一方、「C411A5」はFM/AMラジオチューナーを内蔵する。
地デジモデルのC411A6と少し異なり、C411A5はAMラジオ受信用のループアンテナとFMラジオ受信用のリードアンテナ、これらアンテナ線をPC接続するための電波混合ユニットが付属する。受信用アンテナの接続を要するので、C411A6と同様に原則として家庭内で据え置いて使用することを想定している。アンテナの感度は、外付けアンテナを利用する家庭用のラジカセやAVコンポ機器(のラジオチューナー使用時)と同程度と考えてよいだろう。
統合ソフト「PureSpace」によるアナログラジオ放送は、地デジ放送のような電子番組表機能はないものの、指定したラジオ局をプリセット形式で選択できるので、操作性は悪くない。内蔵するラジオチューナーモジュールは、AV機器メーカーでもあるオンキヨー独自の製品設計とノウハウを盛り込んだノイズ対策がなされており、放送をきちんと受信できる場所ならばなかなかクリアな音質で聴取できた。この点はUSB接続型の汎用ラジオチューナー機器よりメリットがあるといえそうだ。
もちろん、ラジオ放送の予約録音機能も搭載する。地デジモデルのC411A6のように電子番組表から直接予約──というわけにはいかないが、番組の開始時間と放送局を手動で設定することで録音予約が可能だ。
録音フォーマットは最大128kbps/44.1kHzのMP3で、48k/64k/96kbpsと計4種類のビットレートを選択できる。録音した番組は本機で聴く以外に、録音後にiTunesへ自動登録する機能も備える。比較的容易にiPodやiPhoneへ転送できるのが便利で、この機能をメインに使いたいという人も多そうだ。
なお、ラジオ放送は、2010年3月15日から東京、神奈川、千葉、埼玉、大阪、京都、兵庫、奈良の各都府県でIPサイマル放送による試験サービスが行われることになった。
この「radiko.jp」サービスは、登場間もない本機にとって少しタイミングが悪いと当初は思ったが、対応各都府県に在住する人しか聴取できないデメリットがあるほか(IPアドレスベースで地域を限定するようだ)、とりあえず2010年8月31日までの期間限定サービスであること、全放送局が参加しているわけではないこと、録音して持ち出せるわけではないこと──など、まだ完全なラジオチューナーの代わりにはならないのが現状のようだ。録音して持ち出せることを含めると、PC+ラジオ機器としての自由度はC411A5の方が高く、より“遊べる”のではと思われる。
ONKYO Cシリーズは、デジタルテレビもラジオも、機能そのものは特別に豊富なわけではない。ただ、最低限必要な機能はそつなく備え、相応のツボも押さえている。
4万9800円前後から購入できる価格帯も相まって、プライベートルーム用、あるいは録画・録音した番組を再生するためのリーズナブルなポータブルマシンとして利用したい人に適するPCといえそうだ。
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