるのか、すぐなのかは分かりません」と予測したとおり、2009年末には通常売価で1万3000円台、限定特価で1万円すら切る場合があるほどの派手な値下がりを見せている……。

Socket AM3対応CPUにあわせてマザーボードも続々と登場した。写真はAMD 790FXを搭載したギガバイトの「GA-MA790GP-UD4H」(写真=左)。ZOTACのGeForce GTX 295カード「ZT-295E3MA-FSP」(写真=中央)。初の2TバイトHDDとなるウェスタンデジタル「WD Caviar Green WD20EADS」(写真=右)

4〜6月:打ち上げ花火のように派手に光ったPCI Express接続のSSDと、ガスコンロのように長期間のブームを起こしたION

PhotoFast「G-Monster PROMISE PCIe」

 暖かくなり始めたころ、発売前から話題を集めていたのはPCI Express接続のSSDだ。Sarial ATA接続のSSDは高速タイプでリードの転送速度が200Mバイト/秒超なのに対し、5月末に登場したPCI Express x8接続の「G-Monster PROMISE PCIe」はリード/ライトともに最大1000Mバイト/秒という規格外の性能を誇った。

 しかし、1Tバイト/512Gバイト/256Gバイト/128Gバイトの4ラインアップの価格は、順に45万円前後/30万円前後/20万円前後/16万円前後と非常に高く、本格的なヒットに結びつくまでに姿を消してしまった。某ショップは秋ごろに「ほかにもOCZから『Z-DRIVE』シリーズも登場しましたが、どちらもメーカーはチューニングに苦労していたみたいです。製品としての完成度があまり高くなかったため、伝説になりそこねたという話も聞くくらいですよ」と振り返っていた。

 対照的に2009年末まで続くヒット作となったのが「IONプラットフォーム」だ。IONは、CPUにAtomを採用し、HD映像も快適に処理できるチップセット「GeForce 9400M G」を搭載したプラットフォームで、5月中旬に登場したZOTAC「IONITX-B-E」を皮切りに、年末にかけてマザーボードやベアボーンキットなどの様々な製品が登場している。

 マザーボードの価格は2万円弱から3万円弱のあいだで、年末までHDDほどの大きな価格変動は起きていない。IONマザー登場当時のツートップ秋葉原本店は「Atomマザーの人気がやや落ち着いていたところだったのもあって、高くても好調に売れていますね」と話していた。

 そのほか、グラフィックスカードではRADEON HD 4890とGeForce GTX 275を搭載した3万円前後のモデルが4月に登場したものの、特に注目されなかった。人気を集めたのは、補助電源なしで使える低消費電力版GeForce 9600GT搭載カードと、低消費電力で高性能と評判のRADEON HD 4770。ただし、RADEON HD 4770カードはその後の品薄傾向が続き、「入荷したら即売れるという感じですね」(TSKUMO eX.)と言われ続けていた。

 また、6月にはインテルのコンシューマー向け最上位CPU「Core i7-975 Extreme Edition」が登場し、10万円クラスの高級CPUのトレンドが入れ替わっている。

最初のIONマザー、ZOTAC「IONITX-B-E」。現在は「イオン」の読みが主流だが、当時は「アイオン」と読む店員さんもいた(写真=左)。“エコ版”の9600 GTカードとして人気を集めたギャラクシーの「GF P96GT-LP/512D3/LOW POWER」とZOTAC「GeForce 9600 GT Eco」(写真=中央)。インテル「Core i7-975 Extreme Edition」。このモデルの登場により、Core i-965 Extreme Editionが不良在庫気味になり、頭を抱えるショップもあった(写真=右)

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