完全無欠のゲーミングPC「Alienware Area-51」をぶん回すエイリアンの母艦を徹底解剖(1/2 ページ)

» 2010年01月26日 17時00分 公開
[小川夏樹,ITmedia]

Alienwareの最強マシン「Alienware Area-51」シリーズ

Alienware Area-51 ALX

 デルのコアゲーマー向けカスタムPCの専用ブランド「Alienware」。最高クラスの性能と、その独創的なデザインはコアゲーマーのあこがれでもある。AlienwareはノートPCからデスクトップPCまでハイパワーマシンを数多くラインアップするが、それらの中で最上位クラスとなるのが「Alienware Area-51」シリーズだ。

 ちなみに、Area-51とは文字通りラスベガスの北北西約200kmに位置する米軍のグルーム・レイク空軍基地(通称:エリア51)を意味しており、そこには「グレイと呼ばれるエイリアンが捕らわれているのではないか」「新型戦闘機やUFOのテスト飛行を秘密裏に行っているのではないか」といったさまざまなウワサがある、宇宙人やUFO話題のメッカともいえる場所のことだ(関連記事:「AREA51」で“UFO探知機”の性能を検証する)。

 Alienwareのシンボルマークは、そのArea-51に捕らわれているグレイと呼ばれる宇宙人の顔がモチーフになっている。その顔は起動時のロゴからデスクトップの壁紙などさまざまなところで使用されている。ノートPCでは天板に、最上位モデルのArea-51シリーズは本体ケースのフロントベゼルカバー部分にロゴが設けられ、しかもそれがフロントベゼルカバーの開閉スイッチになっているといった凝りようだ。

 こうしたこだわりが随所に見られるAlienwareの中でも今回試用したのは、最上位モデル「Alienware Area-51 ALX」に相当する構成のマシンである。CPUはCore i7-975 Extreme Edition(3.33GHz)、メインメモリは2Gバイト×3の6Gバイト、HDDはサムスンの256GバイトSSD、グラフィックスにはNVIDIA GeForce GTX 295のSLI構成にBlu-rayドライブといったスペックである。

CPU-Zの画面。評価機にはCore i7-975 Extreme Editionが搭載されていた。アイドル時の動作クロックが低くなるので比較的静かな動作音となっているが、ベンチマーク中は、各種ファンの回転が高くなるのでかなりの音を発する(画面=左)。チップセットはIntel X58 ExpressでICH10Rと組み合わされたAlienwareオリジナルのマザーボードだ。BIOSにAlienwareと表示させる徹底ぶりからも、こだわりのマシンであることが分かるだろう(画面=中央)。グラフィックスはNVIDIA GeForce GTX 295のSLI構成だ。ほかにもBTOメニューにはATI Radeon HD 5870のCrossFireXの構成も用意されている(画面=右)

 この現在最高峰とも言える構成に加えて、ゲームプレイに特化した専用マウスやキーボード(Alienware TactXゲーミング日本語キーボードおよびゲーミングマウス)、そして専用ヘッドフォン(Alienware TactXゲーミングヘッドセット)などがBTOメニューに豊富に用意されていることから、何よりもまず3Dゲームをプレイすることに主眼を置いた専用マシンであることが分かる。

 例えばメーカー製PCやホワイトボックスブランドでは、汎用性の高いミドルタワー型の筐体が多い。こうした汎用性の高いPCの最上位モデルでは「一般的な用途だけでなく、いざとなったら3Dゲームも楽しめます」という性格付けだが、一方のAlienwareは「3Dゲームをプレイする用途だけでなく、もちろんオフィスアプリも動きます」といった真逆の性格を持っているわけだ。

 また本体にはベゼルの電動開閉機能や変化するイルミネーション機能といった数々のギミックが盛り込まれているが、こうしたギミックはオフィス用途とはまったく無縁のものであり、一般的なPCとは明らかに一線を画す製品である。こうしたギミック関連の詳細は昨年紹介した速報記事や動画(“宇宙級”ゲーミングPC「Area-51」との接触に成功)を参考にしてもらうとして、今回は、実際の使用感や前回は計測できなかったベンチマークテストの結果などをお伝えしよう。

