「Boot Camp 3.1」で64ビット版Windows 7を試してみたMagic Mouseは“使える”の?

» 2010年01月21日 17時33分 公開
[後藤治,ITmedia]

まずは64ビット版のWindows 7を入れてみる

 PC USERで掲載した新型Macのレビュー(「画面が大きく鮮やかになった新型「iMac」を徹底比較」「性能も機能も“Pro”並みの「MacBook White」を試す」)において、これまでWindows 7のベンチマークテストを実施してきたように、Windows 7はBoot Camp 3.0でも利用はできた。しかし、あくまでもサポート対象外であり、ドライバが最適化されていなくてもWindows 7を利用できると示す程度の参考値にとどまっていた。

 このほどアップルがリリースした「Boot Camp 更新プログラム 3.1」は、Windows 7に正式対応した最新版だ。このバージョンは当初2009年内の公開が予定されていたため、Mac/Windowsの“両刀使い”の中には首を長くして待っていたユーザーも多いだろう。また、今回のバージョンではMagic Mouseをサポートしており、(非公式なドライバを使わない限り)ただの2ボタンマウスとしてしか機能しなかったこのマウスがどれだけ使えるようになるのか気になるところだ。

評価に使ったMacBookは64ビット版Boot Campの対象になっていない

 早速64ビット版のBoot Campをダウンロードし、64ビット版のWindows 7(Ultimate)でMagic Mouseの使い心地を試してみた。なお、評価に使ったのは、2008年10月に登場したアルミユニボディのMacBook(MB467J/A)で、CPUに2.4GHzのCore 2 Duo、チップセットにGeForce 9400Mを採用するモデルだ。実はこのモデル、Windows Vistaのときと同様に64ビット版には対応していないようで、Windows 7のインストール自体はできるものの、通常のやり方では64ビット版のBoot Campドライバを入れることができない(「このモデルはBoot Camp x64をサポートしてませんよ」という警告が出てしまう)。どうしても64ビット版でなければダメ、というユーザー以外は32ビット版を使うほうが無難だ。ただ、メモリをフルに使いたい、という人もいると思うので、以下64ビット版Windows 7と64ビット版Boot Camp 3.1を導入するまでの手順を少しだけ書いておく。

 まず、Boot CampアシスタントでWindows領域を確保し、Windows 7のディスクを入れてインストールするところまではこれまでのほかのWindowsと同じだ。その後、Windows Updateを適用すると自動的にドライバを収集して通常のWindows 7マシンとして使えるようになるが、今回のBoot Camp 3.1を適用するためには先にBoot Campも導入しておく必要がある。

 ただし、ここでMac OS XのインストールディスクからBoot Campを入れようとしても「Boot Camp x64 is unsupported on this computer model」というダイアログが出てうまくいかない。また、Boot Campフォルダ以下(Boot Camp/Drivers/Apple/)にあるインストーラのBootCamp64.msiを直接クリックしても「システム特権が必要です」というメッセージが出てエラーになってしまうので、コマンドプロンプトを管理者権限で実行し、このインストーラパッケージをコマンド(msiexec /i)でインストールする。これで問題なくBoot Camp x64がインストールされるので、メッセージに従って再起動すれば準備は完了だ。その後、ダウンロードしたBootCamp_3.1_64bit.exeを実行すれば、NVIDIAのドライバなどが展開され、Boot Campのバージョンも3.1になる。

これまで同様、Mac OS XでBoot Campアシスタントを起動し、Windowsの領域を確保する。その後、該当パーティションをフォーマットし、指示に従ってWindows 7をインストールする(画面=左)。次にWindowsへBoot Camp 3.0(インストールディスクを使用)を導入するのだが、評価に使ったMacBookが64ビット対象外のため、通常の手順ではエラーダイアログが出てしまう(画面=中央)。そこで、Boot Camp\Drivers\Appleフォルダ内にあるインストーラパッケージ(BootCamp64.msi)をコマンドプロンプトから管理者権限で実行。するとインストーラが起動し、Boot Campドライバが入る(画面=右)

Boot Campドライバをインストールすると、タスクバーにユーティリティのBoot Camp Managerが常駐する(画面=左)。ここでダウンロードしたBootCamp_3.1_64bit.exeを実行すれば、Boot Camp 3.1にアップデートできる(画面=中央)。Boot Campコントロールパネル(画面=右)

Windowsエクスペリエンスインデックスの画面。評価機は1年以上前のモデルだが、スコアはすべて5以上とまずまずの結果。実際の操作も快適だ(画面=左)。NVIDIAグラフィックスドライバのバージョンは188.61だった。ちなみにNVIDIAが公開している最新バージョンは195.62(画面=中央/右)

Magic Mouseはどれだけ使えるのか

 今回のアップデートで気になるのがMagic Mouseのサポートだ。これまでWindowsでも2ボタンマウスとして動作はしたが、360度スクロールや画面の拡大/縮小、2本指でのスワイプなど、マルチタッチに対応するボディ表面を使った操作は利用できなかった。美しすぎるデザインに引かれて思わず購入したものの、まったく使っていないユーザーもいるに違いない。これで問題なく動作するのであれば、Mac/Windowsの両刀派には朗報だ。早速Boot Camp 3.1導入後にMagic Mouseを試してみた。

ボタンや継ぎ目のないデザインが特徴のMagic Mouse(写真=左)。早速ペアリングして使用開始(画面=中央/右)

 結果を先に書くと、Mac OS XとWindowsでは、Magic Mouseで提供される機能に大きな開きがある。まず、ボディ表面を指でなぞるスクロールは可能だが、360度ではなく上下方向しか動かない。また、Mac OS Xではスクロール機能がデフォルトで慣性スクロールになっているが、これもサポートしていないようだ。1画面に収まらないページを閲覧する際に、マウスを指ではじくと画面がスルスルとすべり、指で押さえるとピタっと止まる心地よさは味わえない。2本指を使ったスワイプもできなかった。ただ、control+スクロールでの画面の拡大/縮小は機能していた。

 以上、現時点ではやや残念な結果となったが、一般的なスクロール機能付きマウスとしてとりあえずは利用できるようになっている。確かにMagic Mouseはデザイン面では頭1つ抜けているので、使い勝手よりも見た目を優先する人や、Magic Mouseをポケットにしのばせて、時折思い出したようにつるつるとした表面をなでて気分を落ち着かせたい人は、Mac/Windowsの常用マウスとして検討してみてもいいかもしれない。


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