本体内蔵のインタフェースについては、左側面に2基のUSB 2.0ポート(A端子)のほか、1基のUSBミニBポートを用意しているのが特徴だ。このUSBミニBに付属のUSBケーブルを接続し、反対側のUSB(A端子)を別のPCに接続すると、S10 BladeをそのPCの外付けHDDのように扱える。
こうして接続した2台のPCは互いにCDドライブとして認識され、「Easy Suites」というアプリケーションがS10 Bladeと接続先PCの両方でオートプレイメニューに表示される。「Easy Suites」を起動すると、お互いのPCのHDD内にあるデータが見えるようになる仕組みだ。
Easy Suitesはエクスプローラライクなインタフェースを採用しており、ドラッグ&ドロップや右クリックメニューを使うことで、簡単にファイルの移動が行える。S10 BladeをサブのPCとして利用する場合に、ネットワーク環境がなくても簡単にファイルの移動や共有ができるのは便利だろう。
通信機能はIEEE802.11b/g準拠の無線LANとBluetooth 2.0+EDRを備えており、有線LANは内蔵していない。余談だが海外モデルでは、3Gデータ通信モジュールのオプションも用意されている。
そのほか、SDHC対応SDメモリーカードスロット、ヘッドフォン出力、アナログRGB出力、Webカメラなどを標準搭載する。左側面の奥にある独自形状の端子は映像出力用で、コンポーネント/S-Video/コンポジット共用のビデオ出力ケーブルがオプション(ブルレー販売価格3400円)で用意されている。ベースボディがスリムなだけに、拡張性は必要最小限に近い内容だ。
なお、Windows 7のデスクトップに置かれたアイコンからアクセスできる管理ツールの「viliv Manager」からは、無線LANやBluetooth、内蔵Webカメラのオン/オフ、液晶ディスプレイの輝度調整などがまとめて行える。
液晶ディスプレイのサイズは10.1型ワイド、画面解像度は1366×768ドット(アスペクト比は16:9)に対応している。最近のモバイルノートPCでは標準になりつつある解像度で、Windows 7を快適に使える1つの目安といえるだろう。
画面は光沢仕上げだが、抵抗膜式のタッチセンサーを搭載しているため、一般的な光沢パネルと比べると色の鮮やかさでは一歩譲る。視野角はかなり狭く、映り込みもそれなりにあるが、輝度は十分確保できており、特に視認性が悪いという印象はない。
液晶ディスプレイは中央のヒンジ部分で180度回転でき、そのまま折り畳めばピュアタブレットスタイルとなる。
液晶表示の回転はグラフィックスオプションやディスプレイドライバのユーティリティなどから行なえるが、回転用のボタンやショートカットキーは用意されていないのでひと手間かかる。タブレットスタイルでは本体を持ち替えれば、自由に表示の向きを変えられるので大した手間ではないが、ノートPCスタイルに戻した後に表示方向を変更する場合、方向がずれた状態で操作することになるので、やはり少し不便に感じる。
表面は抵抗膜式のタッチスクリーンとなっており、指やスタイラスなどで直接画面に触れて操作することが可能だ。左側面の手前側に収納できるスタイラスが付属している。Windows 7の初期状態では、アイコンやボタンなどの表示がやや小さく、指での操作はツメを立てて押すような感じになるので、ペンを利用したほうが操作しやすいだろう。
タッチスクリーンは3点同時のタッチに対応しているので、Windows 7標準のWindowsタッチ機能は一通り利用できる。ただし、システムのパワーがいまひとつなためか、拡大/縮小や回転などの操作は反応が多少鈍くなりがちだ。一方、スクロール操作はスムーズに行えた。
Vilivで定評のあるソフトウェアキーボードも装備する。入力時に本体を振動させるバイブレーション機能は搭載していないが、横向き時のキーサイズは実測で10(横)×9(縦)ミリほどあるので、指でも無理なく入力できる。もっとも、タッチタイプとなると難しいサイズで、両手でグリップして左右の親指で打つほうが打ちやすい。
縦位置でソフトウェアキーボードを起動すると、キーが縮小して表示され、実測で6(横)×9(縦)ミリほどになる。ツメを立てるようにすればなんとか打てるというサイズだ。もちろん、Windows 7標準の「TabletPC入力パネル」も利用できる。ミニPCと違って画面の解像度が高く画面が広く使えるため、個人的にはこちらをペンで操作して入力するほうが使いやすく感じた。
内蔵のハードウェアキーボードは英字配列を採用する。国内のPCで標準的な日本語配列と一部のキー配列が異なるが、キー数が少ないため、極端に狭いキーピッチなどは見当たらず、カーソルキーを下げて搭載するなど、全体に素直なレイアウトだ。実測でのキーピッチは、主要キーが17(横)×16(縦)ミリ、ファンクションキーを含む最上段のキーが14(横)×16(縦)ミリ、カーソルキーが15.5(横)×10.5(縦)ミリだった。
キートップはしっかりした素材で、指が置きやすいように緩やかなくぼみもあり、スイッチの感触もよい。ただし、強めにタイプすると全体が少々たわむ感覚がある。パームレストの奥行きは46ミリと短く、手を置くにはギリギリのサイズだ。
キーボードの手前には、左右ボタンを一体成型した2ボタン式のタッチパッドを装備する。試作機では左右ボタンのストロークが浅く、クリックしづらかったが、実際の製品では改善されるという。
タッチパッドにはシナプティクス製の多機能ドライバが導入されており、パッドの右辺/下辺を使った1本指での縦横スクロールのほか、マルチタッチジェスチャーによる2本指での縦横スクロール、つまみズーム、回転、3本指フリックなどの機能が標準で有効となっている。
パッドのサイズは60(横)×35(縦)ミリと、2本や3本の指を同時に置くには少し小さめなので、回転やつまみズームなどの操作はしやすいとはいえない。使いたい機能があれば、選んで使えばいいだろう。
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