ゲーマー向けの「G-Tune」で特別仕様の“PC USERモデル”を作ってもらったSSD RAIDで爆速!!(1/2 ページ)

» 2010年04月16日 11時45分 公開
[小川夏樹,ITmedia]

それは何気ない会話から始まった

 つい先日、インテルのCore i7-980X Extreme Editionが登場し、「コンシューマ向けCPUの最高峰」の座が6コア12スレッドになった。その性能が突出していることは間違いないが、価格も余裕で10万円を超えてしまう。そんな中で交わされた会話が以下だ。

編集G 「Gulftownが登場したけどCPUだけで10万オーバーだと手が出ないすね」

小川 「だね。メインストリームはまだまだLynnfieldでしょ。パーツの選択次第ではGulftown搭載マシンに引けを取らない仕様だって組めるし」

編集G 「でもCPUがシステム全体のパフォーマンスを左右するわけだから、性能を追求するならやっぱりGulftownじゃないですかね」(キリッ

小川 「まあそうだけどさ、例えば3Dゲーム向けのマシンならSLI構成で描画性能を底上げできるわけだから。それにSSDを使えばもっと快適になるし、何もCPUに10万円なんて出さなくてもなぁ」

編集G 「それ、いいですね。“ミドルレンジの構成でハイエンドゲームまでこなせるPC”。その仕様でマシンを構成して、どこまで迫れるか試してみましょうよ」

小川 「……それ俺がやんの?」

担当G 「そうだなあ、CPUはLynnfieldからピックアップして、でもハイエンドに迫るマシン。なんか格好いいじゃないですか、ねえ?」

小川 「……(聞いてねえ)」


 何気なしに交わされた会話から今回のPC USER特別仕様にまで発展するとは、そのときは思いもよらなかった――。

マウスコンピューターのG-Tune「NEXTGEAR i500PA4」をカスタマイズ

ベースモデルとなった「NEXTGEAR i500PA4」

 話はとんとん拍子に進んで行く。こんなときだけはムダに仕事が早い編集Gがマウスコンピューターに交渉、まんまとG-Tuneブランドの「NEXTGEAR i500PA4」をベースモデルとして取り付けてきた。

 G-TuneはマウスコンピューターのゲーミングPC専用ブランドで、同社の幅広いラインアップでもハイエンドモデルに位置付けられる。G-Tune専用のWebサイトで3Dゲームをバリバリ楽しみたいユーザーにマシンを提供しており、BTOメニューが豊富なのも特徴だ。今回のベースモデルであるNEXTGEAR i500PA4は、いわゆるミドルレンジに位置付けられ、標準搭載のCPUがIntel Core i7-860(2.8GHz)、OSに64ビット版のWindows 7 Home Premiumを採用した、価格と性能のバランスが取れたモデルだ。これをベースにあれこれと頭を巡らせて、超ハイエンドマシンに迫るスペックに仕上げていくのだ。

パワーLEDボタンで5色からイルミネーションカラーを選択可能

 まずはNEXTGEAR i500PA4の特徴を簡単に紹介しておこう。ゲーミングPCらしい大柄なケースのフロント下部には、イルミネーション用LEDが内蔵されており、電源を投入すると点灯するギミックを備える。このLEDはブルー/レッド/シアン/イエロー/マゼンタの発光が可能で、フロント部左側に設けられたパワーLEDボタンを押して切り換えられる仕組みだ。

 本体ケースフロント部の5インチベイと3.5インチベイ部はG-Tuneロゴが施されたカバーで覆われており、それを開けると3.5インチベイ部に15種類のメディアに対応したカードリーダー/ライターが装着され、5インチベイ最上部には標準でDVDスーパーマルチドライブが搭載されている。

 また、インタフェースに関してはケースフロント下部に2ポートのUSB 2.0ポート、およびヘッドフォンとマイク、本体背面部のIOポートには6ポートのUSB 2.0とギガビットLAN、オーディオ関連の各ジャック類、マウス/キーボード用にPS/2ポートが各1ポートが並ぶ。ゲーム向けマシンと考えれば、コントローラーなどを接続するUSBポートさえあればいいわけでその点では十分合格だろう。

本体前面/背面/左側面

 なお、マザーボードをチェックして見たところMSIの「P55-GD65」というマザーボードが装着されていた。市販の製品とは異なり、同社向けにカスタマイズしたものが搭載されているため、インタフェースの数が異なっているようだ。もっとも、チップセット(Intel P55 Express)やオーディオチップ、追加ストレージ用のチップ以外は市販版に準じた仕様になっていると思われるのでマザーボード本来の性能に違いはないはずだ。

