さらに、“Windowsワールド”そのものの進化も著しい。
低調に終わったWindows Vistaと比べ、Windows 7のスタートダッシュは好調だった。ちなみに、Windows 7の発売週は50%ほどもPCの販売数が伸び、感謝祭明け最初の金曜日にも前年比で約63%の売上増進を記録するなど、過去、(初期動向で)最も売れたWindows製品になった──と生粋のセールスマンらしく具体的な小売りデータを出してアピールした。
「Windows 7はある意味原点回帰と呼べるもので、シンプルで使いやすく、ユーザーがほしいと思われるものを提供し、マイクロソフトとユーザー、そして開発者やパートナー、この3者がすべてWin-Winの関係を築ける方向を目指した。ノートPCからデスクトップPC、Netbookまで、数千種類にもおよぶWindows 7搭載マシンがその関係を支えている」(バルマー氏)
Windows 7ならではの機能をサポートした製品も続々登場している。その1つはWindows Touch。壇上のデモでソニーの「VAIO L」シリーズが紹介された。
そして、今回の目玉となったのはマイクロソフト版タブレットとも呼ぶべき製品だ。いままで同社が推進していたタブレットPCの概念とは異なり、Amazonの電子書籍端末“Kindle”のような全面ディスプレイとシンプルなハードウェアキーのみを備えた、純粋に「タブレット」といえるものとなろう。
サンプル機の1つとして紹介されたHP製タブレット「Slate PC」は、スペックの詳細こそ今回は明かされなかったものの、2010年内に市販されることになるという。OSにWindows 7を搭載し、Kindle Reader for PCを使って電子ブックの閲覧が可能──となるようだ。ちなみに、タブレット製品を「Slate」と表現したり、電子ブックをアピールしたりする点など、2010年1月末の発表がうわさされるAppleの新型タブレット製品を意識した様子も随所でうかがえた。
タッチ操作は自然なUI(NUI)に近付く一歩と呼べるもの。このNUIをより推進した長年の研究成果として投入するのが「Project Natal」だ。カメラで人の動きを認識し、それをそのままソフトウェアに投影する仕組みで、例えば人物がダンスを踊れば、画面内のキャラクターがまったく同じ動きで踊る──これをスポーツゲームや格闘ゲームに応用すると、ユーザーはゲーム内のプレーヤーを思い通りに動かすことができる。キーボードやコントローラに不慣れな人へのアピールにも使え、そのほかのいろいろな応用例も想像できよう。
Project Natalはまずゲーム向けのシーンが想定されており、Microsoft エンターテイメント&デバイス部門プレジデントのロビー・バッハ氏によれば「2010年のホリデーシーズンまでにはXbox 360用の対応ソフトとともに市場投入する予定」だという。
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