今回のベンチマークテストは、すでにレビューを掲載している「Radeon HD 5670」と同様、「3DMark06」と「3DMark Vantage」に、ゲームベンチマークとして「Far Cry 2」「ストリートファイターIV ベンチマーク」、「The Last Remnant Benchmark」「S.T.A.L.K.E.R.:Call of Pripyat Benchmark」「Unigine Heaven Benchmark」を測定し、システムの消費電力を比較する(Radeon HD 5670で測定したベンチマークテストの結果は1万円台で買える「Radeon HD 5670」でDirectX 11時代の性能をチェックするを参照のこと)。
ベンチマークテストを測定するシステムも従来と同じく、CPUがCore i7-975 Extreme(動作クロック3.33GHz)、メモリは2Gバイト×3の6Gバイト、OSは64ビット版Windows 7 Ultimateで構成した。
評価用システム構成 | |
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CPU | Core i7-975 Extreme(動作クロック3.33GHz) |
Motherboard | Intel DX58SO |
Chipset | Intel X58 Express |
Memory | DDR3-1333(2Gバイト×3/9-9-9-24) |
HDD | WD5000AAKS(500Gバイト/7200rpm/16Mバイト) |
OS | 64ビット版Windows 7 Ultimate |
3DMark06と3DMark Vantageの結果は、Radeon HD 5670比で約70%という値に落ち着いている。3DMark06の結果を測定条件で比較すると、軽負荷条件で72%程度、重負荷条件で68.5%と、重負荷条件で差が開く傾向が確認された。一方で、3DMark Vantageでは測定条件に関係なく、常にRadeon HD 5670比70%程度をキープしている。Radeon HD 5570の結果がRadeon HD 4670のスコアに近いこともラインアップのポジションと実売価格を考えると興味深い。
ゲームベンチマークでのスコアも、Radeon HD 5570はRadeon HD 5670比70%、Radeon HD 4670と同等の結果を示している。ただ、Far Cry 2ではRadeon HD 5570のスコアがRadeon HD 5670の半分程度にまで落ち込んでいるのに注意したい。また、S.T.A.L.K.E.R.ではRadeon HD 5670比70%前後を維持しているものの、DirectX 10環境の測定結果においてRadeon HD 4670のスコアが良好であるため、Radeon HD 5570がやや見劣りする局面が確認された。
消費電力の測定結果では、比較したGPUが低消費電力タイプのバリュークラスだった中でも、Radeon HD 5570はピーク時で20ワットも低い結果となった。アイドル時の消費電力もRadeon HD 4670に次ぐ低さだ。ワットあたりのパフォーマンスは高いと評価できるだろう。
Radeon HD 5000シリーズにおける“5570”のポジショニングはとっても微妙だ。1万円程度でRadeon HD 5670が購入でき、5000〜8000円の価格帯にはRadeon HD 5450が控える。その間を埋めるのが“5570”といっても、そのレンジは狭い。ベンチマークテストの結果はRadeon HD 5670の約70%で、1280×1024ドットという解像度でも快適なプレイ環境を実現するといわれる平均60FPSを超えられるのは、ライトなゲームに限られる。DirectX 11への対応も、ゲームにおいては“おまけ”的な要素になるだろう。Windows 7がデスクトップ描画で求めるのはDirectX 10.1までであり、DirectX 11はオーバースペックといえるからだ。
ならば、Radeon HD 5570の存在意義はどこにあるのか。そこで、実装されるストリームプロセッサの数に注目したい。Radeon HD 5450の場合、ストリームプロセッサ数は80個に過ぎないが、Radeon HD 5570は上位モデルと同じ400個を実装する。GPUの性能を3D処理以外でも利用しようというGPUコンピューティングが2009年からコンシューマーユーザーでも注目されつつあるが、ロースペックなGPUではCPUで計算させたほうが速いという逆転現象も生じている。まだこれから普及のための整備が必要な技術ではあるものの、対応するアプリケーションも増えつつある。Radeon HD 5570は、ゲーム性能以上にGPUコンピューティングに期待したいユーザーに検討してほしいGPUといえるだろう。
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