シアトルでNokia Booklet 3Gを買う?買わない?

» 2010年02月16日 11時22分 公開
[登丸しのぶ/Shinobu T. Taylor,ITmedia]

 2009年の秋に、携帯電話の大手メーカーであるNokiaからNetbookが登場するというがあった。それが「Nokia Booklet 3G」で、筆者が滞在する米国でも発売されている。しかし、Nokiaが撤退してしまった日本では出荷されていないどころか、実物を見ることもなかなかできないと聞く。

 携帯電話メーカーが手がけるNetbookということで、米国でもほかのNetbookとはちょっと変わった流通経路で扱われていたりする。ここでは、そのユニークなNetbook「Nokia Booklet 3G」が米国でどのように販売され、どのような関連サービスが用意されているのかを紹介しよう。

Nokia Booklet 3Gの仕様をチェック

 その前に、Nokia Booklet 3Gの構成を確認しておこう。10.1型ワイド液晶ディスプレイ(最大解像度は1280×720ドット)を搭載したボディのサイズは、263.9(幅)×184.9(奥行き)×19.8(厚さ)ミリ、重さ1.24キロと、Netbookとしては平均的なサイズに収まってる。

 CPUはAtom Z530(動作クロック1.6GHz)、チップセットはIntel SCH US15Wの組み合わせを採用し、システムメモリはDDR2を1Gバイト、HDDの容量は120Gバイトで、OSはWindows 7 Starterを標準で導入するとされている。

 本体に用意されたインタフェースには3基のUSB 2.0、SDメモリーカードリーダーのほかに、HDMIも備える。また、容量56.8ワットアワーのバッテリーを標準で搭載し、バッテリー駆動時間は12時間を超えるとNokiaの資料では示されている。本体内部にはSIM/USIMスロットが設けられて3Gによるデータ通信が可能なほか、GPSも利用できる。

10.1型ワイド液晶ディスプレイを搭載して重さ約1.2キロのNokia Booklet 3G(写真=左)。本体には3基のUSB 2.0、SDメモリーカードリーダーのほかにHDMIも備える

Nokia Booklet 3Gはどこで買える?

 筆者が2010 International CESに出展していたNokiaブースでスタッフに確認したところ、Webサイトの直販以外に、大手家電量販店のBest Buyと3Gサービスを提供しているAT&Tでも購入できるという。なぜか、NokiaのスタッフはNetbookとは呼ばず、「これはBookletだ」と主張していたのが印象的だった。

 NokiaのWebサイトに設けられた直販ページでNokia Booklet 3Gを本体単独で購入すると、1年間の保証付きで599ドルになる。さらに、別途送料がかかる。Netbookとしては高めの価格設定だ。では、店頭販売の価格はどうなっているのか。

 CESで教えてもらった最寄りのAT&Tに行ってみると、店頭に3G対応データ通信カード内蔵のNetbookが複数並べてあったが、肝心のNokia Booklet 3Gが見当たらない。販売員に確認すると、AT&Tの店舗では取り扱っていないそうだ。AT&Tで扱っているのはAcerの「Aspire One」に、ヒューレット・パッカードの「HP mini 110」、そして、「Samsung Go」(N310-13GB)の3機種だ。N310-13GBも携帯電話メーカーとして日本では知られるSamsungのNetbookであるのが興味深い。

 これらはすべて、本体を単独で購入する場合の価格は499ドルだが、AT&Tのデータ通信サービスを2年間契約すると199.99ドルで購入できる。データ通信の費用は月額最低35ドルのパッケージを申し込む必要がある。このパッケージには月あたり200Mバイトまでのデータ通信費用が含まれていて、200Mバイトを超過するデータ通信には1Mバイトごとに0.1ドル加算される。さすがに200Mバイトでは心もとないと考えるようで、ほとんどの購入者はがその上のグレードで用意される、5Gバイトのデータ通信費用が含まれる月額60ドルの料金プランを選択するという。こちらも月あたりに5Gバイトを超えたデータ通信の超過料金は1Mバイトごとに0.05ドルとなる。

Nokia Bookletの購入はBest Buyで

データ通信パッケージプランが100ドル値下げされ、さらに買い求めやすくなった(というか売りやすくなったというか)Nokia Booklet 3G

 そういうわけで、残されたBest Buyで店頭販売のNokia Booklet 3Gにようやく対面できた。しかし、売り場が、PCコーナーではなく携帯電話コーナーであるあたりが、いかにもNokiaのNetbookらしい。Best Buyの店頭価格も本体の単体購入では直販と同じ599ドルだが、こちらもAT&Tのデータ通信を2年間契約すると199.99ドルで購入できる。ちなみに、この場合の販売価格はもともと299ドルに設定されていたが、2009年12月に100ドル値下げしている。

 データ通信の料金プランは、最低35ドルの月額契約が必要になる。この条件はAT&Tで店頭販売しているほかのNetbookと同様だ。ただ、Nokia Booklet 3Gで利用できるデータ通信サービスパッケージはBest Buyでしか扱っていないため、NokiaのWebサイトから直接購入すると、データ通信プランとセットになった本体価格の割り引きは利用できない。

 こう考えると、Nokia Booklet 3Gをデータ通信で利用することを考えているユーザーは、直販ではなくBest Buyで購入するのが最もいいということになるだろう。

4Gも検討の余地あり

Sprintの4Gサービスに対応するSierra WirelessのOverdrive 3G/4G Mobile Hotspot。AT&Tの月額59.99ドルのデータ通信を2年間契約すると469.99ドルが99.99ドルに割り引きされる

 Best Buyでは、Sprint 4Gが提供する4G(WiMAX)データ通信サービスプランも提供している。こちらは月額59.99ドルで、3Gエリアなら同じく5Gバイトまで、4Gエリアなら容量無制限でデータ通信ができるという。Netbookと同様に2年間のデータ通信契約を結ぶことでSprintの4Gに対応するSierra WirelessのOverdrive 3G/4G Mobile Hotspotが本体価格469.99ドルのところを99.99ドルで提供される。

 気になるのはSprint 4Gのカバーエリアだが、販売員によるとI-405(北米を南北に走るフリーウェイ)沿いはほとんど問題なくカバーされているという。念のため、Sprintのサイトでカバーエリアは確認できるしてみると、筆者の活動範囲であるシアトルおよび近郊の都市部はほぼカバーされているようだ。

 ところで、3GやWiMAXをセットにしたNetbookの販売は日本のように好調なのだろか。北米、もっと絞って筆者が滞在しているシアトルでは、いたるところにスターバックスが店舗を構えていて、それらすべてが無料のWi-Fiサービスを提供している(ただし、1日2時間まで)。また、よく利用するショッピングモールや他のコーヒーショップなど、多くの店舗が独自の回線を提供しており、図書館では公共の通信回線も利用できる。

 3G通信が必要になるのは、これらWi-Fiが使えなくなるシチュエーションだが、外出時にはこれらの通信インフラでまず不便を感じることがない。また、Nokia Booklet 3Gに限らず、AT&Tが提供しているデータ通信料金プランは、すでに結んでいる利用契約の料金にそのまま上乗せされるだけで、すべてをまとめて割り引くようなプランやサービスはない。35ドルなり60ドルなりが月々の電話代にそのまま加算されるので、すでにiPhoneに月々80ドル支払っている家計には痛い。これは、ほかの一般的な米国人でも同じだ。

 こういう思考フローで、すでに持っているノートPCとデータ通信無制限のプランに加入したiPhone(または、BlackBerryなどなど)という組み合わせで携帯利用をしのいでいる米国人は意外と多かったりするのだ。

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