SLIやCrossFire Xに対応する大容量電源を搭載

 本体ケースの内部は広々としており、余裕のあるエアフローが確保されている。サイドカバーにはCPUクーラーに向けた大型のエアファンネルが装着されているうえ、背面側にも大判のファンが搭載されている。冷却性を確保しつつ静音性も兼ね備えた専用の作りになっていることが見てとれる。ゲーム向けのPCとなると壮大な音を発するようなイメージを持つが、実際に電源を入れてみてもかなり静かな印象だ。

 また、ストレージや光学ドライブ向けとしては、5インチベイが3基、3.5インチベイが2基、これにHDD用の専用ベイが用意されている。HDD専用ベイは、取り外しやすいようになっており、広々とした内部空間とあわせてメンテナンスも容易だ。さらに、80Plusの高効率を誇る850ワット電源が搭載されており、SLI構成やCrossFire X構成にも余裕で対応できる。ベースモデルとしては申し分のない作りだ。

システムドライブをSSDに換装、しかもRAID 0で爆速に!

高速化のためにシステムドライブをインテルの高速SSDに変更

 以上、i500PA4をざっと紹介した。標準構成ではCPUがIntel Core i7-860(2.8GHz)でメインメモリが8Gバイト、1TバイトのSATA HDDに、NVIDIAのGeForce GTX 285×2のSLI(カードはMSI製のN285GTX SuperPipe OC×2)、OSは64ビット版のWindows7 HomePremiumというスペックである。実際このままでも3Dゲームをプレイするには何ら支障はないはずだが、ここは一歩踏み込んでストレージをSSDのRAID 0に変更した。OS領域にSSDのRAID 0を採用して圧倒的な速度を実現し、そしてデータ用には別途SATAの1TバイトHDDを追加する構成だ。

 Windows 7は64ビット版なので、標準搭載する8Gバイトのメインメモリ(DDR3-1333の2Gモジュール×4)を余すことなく利用できるし、CPUはIntel Core i7-860(2.8GHz)のままでもTurbo Boost Technology時は最大で3.46GHz駆動と、ゲームには十分な性能を確保している。また、現状の3DゲームはDirectX 9かDirectX 10ベースなので新世代アーキテクチャ“Fermi”は将来的にDirectX 11ベースのゲームが出てきてから考えればいいだろう――しかしストレージに関してSSDだけは譲れない、という判断だ。

高速SSDをさらにストライピングで使うという“変態仕様”に。ただしデータドライブにはHDDを使い容量を確保した(写真=左)。グラフィックスもGeForce GTX 285×2枚を搭載したSLI構成でゲーミングPCとしても申し分ない(写真=右)

 その理由はWindows 7のエクスペリエンスインデックスからも見て取れる。CPUがハイエンド、メモリも潤沢、グラフィックスも十分高性能な構成でストレージがSATA HDDだった場合、HDDのスコアがアンバランスになってしまうのだ。ほかのベンチマークテストでもHDDが足を引っ張って総合スコアが低くなってしまうことが多い。そうした点からも、ここはSSD×2台によるRAID 構成にして、Windows 7のエクスペリエンスインデックスのスコアでオール「7」以上を目指したい。

 というわけで、最終的なスペックは、CPUがIntel Core i7-860(2.8GHz)のまま変わらず、メインメモリも8Gバイトのままで、ストレージはインテル製の高速SSDを2台搭載した(80Gバイト×2)RAID 0に加えて別途1TバイトのSATA HDDを追加し、グラフィックスは1Gバイトのメモリを積むNVIDIAのGeForce GTX285を2基搭載したSLI構成とした。OSは64ビット版のWindows7 Home Premiumだ。

 これをマウスコンピューターに依頼して快諾いただいたのが今回取り上げた「PC USER特別カスタマイズマシン」である。ちなみにこれと同じ構成は、G-Tuneの直販サイトでBTOにより選択することもできるのだが、その際の価格は25万円後半になる。当然、SSDのRAID 0構成が価格を大きく跳ね上げる原因だ。しかし、今回に限り特別価格として25万円を切る24万9900円という価格設定にしてもらった。実はBTOメニューで選んだ場合よりもかなりお買い得なのだ。

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