Kindleの街でiPadに出会った(2/2 ページ)

» 2010年04月08日 11時00分 公開
[登丸しのぶ/Shinobu T. Taylor,ITmedia]
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“普通の人々”が学ぶiPad

店内に設けられたiPad体験スペース。ワークショップもここで実施された。子どもや高齢者の姿が目立つ

 iPadの発売以降、Apple Storeではイースターのため店舗を閉めていた日曜日を除く毎日、購入者を対象としたワークショップを開催している。参加するためには事前にオンラインサインアップが必要だったが、ワークショップが始まる夕方5時に会場へ行ってみると、特に名前をチェックすることもなく参加できたりする。

 月曜夕方のワークショップに参加したのは、筆者を含めて5名ほど。筆者以外は高齢者だっただけでなく、彼らのすべてがiPhoneやiPod touchを使ったこともないという。タッチスクリーン式のデバイスを使うのが初めてだった人が多かったこともあり、ワークショップは基本的なタッチスクリーンの使い方を覚えることから始まった。さらに画面ローテーションの使い方を学んでから、ようやく設定画面と個々のアプリケーションの使い方にたどり着く。

Apple Storeの人気ランキング画面。フリーウェアのランキングではiBooksが1位、Netflixも3位に入っている

 ワークショップでは、iPadで強化されたグラフィックス機能や、iPadで利用できるiBooks、フォトフレーム機能についても時間をかけてレクチャーしてくれる。ビデオ機能で筆者が特に注目したのがNetflixを利用できるアプリケーションだ。Netflixとは米国で人気のオンラインレンタルビデオサービスで、愛用している米国在住のユーザーも多い。iPadに無料のビューアーアプリケーションをダウンロードすれば、Netflixで提供しているストリーミング対応コンテンツをiPadで見られるようになる。iPadといっしょに発表されて注目を集めたiBooksでは、図書館の書棚を模したユーザーインタフェースや実際にページをめくるようなアニメーションに参加している“アップル初心者”は注目していた。

iPadは“第三の市場”を掘り起こすか

 ワークショップを終えて、店内を見回して気付いたことがある。ガジェット好きと思しき若者に混じって、多くの高齢者や子どもたちがiPadにかなり興味を示していることだ。ワークショップに参加していた老紳士は、障害でよく動かない指でiPadのタッチスクリーンを巧みに操作し、子どもたちはiPadの展示台でゲームに夢中だ。

 彼らにとって、タッチタイプができるフルサイズキーボードを備えたノートPCより、画面を数回タッチするだけで済むiPadが使いやすいだろう。携帯電話でメールを打つ方法を覚えたけれど、PCはおろか、ワープロ専用機も使ったことがなく、キーボードに慣れていないからPCを敬遠している人でも、iPadなら使いこなせるかもしれない。文字の大きさを指の動き1つで自由に変えられるのも高齢者には便利だ。

 iPadは、これまでPCとは無縁だった“第三の市場”を掘り起こす可能性を秘めている。スティーブ・ジョブズ氏が語る「ユーザーがデバイスに歩み寄る必要はない。デバイスがユーザーに歩み寄るのだ」には、このような光景も含まれていたのかもしれない。

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