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「“7”と一緒に、Officeも2010へ」──MS、企業導入コストを低減できる「Office 2010」をアピールP2P型顧客管理ツールも無償提供(1/2 ページ)

» 2010年03月29日 18時24分 公開
[ITmedia]
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企業内「Officeリプレース」における3つの課題を低減

photo 「“2007”発売時より早期──Office 2010は出荷後すぐ企業向け導入支援策の提供を行う」マイクロソフトの田中道明Office製品マーケティンググループ部長

 「Windows 7へのリプレース、同時に“Office”も」──。次期オフィススイート「Office 2010」のリリースを間近に控えるマイクロソフトは3月29日、Office 2010の企業向け導入支援策に関する記者説明会を開催。企業向け導入で“課題”となる項目について、その支援策や解決策、導入メリットを説いた。

 「Office 2010を導入することで、これだけ生産性が上がる、使いやすくなるといった新機能に関する説明は以前より行ってきた。しかし、そういった情報だけで企業が導入に踏み切れるかというと、やはりそうもいかない。実利用者としての企業内ユーザーというより、導入を決める情報システム部門や経営者層視点で考えると、導入・リプレースで発生する工数やコストをどう抑え、費用対効果に結び付けるかが大きな課題になる。Windows 7へのリプレースと同時にOfficeのバージョンアップも一緒に行いたいという企業ニーズに向け、2010年5月下旬(国内企業向け)を予定するOffice 2010の正式リリースから時間を空けずに各種企業向け導入支援策を提供したい」(マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部Office製品マーケティンググループの田中道明部長)

 Office 2003(および2007)を利用する企業にとって、新バージョン移行に関わる主な課題と、それが占める割合は以下の3点になる。

  • 互換性の確認・検証:約60.3%(マクロの動作検証、レイアウトの再現性確認、その実作業のための検証ファイル収集)
  • 利用者向けトレーニング:約52.4%(操作トレーニング、ヘルプデスクの整備、社内向けマニュアルの修正)
  • 導入・展開方法:約31.7%(インストール作業、メンテナンスなど)

 具体的には、現バージョンで業務使用するマクロやOfficeファイルが新バージョンでも正常動作するかという“検証・確認”作業や、メニュー構造(Office 2007で新ユーザーインタフェース“リボンUI”を採用)や操作方法が変わることで発生する、エンドユーザー向けトレーニングにかかるコスト・工数が当てはまる。数百、数千単位で社員向けライセンスを管理する大企業にとって、このコストや工数が場合によって巨額なものになりかねない。つまり、検証コスト、トレーニングコスト、導入・展開コストを削減する施策を提供することで、Windows 7とともにOffice 2010へのバージョンアップも同時に促したい考えだ。

photophotophoto 企業内Office導入における3つの課題を解決・低減させる施策を展開する

「コストと工数」を低減させる、移行支援のための各種サポートツールを順次公開

 まずOffice 2010は、「マクロ・レイアウト互換性に関するホワイトペーパー/検証チェックポイントシートの提供」「マイクロソフト+パートナー企業(大塚商会、CSK WinTechnology、日本システムディベロップメント)による互換性検証サービス“Office導入支援センター”の提供」といった取り組みで、製品レベルのでの互換性検証コストを低減させる施策を導入する。

 Office導入支援センターは、これまでマイクロソフト1社だけで提供していた互換性とバージョンアップに関わる情報提供を、顧客それぞれのニーズを知り顧客に対して具体的に提案できるノウハウを持つパートナー企業と連携することで「それぞれの顧客にマッチする事例・ノウハウ集」を密にしていく取り組みだ。そもそもOffice 2010は、Office 2003からの移行で発生する互換性問題の発生率をOffice 2007移行時と比較して約60%、レイアウトの互換性問題の発生率を約22%削減できるという。「顧客からサンプルファイルを提供してもらい、4社でニーズ別に検証している。これらは一見地味だが、企業が単体で行うとなると大変困難。“実コストに直結する”重要な項目と考えている」(マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部Office製品マーケティンググループの松田誠シニアプロダクトマネージャー)

photophotophoto 互換性検証情報なども含めた導入に関する情報とノウハウを「Office導入支援センター」や、マクロ・レイアウト互換性や導入全般を解説する「Office 2010導入支援サイト」(出荷後60日以内に開始予定)で情報提供を行う
photophoto エンドユーザー用Office 2010トレーニングツール(総容量は約4Gバイトほど)を無償配布する

 バージョンアップを行うと、ソフトウェアの使い勝手も変わる。Officeはバージョン2007から“リボンUI”というユーザーインタフェースを取り入れ、Office 2003と比べて約40%作業時間を削減できる実験結果が出たとしている。使用開始後の数日間は慣れた旧バージョンに劣るが、ユーザーが使うであろう機能を効果的に表示し、新たな便利機能もすぐ呼び出せるリボンUIにより、2時間のトレーニングと1週間ほどの慣れの期間で旧バージョンより作業時間を大きく短縮できるほどにまでなるという。Office 2010も、メニューのユーザーカスタマイズ可能/Officeボタンからファイルタブに変更/ファイルに対する操作を一括処理する“Backstageビュー”の導入といったユーザーニーズから生じた項目の改善とともに、そのリボンUIを継承する。

 このトレーニング用“教材”の1つになる「Office 2010トレーニングキット」は、DVDあるいは(希望者に)Webダウンロードを通じて無償提供する。「DVDは、2万枚は配布したい。コピーしてそのままイントラネットで配信することも可能」(松田氏)とし、Office 2010の出荷後、間を置かず提供を始める(2010年6月配布開始予定)。あわせて、エンドユーザー向けトレーニングに関する情報を集約したOffice 2010ポータルサイトも2010年5月に公開する。

 このほか、Office 2010は最初からアプリケーション仮想化ツール「App-V」(Microsoft Application Virtualization)や「Volume Activation 2.0」に最適化してあるのもポイントの1つ。仮想化や集中管理できるライセンス管理手段により、情報システム部門におけるソフトウェアの配布・アップデートに関わる工数も削減する施策も盛り込む。

photophotophoto 新規インストールはもちろん、セキュリティアップデート、パッチデータなども含めて管理側のApp-V(Application Virtualization)操作で、エンドユーザー用PCのアプリケーション・ライセンス管理も容易に行えるようになる。設定により、ユーザー用PCのデスクトップにアプリケーションのショートカットを配置する、万が一パッチに不具合があった場合に元の環境に戻す──といった遠隔制御も可能。エンドユーザーにこれらをほとんど意識させないで済むのもポイントだ
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