インテルは、3月31日にNehalem世代のコアを採用したXeonの新シリーズ「Xeon 7500番台」「Xeon 6500番台」を発表した(スペックの概要についてはEXなXeonもNehalemへ──Xeon 7500番台/6500番台発表を参照のこと)。
発表当日には、インテルが2010年に投入した新世代サーバ向けCPUの特徴を紹介する「インテル インテリジェント・サーバー・デイ」が行われた。
インテル代表取締役社長の吉田和正氏は、インテルのサーバ向けCPUが登場した15年前を振り返り、「x86系のサーバ向けCPUは、ファイルやプリンタなど一般業務をサポートするサーバから、いまやデータセンターやクラウドコンピューティングなどを支えるようになった。それに伴って、ユーザーは非常に高い性能を求めるようになった」と、x86系サーバ向けCPUでは、依然として高い性能が求められる現状を述べるとともに、「ユーザーはCPUで消費される電力の増加もスマートな形で吸収できるサーバを要求している」と、エネルギー効率に対する要求も高まっていると説明する。
吉田氏は、2009年におけるサーバ向けCPUの出荷比率のデータを例に、Xeon 5500番台が登場した2009年第1四半期こそ一部に過ぎなかった出荷比率は、第4四半期になるとそのほとんどを占めたように、不況だった2009年でも多くのシステムがXeon 5500シリーズに移行したことをアピールした。
さらに、今回投入するXeon 7500番台についても「従来のXeon 7400番台と比べて3倍以上と、過去最大の性能向上を達成する」と述べ、20以上の機能を追加することで、非常に高い信頼性と拡張性、費用対効果をユーザーに提供すると述べた。
インテル技術本部 副本部長の土岐英秋氏は、2010年に登場したサーバ向けCPUについて、その特徴を具体的に説明した。
ミッションクリティカルな用途に用いられるItaniumの最新モデルとして登場したItanium 9300シリーズは、従来の2倍となる4コアを内蔵して8スレッドを同時に扱えるようになり、大容量のキャッシュメモリと従来と比べて7倍になったメモリ容量をサポートする。また、Nehalemコアを採用し、Intel 3420と組み合わせることで組み込みプラットフォームに最適化させたXeon C5500シリーズは、PCI ExpressをCPUに統合することで、データ処理が膨大になるデータストレージデバイスや転送量の多い通信環境でも高性能な組み込みデバイスの開発が可能になったとアピールしている。
32ナノメートルプロセスルールを導入した“Westmere世代”のXeon 5600番台では、優れた電力効率が特徴として取り上げられ、45ナノメートルプロセスルールを採用することで60%の性能向上を果たすだけでなく、性能が同程度のモデルで比較した場合、30%の電力を削減できることが示された。また、セキュリティ関連の性能についても、AESによる暗号化と複合化処理をハードウェアで支援できる「AES-NI」のサポートやIntel XTXによる認証、不正アクセスに対する強力な防御力が紹介された。
土岐氏はデータセンターにおける経済効率に与える影響についても言及した。従来のシングルコア15ラックの構成で実現していた性能をXeon 5600番台は1個のラックで実現することになり、電力コストは年間で95%削減、投資コストも5カ月で回収できると説明する。また、Xeon 5600番台を組み込んだシステムを15ラック用意した場合、パフォーマンスは15倍になるものの電力コストは年間で8%削減できるという試算を示した。
土岐氏も「(従来モデルから)最大の飛躍があった製品」と説明するXeon 7500番台については、内部構成を柔軟にカスタマイズできるNehalem-EXコアを採用することで、「スケーラブルなパフォーマンス」(土岐氏)を可能にしたことが特徴として取り上げられ、Intel 7500チップセット(開発コード名:Boxboro-EX)との組み合わせで2ソケット構成から8ソケット構成に対応するだけでなく、サードパーティのプラットフォームを利用すれば256ソケット構成の可能になることが紹介された。
機能面ではx86系CPUで初めて実装されたMCA(Machine Check Architecture)リカバリについて解説が行われた。この機能は、従来のXeonでは対応できなかった複数ビットのエラーについても、エラー情報をOSや仮想マシンマネージャー(VMM)に提供することでシステムを修復するものだ。Xeonを搭載したシステムでも複数ビットのリカバリが可能になることで、これまでカバーできなかったミッションクリティカルな基幹業務向けサーバでもXeonの採用が可能になると土岐氏はアピールした。
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