10万円を切る「ThinkPad X100e」は本当に“ThinkPad”なのか(1/2 ページ)

» 2010年01月05日 12時00分 公開
[長浜和也(撮影:矢野渉),ITmedia]
AMDの“Congo”プラットフォームを採用して10万円を切る価格を実現した「ThinkPad X100e」

 レノボ・ジャパンが、1月5日に発表した“10万円を切る”ThinkPad X100eは、価格のインパクトもさることながら、チクレットタイプキーボードの搭載やAMDプラットフォームの採用など、注目すべきポイントが多数そろっている。

 この記事では、ThinkPad X100eに実装された注目ポイントを画像でチェックするとともに、“第4世代”とレノボ・ジャパンが呼ぶ「低価格ThinkPad」が発揮するパフォーマンスをチェックしていく。なお、今回評価に用いたのは、試作機レベルの機材なので、ボディデザインや搭載されたインタフェース、ベンチマークテストの結果などは製品版と異なる可能性がある。その点を注意していただきたい。

現役ThinkPadシリーズ最小の画面サイズで1366×768ドットを表示

 ThinkPad X100eの液晶ディスプレイは11.6型ワイドと、現役のThinkPadシリーズでは最も小型だ。しかし、画面の最大解像度は1366×768ドットと、最新のCUVLノートPCやNetbookの高解像度モデルと同等というだけなく、なんと1280×800ドットのThinkPad X200シリーズより高解像度ということになる。

 12型ワイド以下の画面サイズで1366×768ドットという高解像度表示に不安を感じる“年長者”ユーザーも多いと聞くが、40歳代半ばで最近近くのものが見えなくなってきた筆者でも、ThinkPad X100eの表示画面は特に問題を感じなかった。なお、液晶ディスプレイのパネルはノングレアタイプなので、映りこみはほとんどないので、オフィスワークがメインのユーザーには使いやすい。

 ThinkPad X100eで採用されたチクレットタイプキーボード(もしくはアイソレーションキーボード。なお、レノボ・ジャパンでは“フレーム付きキーボード”と呼んでいる)は、キーボードサイズが通常キーで約15×15ミリ、キーピッチは約18.5(横方向)×18ミリ(縦方向)となっている。キートップの形状は正方形ではなく、下辺がわずかに弧を描いて膨らむ。右寄りの縦2列に幅の狭いキーがあり、こちらのサイズは約12(横)×15(縦)ミリ、キーピッチは約15(横方向)×18(縦方向)ミリだ。従来のThinkPadで採用していた7列ではなく6列のレイアウトを採用する。

 打鍵した感触は、ほかのThinkPadシリーズと比べてやわらかいものの、チクレットタイプの採用で隣接するキーを識別しやすく、キーボードがたわむこともない。押し切ったときの指の力もしっかりと支えてくれる。なお、キーストロークは約2ミリだった(以上、すべて実測値)。

 「ThinkPadだからトラックポイントは必須」とレノボ・ジャパンが説明するように、ポインティングデバイスはタッチパッドとスティックタイプのTrackPointを搭載する。ThinkPad X100eでは、価格を抑えるために従来のThinkPadシリーズで採用されていた炭素繊維強化プラスチックパネルを使っていない。そのため、外からの圧力で液晶ディスプレイとキーボード面が押し付けられてもTrackPointがディスプレイのパネルと干渉しないように、トップの高さがキーボード面から突出しないように変更された。レノボ・ジャパンの資料によるとその差はわずか0.4ミリだが、触ってみると違いははっきり分かる。ただ、形状やTrackPointの機構はほとんど同じなので、指の動きとポインタの追従性は従来とほとんど変わらない。

11.6型ワイドというThinkPadシリーズで最小サイズのディスプレイで1366×768ドットの高解像度を表示する(写真=左)。ThinkPad X100eのイメージを従来のThinkPadシリーズから大きく変えるのが、チクレットタイプのキーボードだろう。ポインティングデバイスにはTrackPointのほかにマルチタッチに対応したタッチパッドもそなえる(写真=中央)。キーストロークは約2ミリ。上矢印カーソルキーの両脇にPageUpとPageDownキーを配置するが、押し間違いを防ぐためキートップの高さを変えている(写真=右)

コストを抑えて堅牢性を実現する“ドーム”形状

 本体に用意されたインタフェースは、左側面が2基のUSB 2.0とギガビット対応の有線LAN、右側面が4in1カードリーダー(SDメモリーカード、MMC、メモリースティック、メモリースティックPROが利用可能)に1基のUSB 2.0となる。画像出力インタフェースは背面にアナログRGB出力を備えるだけで、最近、低価格のノートPCでも採用例が増えてきたHDMIはない。このほか、無線接続ではIEEE 802.11b/g/nに対応したWi-FiとBluetooth 2.1+EDRが利用できる。

 左右側面とも、空いているエリアが多く(左側面は排気用のスリットが大部分を占めるが)、もう少しインタフェースを搭載することも可能ではとも思える。しかし不便を感じるほど不足しているわけでもない。ただ、レイアウト的な問題として、有線LANのコネクタが左側面手前寄りにあるため、セキュリティの観点から無線LANの使用を禁じているオフィスでLANケーブルをつなぐ使う場合は不便を感じるかもしれない。

 また、日本市場向けのモデルでは標準で6セルバッテリーを搭載するため、背面からバッテリーが飛び出す形になるが、同じ背面に接続する電源コネクタが、バッテリーからさらに飛び出すサイズになっている。電源が使える喫茶店などで、電源コードを引っ掛けてコーヒーをこぼさないように(これは、オフィスでも同じだが)、取り回しには注意したい。

ThinkPad X100eの前面(写真=左)と背面(写真=右)

同じく、左側面(写真=左)と右側面(写真=右)。側面のスペースを見ると、もう少しインタフェースを搭載できるようにも見えるが、開口部を増やすことで堅牢性が下がるのを避けたという

通常のABS樹脂のパネルでも液晶パネルを守れるように、ドーム形状を採用して外からの力を吸収できるようにしている(写真=左)。底面全体を覆うカバーを外すと、HDDベイ、メモリスロット、クーラーファンなどが姿を現す(写真=右)

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