性能も機能も“Pro”並みの「MacBook White」を試すこれは安い

» 2010年01月14日 12時34分 公開
[後藤治,ITmedia]

ついに10万円を切ったMacBook White――機能も“Pro”並みに

ユニボディの新型MacBook White

 新モデルが出るたびに「安い」と言われてきたMacBook Whiteだが、Windows 7の一般販売にぶつける形で投入された新型MacBook Wihteは、ついにノート型Macで初めて10万円を切った。ノートPC市場は、価格競争力の高いNetbookやCULVノートPCが席巻しているが、それよりも数段上の性能を持ち、ターゲットするユーザー層がやや異なるMacBookでさえ、低価格化の波は無視できないものとなっているのだろう。前回紹介した新型iMacに続き、今回はこの新しいMacBook Whiteを見ていく。

 既報の通り、新型MacBook Whiteの特徴は大きく4点ある。改めておさらいしておくと、1つが従来と同じポリカーボネート素材を採用しながら一体成形のユニボディデザインに移行したこと。2つめがLEDバックライトディスプレイの採用。3つめがマルチタッチ入力に対応したガラス製トラックパッドの搭載。そして4つめが内蔵型の長時間駆動バッテリーだ。基本スペックではすでに“Pro”との境界があいまいになっていたMacBookだが、MacBook Proが持つ上記の特徴を取り込んだことで、機能面での差もより小さくなっている。MacBook WhiteにはSDカードスロットがないといった違いはあるものの、一言でまとめればMacBook Proの違いは外装の素材だけといった印象を受けてしまうほどだ。

 実際、新型MacBook Whiteの基本スペックは、GeForce 9400Mチップセットベースのシステムに、2.26GHz駆動のCore 2 Duoを搭載し、2Gバイトのメインメモリ、250GバイトHDD、1280×800ドット表示対応の13.3型液晶ディスプレイ、スロットローディング式SuperDriveと、現行の13型MacBook Pro(MB990J/A)とほとんど変わらない(それどころかHDD容量はMacBook Whiteのほうが大きい)。10万円を切る価格を実現したMacBook Whiteのコストパフォーマンスがいかに高いか分かるだろう。

液晶ディスプレイとキーボード。1280×800ドット表示に対応する13.3型LEDバックライト液晶を搭載する。映り込みはあるものの、輝度も十分で明るく見やすい

ガラス製マルチタッチトラックパッドと本体一体型の長時間駆動バッテリーの採用もトピックだ。なお、メモリやHDDへのアクセスは底面のカバーを外すだけと比較的容易だ

 また、本体サイズは330.3(幅)×231.7(奥行き)×27.4(高さ)ミリと、旧MacBook Whiteと比較して数ミリずつ大きくなってはいるが、重量は約2.13キロと140グラムほど軽くなった。あいかわらず2キロは超えているが、丸みを帯びているユニボディデザインの本体はカバンへの収まりもよく、持ち運んでの利用も十分できる。一般的なCULVノートPCに比べて携帯性の面では劣るものの、十分な性能を持つ2スピンドル機であることを考えれば納得できる範囲だろう(もちろん、これまで信仰心を試されてきたMacBookユーザーであれば造作もないことだ)。

左側面にUSB 2.0×2、1000BASE-T対応の有線LAN、Mini DisplayPort(オプションの変換アダプタでDVI、デュアルDVI、アナログRGB接続が可能)、光デジタル出力兼用イヤフォン出力端子/マイク入力端子などが並ぶ。本体サイズは330.3(幅)×231.7(奥行き)×27.4(高さ)ミリ、重量約2.13キロ。サイズは若干大きくなっているが、重量は軽くなった

ベンチマークテストで比較――Windows 7マシンとしての性能は?

 それでは定番のベンチマークテストで新型MacBook Whiteの性能をチェックしていこう。Mac環境ではCINEBENCH R10とiTunesのエンコードにかかる時間を測定した。比較対象には、2GHzのCore 2 Duoを搭載する旧MacBook13-inch, Early 2009)を並べている。

 CINEBENCH R10の結果は、Multiple CPUのスコアは旧型の4325に対して新型が4822と、クロック分の性能向上がはっきりと見て取れる。また、グラフィックス機能はGeForce 9400M内蔵のグラフィックスコアで変更はないがOpenGLのスコアはわずかに新型が上回った。iTunesを使ったテストでも同様の傾向で、再生時間1分のQuickTimeファイルを「iPod/iPhone用」に、再生時間10分のAppleロスレスファイルをAACに変換した際の時間は、新型MacBookがより早く処理を終えている。CPUやメモリの強化がきちんと数字に出た形だ。

CINEBENCH R10(画面=左)とiTunesを使ったテスト(画面=右)

 続いて、32ビット版のWindows 7 Ultimateをインストールし、定番ベンチマークテストとしてPCMark05、3DMark06、FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3を実施した(ただし、原稿執筆時点ではBoot CampがWindows 7に正式対応していないため、結果は参考程度に見て欲しい)。なお、ここでの比較対象には、現行の13型MacBook Proの下位モデル(MB990J/A)を並べている。測定した環境でOSの違いはあるが(新型MacBook WhiteはWindows 7、MacBook ProはWindows Vista)“Pro”の名が性能面でどの程度の差になるのか参考にはなるだろう。

CPU-Z 1.52.2とGPU-Z 0.3.8の画面

Windows 7のエクスペリエンスインデックス

 まず、Windowsエクスペリエンスインデックスの結果だが、最も低いサブスコアがグラフィックスの5.3で、そのほかのスコアも5点台の後半をマークしており、Windows 7マシンとしても十分に活用できる性能を備えていることを証明した。

 PCMark05の結果は、GraphicsとHDDで互いに差が出たものの、総合スコアのPCMarksは上位シリーズのProとほとんど変わらない値となった。そもそも基本システムが同等なので妥当な結果だ。ただし、GeForce 9400M内蔵のグラフィックスコア(コアクロック450MHz)が同じにも関わらず、3DMark06とFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3で、若干MacBook Pro(MB990J/A)のほうが良好な結果を出している。Boot CampがWindows 7に対応していないためドライバなどの問題もあるが、いずれにしても軽めの3Dゲームタイトルであれば楽しめる程度の実力は持っている。

PCMark05(画面=左)、3DMark06(画面=中央)、FFベンチ(画面=右)の結果

バッテリー駆動時間もPro並みに

 最後に、画面輝度を最高に設定し、キーボードバックライトの明るさを最大、1分間のQuickTimeファイルを全画面で連続再生するという条件下で、バッテリー駆動時間も計測してみた。結果は新型MacBook Whiteが3時間36分と、MacBook Proをわずかに上回った。公称の7時間には及ばないが、かなり厳しめの条件で測定していることを考えれば十分な結果で、画面輝度などを調整することで駆動時間をさらに延ばすことは可能だろう。本体内蔵型バッテリーの採用により、ここでもMacBook Proとの差はなくなっている。

 以上、ユニボディデザインに生まれ変わったMacBookは、13型MacBook Proと比較しても性能と機能の両面でほとんど遜色のないことが分かった。価格差は2万円ほどあるので、アルミの外装にこだわらないのであれば新型MacBook Whiteは非常に有力な選択肢と言える。また、Windows 7用マシンとしての十分な性能を備えているのもポイントだ。そろそろ新生活の準備を考え始めている新社会人や、大学生活を思い描きながら「おれ、このテストが終わったらPC買うんだ……」などと考えている受験生は、最初に手に入れる1台としてMacBook Whiteを検討してみてはいかがだろうか。

「MacBook」をAppleStoreで購入する
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