筐体内部の温度を監視し、本体上部の放熱スリットを自動的に開閉して冷却を行うActive Venting(写真=左)。右側面のカバー内に6基の3.5インチベイが並ぶ。ストレージの換装も容易だ(写真=中央)。大容量の1100ワット電源を搭載。背面側からレバーで引き出せる(写真=右)

最上位モデルはCore i7-975 Extreme Editionをオーバークロックして出荷

 最上位モデル「Alienware Area-51 ALX」は、BTOメニューでCore i7-975 Extreme Editionをオーバークロックして最高3.86GHzで駆動させたモデルになる。ただ今回は出荷前の試用マシンのためか既定クロックの3.33GHzおよびIntel Turbo Boost時の3.6GHz(133.3×27)動作までしか動作クロックの確認が取れなかった。そのためベンチマーク結果の数値が若干割り引かれている可能性があることをお断りしておく。

 ベンチマークテストの結果を紹介する前に、試用したマシンが筆者宅に到着してからセットアップするまでのインプレッションをお伝えしておきたい。届いたのは277(幅)×656(奥行き)×558(高さ)ミリの本体と専用キーボードとマウス、ヘッドフォンのセットだ。そのうちひときわ目を引いたのが巨大な筐体である。本体の重量は約38キロと、大人ひとりでのセットアップはまず難しく、マシンを設置するまでの作業は最低でも大人2名で行ったほうがいい。体力自慢の筆者ですらマシン設置のためにわざわざ友人を自宅に呼んだほどだ。もし設置に不安があるのなら「デルヘルプデスクセットアップサービス」(+1万5750円)という選択肢もある。

 また。巨大なフルタワー型の筐体を設置するためには、相応のスペースが必要になるうえ、40キロ近い重量はパソコンラックと呼ばれるようなチャチなラック机では言葉通り荷が重い。床に置くのが安心だが、デスク上に設置したいのであれば頑丈な机が必要になると覚悟しておくべきだろう。

本体前面、背面、左側面。277(幅)×656(奥行き)×558(高さ)ミリ、重量38キロのアルマイト加工されたボディが圧倒的な存在感を放っている

起動からして圧巻、こいつはタダモノではない!

Windowsエクスペリエンスインデックスの結果。すべての項目で7を超えており、通常利用時で遅さを感じることはないだろう

 マシンセットアップが完了してひとまず電源をオンにすると、起動時には各種ファン類が盛大に回り出すためかなりの音を出す。そしてBIOSのポスト画面ではグレイのシンボルマークがにらみを利かせており、その起動を否応なしに演出している点が目を引く。

 ただ、いったんシステムが起動してしまえばファンコントロールソフトの制御下に入るためそれほど騒音は気にならなくなる。一般的なミドルタワーPCと比較して少々騒がしいと感じる程度だ。また、256GバイトのSSDのおかげもあり、64ビット版のWindows 7 Professionalがあっという間に起動してくる。通常時の動作も快適そのものだ。

 Windows 7のエクスペリエンスインデックスは、CPUのスコアが7.6、グラフィックスは7.2となっており、メモリが7.8と最も高く、ハードディスクの数値はSSDを搭載するだけあって7.3とすべての項目で7を超えている。

 Alienware固有の各種設定は、専用ソフトのAlienwareコマンドセンターから、温度管理用の「Thermal Controls」、電源管理用の「AlienFusion」、イルミネーション管理用の「AlienFX」といった具合に呼び出せる。Thermal Controlsでは本体内部温度から各デバイスの温度管理をこと細かく設定できるし、AlienFusionではハイパフォーマンスから消費電力の少ないモードまで詳細な電源設定が可能だ。こうした部分からも「ゲームをプレイするだけでなくPC本体のカスタマイズも楽しむ」というコンセプトが見て取れる。この辺りも、ただのゲーミングPCでは味わえないAlienwareならではの特徴だ。

Alienwareコマンドセンターから温度管理用の「Thermal Controls」を呼び出すことができる(画面=左)。温度管理関連の表示をガジェットとしてデスクトップ上に配置したり、さらに詳細な動作を細かく指定することも可能だ(画面=中央)。AlienFusionでは電源管理を設定できる。ゲーム用途とは言っても常にフルパワーで動作させる必要はない。CPUパワーやGPUに負担のかからない作業時には、省電力やバランスの取れた設定を選択して作業できるようになっている(画面=右)

関連キーワード

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